コンテナハウスコラム
四半世紀以上にわたり現場に立ち
研究し続けてきた私たちだから語れる
リアルな“コンテナハウスの深堀り話”です。
更新日:2025.12.07
01_はじめてのコンテナ
12_MIKAN(未完)HOUSE
13_旅するコンテナハウス_読物
コンテナハウス講座 初級 20FEETコンテナが変わる「LAYDOWNコンテナ」の発明
もくじ
コンテナの世界は「規格」がつくった自由
コンテナの世界は、徹底した「規格」の世界です。
ISO(国際標準化機構)が定めた統一規格があったからこそ、
船・鉄道・トラックをまたいだインターモーダル輸送が可能になり、
世界のロジスティクスは一気に効率化しました。
規格があるからこそ、どの港でも、どの国でも、
同じやり方で積み降ろしができる。
この「標準化による自由度」が、コンテナ輸送の本当の力です。
IMCA_現代コンテナ建築研究所がコンテナ建築に取り組むとき、
常に意識しているのもこの点です。
ただ「余っている箱を建築に転用する」のではなく、
ロジスティクスで磨かれたコンテナ規格と輸送システムを、
建築の側にどう活かすか。
ここに、IMCAのコンテナハウスづくりの原点があります。

規格を「ひっくり返す」と、建築としての発明が生まれる
IMCAの仕事の多くは、複数のコンテナを組み合わせて
ホテル・住宅・ゴルフ場施設などをつくる「システム建築」です。
一方で、コンテナ単体のポテンシャルにも、ずっと強い興味を持ってきました。
「コンテナ1本を、どこまで建築的に使えるのか」
「規格そのものを少し違う角度から見直したら、何が起こるのか」
そんな問いから生まれたのが、
・コンテナを縦に使う
・コンテナを横倒しのプロポーションで使う
という、IMCAオリジナルの建築用新造コンテナです。
単に「立てた」「倒した」のではありません。
・縦にしたときに、構造的に正しいラーメンフレームになるように設計する
・横倒しにしたときに、床・壁・屋根が正しく力を伝達できるようにディテールをつくる
つまり、輸送用コンテナを物理的に動かしたのではなく、
「建築用新造コンテナとして、縦型・横倒し型の新しい規格を再設計した」ということです。
今では真似をしている会社もいくつか出てきましたが、
この発想と実用化は、間違いなくIMCA_現代コンテナ建築研究所から始まりました。
エポックメイキングは、いつもここから。
それがLAYDOWNコンテナの物語の出発点です。

横倒しで生まれた「人の暮らしにちょうどいい」寸法体系
LAYDOWNコンテナの中でも象徴的なのが、20FEETコンテナを横倒しにして使う「20FEET LAYDOWNコンテナ」です。横倒しにすることで、外形寸法はおおよそ
・長さ:約6058mm
・幅:約2896mm(ハイキューブコンテナを横倒しにしたイメージ)
となり、幅方向が約2.9m弱、
いわゆる「1.5間=約2.7m前後」という、日本の住宅にとって非常に扱いやすいヒューマンスケールに近づきます。
元々、コンテナの寸法は人の居住空間ではなく、
「貨物を効率よく積む」ために考えられたものです。
そのため、NORMALの20FEETコンテナは
・内部幅が狭く
・壁を厚くすると、なおさら室内寸法が窮屈になりがち
という、人の暮らしには少し不利な寸法体系でした。
それを「横倒し」にすることで、
・ワイド方向にゆとりが生まれる
・ベッドやソファ、水まわりのレイアウトが一気に組みやすくなる
・平面プランがきれいに決まりやすくなる
こうした、人間の暮らしにフィットした寸法体系に“再編集”したのが
LAYDOWNコンテナの発明です。
言い換えると、
20FEETコンテナが「輸送用の箱」から「ヒューマンスケールの建築モジュール」へと進化した、ということになります。

NORMALより約3.0㎡も広い20FEET LAYDOWN
数字で見ると、その差はさらにわかりやすくなります。
・NORMAL 20FEETコンテナ
→ 約13.5㎡(約4.1坪)
・LAYDOWN 20FEETコンテナ
→ 約16.5㎡(約5坪)
差は約3.0㎡。
畳にすると約2畳分、坪にすると約1坪の違いです。
13.5㎡の箱の中で3.0㎡が増えるというのは、
ユニットバス1台分以上が“まるごと足される”くらいのインパクトがあります。
・ハイサイドの収納を取るのか
・ゆったりしたベッドスペースを確保するのか
・小さな書斎コーナーをつくるのか
といった「もう一押し」が、3.0㎡の差でぐっと現実的になります。
この5坪級のボリュームは、
小屋・タイニーハウス・セカンドハウスなどを考えるときの
「ひとつの基準サイズ」としても非常に扱いやすい単位です。

実はかなり昔から使っていたLAYDOWN(楽天施設など)
LAYDOWNコンテナは、最近になって突然出てきたアイデアではありません。
IMCAではかなり以前から、
特定のプロジェクトでLAYDOWN型のコンテナを実用化してきました。
その代表例のひとつが、
楽天関連施設でのLAYDOWNコンテナの活用です。
・横倒しレイアウトによるワイドな室内
・短辺方向に十分なベッドスペースが取れる寸法
・限られた敷地の中で、効率よく室内面積を稼げるメリット
こうした利点が評価され、
宿泊系の用途を中心に、LAYDOWNは実務の現場で磨かれてきました。
現場でのフィードバックを重ねた結果、
「20FEET LAYDOWNコンテナは、コンテナ1本でもきちんと住空間として成立する」
という確信に至っています。
その経験をベースにしたのが、
MIKAN(未完)HOUSE_004などの実作プロジェクトです。
システム建築として進化するLAYDOWNコンテナ
今やLAYDOWNコンテナは、単発のアイデアではなく、
IMCAの工業化建築システムの中に組み込まれた、ひとつのシリーズになりつつあります。
・NORMALシリーズと同様に「システム建築化」
・規格寸法、構造仕様、ディテールが標準化
・複数台組み合わせたプランも設計しやすい状態へ
その流れの中で生まれたのが、
・LAYDOWNのMIKAN(未完)HOUSE_002
→ LAYDOWNコンテナ3台でつくる約50㎡のタイニーハウス
→ デッキを含めると70㎡強の、しっかり暮らせるボリューム
という商品です。
・単体5坪ハウスとしての20FEET LAYDOWN
・3台構成の50㎡クラス・タイニーハウス
・さらにデッキや屋根を組み合わせた拡張プラン
LAYDOWNコンテナは今や、
「単独コンテナの面白さ」と「システム建築としての拡張性」を
両方併せ持ったモジュールへと育ってきています。
全国対応OK。
ZOOMでのオンライン相談も可能ですので、
20FEET LAYDOWNの使い方から、50㎡クラスのプランニングまで、
お気軽にご相談ください。
LAYDOWNコンテナ Q&A 10選
Q1. LAYDOWNコンテナとは何ですか?
A1. LAYDOWNコンテナとは、20FEETハイキューブコンテナをベースに、建築用新造コンテナとして「横倒しプロポーション」で使うために再設計したIMCAオリジナルの建築コンテナです。横倒し時にも正しい構造フレームとなるように設計されており、人の暮らしに合うワイド寸法と、コンテナ物流のメリットを両立させています。
Q2. NORMAL 20FEETコンテナとの違いは何ですか?
A2. NORMAL 20FEETコンテナが約13.5㎡(約4.1坪)なのに対し、LAYDOWN 20FEETコンテナは約16.5㎡(約5坪)と、約3.0㎡広くなります。また、横倒しにすることで内部幅が約2.9m前後となり、ベッドや家具のレイアウトがしやすいヒューマンスケールの寸法体系になります。
Q3. なぜ3.0㎡の差がそんなに大きいのですか?
A3. 13.5㎡という限られた面積の中で3.0㎡増えるということは、ユニットバス1台分以上のスペースが足されるイメージです。寝室のゆとり、収納、書斎コーナーなど「あと少し欲しい」部分に面積を回せるため、同じ20FEETでも使い勝手とプランの自由度が大きく変わります。
Q4. どのような用途にLAYDOWNコンテナは向いていますか?
A4. 単体5坪ハウスとしてのタイニーハウス、セカンドハウス、離れ、ワークスペースなどに向いています。また、複数台を組み合わせることで、宿泊施設、カフェ、ゴルフ場施設などにも展開可能です。ベッドを短辺方向にしっかり収められるため、小さな宿泊ユニットとしても相性が良いモジュールです。
Q5. LAYDOWNコンテナでも建築確認申請は取れますか?
A5. LAYDOWNコンテナは、建築用新造コンテナとして構造設計されており、建築基準法に基づいた建築確認申請を前提にしています。計画地の用途地域や規模、構造区分に応じて、IMCAが構造計画と申請方法を整理し、適切な形での建築確認取得をサポートします。
Q6. コンテナを横倒しにして本当に構造的に大丈夫なのですか?
A6. 既存の海上コンテナを物理的に横倒しにして使うわけではなく、「横倒しで使うことを前提とした建築用新造コンテナ」を設計・製造しています。柱・梁の位置、荷重の流れ、床・壁・屋根の成立などを踏まえ、横倒しでも正しい構造体として機能するラーメンフレームを構築しているため、構造的な安全性を確保できます。
Q7. LAYDOWNコンテナは、NORMALよりコストが高くなりますか?
A7. 構造仕様や仕上げグレードによって変わりますが、NORMALに比べて床面積が広く、建築用としての専用設計を行っているため、単純な本体価格だけを比較すると高く見える場合もあります。ただし、1㎡あたりの建築コストや、使い勝手・プランの自由度まで含めて評価すると、20FEETコンテナの中ではコストパフォーマンスの高い選択肢と言えます。
Q8. LAYDOWNコンテナは、複数台を組み合わせて使えますか?
A8. はい、LAYDOWNコンテナはシステム建築としての展開を想定しており、2台・3台と連結して使うプランにも対応しています。たとえば、LAYDOWNコンテナ3台で約50㎡のタイニーハウスを構成し、さらにデッキを加えて70㎡クラスのボリュームに拡張する、といった計画も可能です。
Q9. MIKAN(未完)HOUSEとの関係は?
A9. LAYDOWNコンテナは、MIKAN(未完)HOUSEシリーズにも採用されています。たとえば「MIKAN(未完)HOUSE_004」や、LAYDOWNコンテナ3台で構成する「MIKAN(未完)HOUSE_002(約50㎡)」などがその代表例です。建築確認付きの建築用新造コンテナをベースに、セルフビルド可能な範囲を組み合わせた商品として展開しています。
Q10. LAYDOWNコンテナを使った計画を検討したい場合、何から始めればいいですか?
A10. まずは、計画地(エリア・用途地域)、おおよその用途(タイニーハウス、宿泊施設、セカンドハウスなど)、必要な面積イメージ(単体5坪か、複数台で50㎡クラスか)を整理してみてください。その上で、IMCAのオンライン相談(ZOOM)や問い合わせフォームからご相談いただければ、LAYDOWNコンテナが向いているかどうか、どのようなプランが考えられるかを、プロの視点で一緒に組み立てていきます。

記事の監修者
大屋和彦
九州大学 芸術工学部卒 芸術工学士
早稲田大学芸術学校 建築都市設計科中退。
建築コンサルタント、アートディレクター、アーティスト、デザイナー。
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