コンテナハウスコラム

四半世紀以上にわたり現場に立ち
研究し続けてきた私たちだから語れる
リアルな“コンテナハウスの深堀り話”です。

更新日:2025.06.29

コンテナハウスの知識(初級)

コンテナハウスの豆知識

コンテナハウスって、固定資産税がかかるんですか?

A:この質問、よく聞かれるんですよね。
「コンテナを買って、庭とか敷地にポンと置くだけなら、固定資産税とかかからないんでしょ?」って。

結論から言うと、使い方次第です。どんなふうに使うかによって、「ただの箱」になるのか、「建物」と見なされるのかがガラッと変わってくるんです。

「置くだけ」なら本当に大丈夫?いや、ちょっと待ってください

まず、コンテナを「置くだけ」って言っても、
たとえば中に家具を入れて、照明やエアコンをつけて、人が出入りするような状態──つまり住んだり働いたりする用途で使うとなると、これはもう「立派な建築物」として扱われます。判断の基準は「設備系」のもの(電気設備、給排水設備)が引き込まれているかどうか、が基準になることが多いようです。それらは「人が使うための設備」ですから、そのような判断の基準になリエルということですね。
特に都市計画区域内では、法律上「建築物」と見なされると、建築確認申請が必要です。
これは役所に図面を出して、「この場所に、こういう建物を建てますよ」ってちゃんと許可を取る手続きのことですね。建築物ということになると「建築基準法の適用」を受けますから「建築基準法」を守らねばならなくなり、「建築確認申請」をして建築し、出来上がったら「完了検査」を受けて、正しく作られているかどうかのチェックを受けて「検査済証」をもらうことになります。
だから、ただ地面にポンと置いて、「これは建物じゃないんです」と主張しても、役所の担当者から見れば、「基礎で固定してるし、水道・電気も引いてるし、人も使ってるし、これはもう建物ですよね?」
という判断になります。

建物になるとどうなる? 税務上は「 固定資産税」が発生します!

建築物としてきちんと認められたコンテナハウスは、当然、固定資産税の課税対象になります。
これは木造や鉄骨の家と同じで、「建物の構造・規模・設備」などをもとに評価されて、
毎年、自治体から納税通知書が届くようになります。ちなみに、コンテナだからといって税金が安くなるわけではありません。ちゃんとした建物として使っている限りは、コンテナも立派な“資産”です。

 じゃあ、置いただけなら本当に非課税なの?

はい、建築用途ではなく、「あくまで仮置きです」とか「一時的な物置です」といった使い方で、
・基礎がなくて
・電気・水道などのインフラが接続されておらず
・人の居住や長期利用の意図が明らかでない
・流通上の過程にあることが明らか
など、という条件がそろっていれば、建築物とは見なされず、税金もかからないケースがあります。
ただし、これは「必ず非課税」という意味ではなく、あくまでその地域の自治体の判断によります。
現地調査が入って、「これはもう実質建物でしょう」という判断がされると、固定資産税の対象になる可能性もあります。

現場からのリアルなアドバイス

私たちのようにコンテナ建築を専門にしている立場から言うと、「とりあえず置くだけでいいでしょ」では済まないのです。あとで法的にグレーだったり、税金のことでトラブルになるより、最初から「これは建築物として扱われる」と考えて、しっかり建築確認申請をして、納税も見越した計画を立てた方が、結果的に安心ですし、資産価値としてもちゃんと評価されます。

まとめ:コンテナは“使い方次第”で建物にも、箱にもなる

建築的用途(住居・店舗・事務所など)で使うなら「置くだけ」はNG

 → 建築確認申請が必要で、固定資産税も発生します。
仮置き・一時利用で、インフラ接続なし・基礎なしなら、税金がかからないケースもあり
 → ただし、最終的には自治体の判断が重要。

▼最後にひとこと

コンテナハウスは自由度が高く、使い方次第で夢が広がる建築手法です。でも、自由さの裏にはちゃんとした法律や税制のルールがある。そのバランスを理解しておくと、後悔のない選択ができます。「コンテナを置いて終わり」じゃなくて、「暮らしやビジネスの一部として活かす」そんな視点から、ぜひしっかりとした計画を立ててみてください。

▼人が建築的に使っているのに、建築物にならない例外的な状態として「コンテナハウスのトレーラーハウス」があります。これは「建築物」にはなりません。クルマ、「車両」の仲間になります。
コンテナを車検の通る「シャーシー」の上に積載した「コンテナハウスのトレーラーハウス」は建築物ではなく「トレーラーハウス」という車両の概念になりますので、「固定資産税」はかかりませんが、「車両」としての「各種税金」はかかります。
「トレーラーハウス」として認められるにも、いくつかの条件がありますので「トレーラーハウス」としての要件をチェックすることが大事です。

記事の監修者

大屋和彦

大屋和彦

九州大学 芸術工学部卒 芸術工学士
早稲田大学芸術学校 建築都市設計科中退。
建築コンサルタント、アートディレクター、アーティスト、デザイナー。

1995年よりコンテナハウスの研究を開始。以後30年間にわたり、住宅、商業施設、ホテル、福祉施設など300件以上のプロジェクトに携わる。特にホテルをはじめとする宿泊施設型コンテナハウスの設計・施工に圧倒的な実績を誇る。商業施設、住宅分野にも多数の実績があり、コンテナハウス建築業界で幅広く活躍している。