コンテナハウスコラム
もくじ
ISOコンテナと建築用コンテナの違い
ISOコンテナというのは「輸送や貿易に使う容器」としての「コンテナ」のうち、国際規格ISOの規格に合わせた海洋輸送用コンテナを一般的にISOコンテナと呼んでいます。国際規格でけっこう細かく仕様が決まっています。輸送や貿易に使う目的で作られているので、その他の目的に合わせられるものかどうか、確認が必要でしょう。実は何十種類ものコンテナがあるのです。
普通に出回っているものは「ドライコンテナ」と言って特段の断熱はされていません。コルゲートパネルと言われる「鉄板」で壁や屋根が作られている「壁が構造体になった」頑丈な鉄の箱です。
そもそも、なんで「建築用コンテナ」が必要なんですか?
ISOコンテナは「モノを入れて運ぶ」ための道具です。一般的には「輸送用」ですから「窓もいらない」「ひとの出入り用のドアもいらない」「荷物を入れるために片方に大きな扉があればいい」ただし、十分な強度は欲しい。建築用途にコンテナサイズで躯体を作るならどう作りたいですか?
「人が中に入る」のなら「換気」や「採光」のために十分な「開口部」が欲しいですね。開口部が開くとなると、輸送用コンテナの作りの「壁構造」=モノコックではなかなか強度は出せないかも知れないので、「ラーメン構造=剛構造」、あるいは「ブレース構造」にしなければならないかも知れません。
ということはやはり「建築用」コンテナという考え方は必要になってきますね。
コンテナハウスって建築物なんですか?
建築物かどうかは「その使い方」によって変化してきます。
建築物の定義は、『人がその中に入って使い、使うために「電気」や「給排水」などの設備をつなぎ込んでいる状態にあるもの』をいいます。そのような使い方の場合「建築物」とみなしますので、「建築物」となると。建築基準法が適用される。ということになります。コンテナハウスは「輸送用ISOコンテナ」を使用していても、前述のように「電気を引き込んでいたり、給排水設備を繋ぎ込んでいたり」すると「建築物」とみなされるのです。
なので、人は常時入らない「点検時にだけ入る」ような「サーバーを格納する容器」状態だったり、「バッテリーを格納してあるエネルギー格納庫」だったりして人は点検時にしか入らないような場合は「建築物」ではなく「容器」としてみなされることがあります。その場合は「建築物」ではなくなるので「建築基準法」は適用されません。
コンテナハウスには何が必要なの?
これは「建築物」としてコンテナハウスを使いたい時に、ではコンテナハウスはどんな状態でなくてはならないの?と聞いているんですね。つまり「建築基準法」では何が要求されるの?ということですね。
はいわかってきましたね、考え方が。
1.建築物として見た時には「材質」の問題があります。
コンテナハウスは「鉄骨造」になりますので、材料である鉄は安全性の担保のために日本ではJIS鋼材を使うことによってその安全性を担保します。下記が建築基準法の建築材料の品質規定ですね。
(建築材料の品質)
第37条
建築物の基礎、主要構造部その他安全上、防火上又は衛生上重要である政令で定める部分に使用する木材、鋼材、コンクリートその他の建築材料として国土交通大臣が定めるもの(以下この条において「指定建築材料」という。)は、次の各号のいずれかに該当するものでなければならない。
一 その品質が、指定建築材料ごとに国土交通大臣の指定する日本産業規格又は日本農林規格に適合するもの
二 前号に掲げるもののほか、指定建築材料ごとに国土交通大臣が定める安全上、防火上又は衛生上必要な品質に関する技術的基準に適合するものであることについて国土交通大臣の認定を受けたもの
という規定があり、JIS認定品(鉄、コンクリートなど)、JAS認定品(木材等)を使わねばならないのです。
結果、そのような材料であることを証明する「ミルシート」や、製品の保証書などで確認できるようにする必要がある構造部分も出てきます。
コンテナハウスは固定資産税ってかかるの?
上記でコンテナハウスは基礎を作って基礎に緊結し、地震などでも安全を確保するために固定しなければならないし、材料も強度がわかっているJIS鋼材などを使用しなければならないことがわかりました。固定しなければならない建築物ということですから「固定資産税」の対象になります。建築物という判断はもう崩せないのが実態ですので、アンカーから外せば「動ける」かも知れませんが、「建築物」ですので、固定資産税はキッパリ、かかります。
ISOコンテナは建築には使えないってこと?
「JIS鋼材」でうまく補強(主要な構図材として)などをしないと、ISOコンテナは使えないってことになります。そんなことやってたら、最初っからJIS鋼材で新造コンテナを作った方が早い話になります。
「不用品をリユースして無駄にしない」という「中古ISOコンテナを利用する」という考え方はいいのですが、実際に安全安心を担保できない状態であるISOコンテナを建築用途で使うことは「建築基準法上」問題があるという事はわかってきましたね。
納得がいかない時は「行政」の建築審査課や指導課などでご相談ください。しっかりと国土交通省の通達が出ていまして「国」の方針となっています。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000058.html
国土交通省通達
