コンテナハウスコラム
四半世紀以上にわたり現場に立ち
研究し続けてきた私たちだから語れる
リアルな“コンテナハウスの深堀り話”です。
更新日:2025.05.18
現代コンテナ建築研究所のサービス
コンテナ建築という選択に応える、3つのステージ
当社は3つのラインで、あなたが実現したいコンテナハウスを作る応援体制を敷いています
ONE OFF/ONE DESIGN/SELF BUILD MODEL 詳細解説
はじめに|なぜ「3ライン」なのか?
コンテナ建築は、20世紀後半に登場して以来、単なる仮設住宅や輸送用構造物の枠を超え、いまや都市と自然、居住と商業、個人と社会の接点に新たな可能性を拓く建築手法として定着し始めました。。
しかし、コンテナを「家」「建築」として捉える際に、誰もが同じ視点・同じゴールを持っているわけではありません。コンテナという素材が放つ工業的な美しさ、運搬や増設のしやすさ、コスト効率の良さ、あるいはDIYの可能性、こうした多様な価値を、誰がどう受け取り、どう活かすかによって、その設計と提供のあり方は大きく異なってきます。
そこで私たちは、コンテナ建築の多様な魅力と志向性を的確に受け止めるために、3つの異なるラインを用意しました。それが、「ONE OFF」「ONE DESIGN」「SELF BUILD MODEL」の3ステージです。
この解説では、それぞれのラインの思想、対象者、設計・施工面の特徴、そしてビジネス的意義に至るまでを、丁寧に掘り下げていきます。
もくじ
ONE OFF:唯一無二をかたちにする作家的建築

1-1. 「表現としての建築」を求める人へ
ONE OFFは、既成のプランや寸法に縛られない、完全なるオーダーメイドラインです。依頼者の哲学やライフスタイル、美意識を出発点に、コンテナという限られた形式にあえて挑むことで、「個」と「素材」が響き合う空間を生み出します。
対象となるのは、建築を「表現」として捉える方。アーティストや建築家志向の強い施主、自邸を作品と考えるような個性的なクライアントです。
1-2. 設計プロセスと思想の共有
このラインでは、建築家(もしくはそれに準ずるデザイナー)との共同作業が重要になります。単なる要望のヒアリングではなく、思想や美学のすり合わせ、スケッチや模型の段階からの対話が基本。
たとえば、光の入り方ひとつ、水の流れひとつ、壁の素材感ひとつに至るまで、依頼主の「こうありたい」という人生哲学が建築に落とし込まれていきます。
1-3. 技術的チャレンジと法規制への対応
ONE OFFでは、技術的にも法的にも柔軟性が求められます。特殊な接合方法、断熱技術、環境配慮型の素材使用など、標準化された施工フローでは対応できないケースも少なくありません。そのため、構造計算・申請プロセスにも手厚いエンジニアリングと監理体制が必要となります。
このラインは、いわばコンテナ建築の最前線。作品であり、実験であり、挑戦の連続でもあるのです。
ONE DESIGN:洗練された「売れ筋」という安心

|2-1. ベストバランスを志向する人のために
ONE DESIGNは、過去の事例や市場の反応を踏まえ、最も需要の高い仕様・間取り・デザインをパッケージ化した「定番シリーズ」です。「手に入れやすく、使いやすく、ちょっとかっこいい」――そんな暮らしのリアリティと美しさの両立を追求しています。
対象者は、デザインに関心はあるけれどフルオーダーはハードルが高いという方。投資用物件や簡易宿泊施設のオーナー、セカンドハウスを探しているミドル層にも人気です。
2-2. コストパフォーマンスと設計の最適化
このシリーズの強みは、「汎用性と洗練」の絶妙なバランスにあります。定型化された寸法、共通パーツの利用、ユニット生産によってコストを抑えながら、細部にはしっかりとしたデザインの意志を通しています。
内装や外装は数パターンから選択可能。必要最低限のカスタマイズが許容されており、「自分だけの空間」という満足感と、「すでに検証された安心感」を両立させるつくりになっています。
2-3. ビジネス展開と量産性
ONE DESIGNは、販売代理店や建築プロデュース事業者との連携による拡販が可能なシリーズでもあります。サンプル展示やVR内覧などとの相性もよく、地域密着型のマーケティング展開にも向いています。
量産可能でありながら、画一的にはならない。むしろ、「シリーズ展開されていること」自体が、コンテナハウスの普及の証明ともいえるでしょう。
SELF BUILD MODEL:自分でつくる、という冒険

3-1. DIYと建築のあいだで
SELF BUILD MODELは、建築確認申請をクリアした「セルフビルド対応パッケージ」です。これは、誰にでもつくれるという意味ではなく、「建築のプロではない個人」が、しっかりとした指導やサポートを受けながら「自分で手を動かす」という前提で設計されたモデルです。
想定される対象者は、DIYに興味がある個人、地域プロジェクトを主導する市民団体、またはワークショップ形式での建設を希望する教育機関などです。
3-2. 設計と申請のクリアランス
このラインの最大の特長は、「合法的に建てられること」。あらかじめ建築確認用の構造設計がなされており、現場では施工ガイドに従ってパーツを組み上げていくだけで済むよう設計されています。難しい基礎工事や配管部分については、専門家のサポートを受けることが推奨されています。
「手間をかける楽しみ」と「構造的安全性」を両立させたモデルです。
3-3. 自作による所有感とストーリー
コンテナハウスは、モノとしての魅力だけでなく、「どう建てたか」「誰とつくったか」というストーリーをも包含する存在です。SELF BUILD MODELは、そうした“物語性”を重視する方にこそフィットします。
また、完成後のメンテナンスやカスタマイズも自分でできるため、持続可能な暮らしへの意識が高い方からの支持も厚くなっています。
終章:コンテナという形式をどう生きるか
コンテナハウスとは単なる「箱」ではありません。それは、既成の価値観や空間の使い方に対する問いかけであり、自由と制限のあいだにある建築的な可能性の探求です。
その問いに対して、誰もが同じ答えを出す必要はありません。
ONE OFFのように芸術としてコンテナを生きる人。
ONE DESIGNのようにバランスを重視し、合理的に取り入れる人。
SELF BUILD MODELのように手を動かし、自らの手で空間を生み出す人。
この3つのラインは、まさに「選ぶ自由」そのものです。
あなたは、どのステージでコンテナという可能性を生きてみたいですか?
記事の監修者

大屋和彦
九州大学 芸術工学部卒 芸術工学士
早稲田大学芸術学校 建築都市設計科中退。
建築コンサルタント、アートディレクター、アーティスト、デザイナー。