コンテナハウスコラム
更新日:2025.02.07
ケーススタディハウス
「ケーススタディハウス」と現代コンテナ建築研究所の「コンテナハウス」
アメリカの「ケーススタディハウス」(Case Study House)プログラムと、現代の「コンテナ建築研究所」の新造コンテナハウスに共通する路線について考察します。
IMCA_現代コンテナ建築研究所のコンテナハウス研究は、米国の「ケーススタディハウス」のムーブメントの現代版的なイメージで進めています。工業化住宅をスタイリッシュに人類のために使えるオープンソースのシステム建築に昇華させるのが目標なのです。


アメリカで起こった「ケーススタディハウス」というムーブメントの概要を記しますね。
⚫️時代背景としては、1945年から1966年にかけて、「アーツ&アーキテクチュア誌」が主導した建築実験プロジェクトで、第二次世界大戦後の住宅不足解消を目指し、モダニズム建築のアイデアを実施コンペ形式で実現しました。20年以上にわたって、細く長く続いたムーヴメントです。
⚫️目的: 効率的かつ低コストで量産可能な住宅デザインの模索。しかも新しい時代に向けて気鋭の建築家のデザインで進められました。
⚫️ 特徴: シンプルでモジュール化されたデザイン• プレハブ技術を導入• ガラス、鉄骨、コンクリートといった素材の利用• 居住空間と周囲の自然の調和 というテーマが大きく取り上げられていたのです。出来上がった実作はいずれも時代的に「インパクト」は大きく、時代の建築物に大きな影響を与えてきました。ムーブメントは「細く長く」続いた活動だった。今改めてその活動の意義が注目されているのは、「そこから生まれたもの」が大きかったからだろうと思います。
現代コンテナ建築研究所の海洋輸送用ではない、「建築系」=建築基準法をベースにした「新造コンテナハウス」について。
• 背景: 近年のサステナブル建築や住宅不足問題への対応として、コンテナ建築が注目されています。
多くは中古の海洋輸送用コンテナを使って居住用にコンバートするなどの活動が多くなされていますが、IMCA_現代コンテナ建築研究所は「建築基準法」を重視した新造建築用コンテナを開発しての「コンテナハウス」であるのは理由があります。
その理由とは下記のようなことです。
• 中古の海洋輸送コンテナを使わず、あえて新造コンテナを利用することで設計の柔軟性と品質向上を図る。
• 建築基準法や断熱性、寸法の自由度を確保しやすい。
• モジュール型のため迅速な組み立てが可能。
• 持続可能性やエネルギー効率を考慮した設計が進む。
中古のコンテナを利用するという発想は「リユース」という点では確かにいい着目点ですが、「安心安全」を担保すべき「住宅」などに、どこでどう使われていたかもわからない「トレーサビリティ」のないコンテナを使うのは少々配慮に欠けるのではないかという思いがあります。

IMCA_現代コンテナ建築研究所のコンテナハウス BENZ:NEXT DOOR

IMCA_現代コンテナ建築研究所のコンテナハウス 石垣島_グランピング施設
米国のケーススタディハウスと当社のコンテナハウスが共通する路線
1. モジュール設計と量産性の追求
・ ケーススタディハウスもコンテナ建築も、モジュール化された設計による迅速な施工と効率的な建築を志向します。その事は「質の高い量産」や「素早い供給力」「サスティナブル」な利用価値などにつながる現代的なニーズに応えられるからです。
2. 低コストと機能性の両立
• ケーススタディハウスは大量生産を視野に入れたコスト効率を目指し、コンテナ建築も既存技術の応用でコスト削減は同じく目指します。
3. サステナビリティと資源活用
• ケーススタディハウスは資源効率やシンプルさを重視しています。IMCA現代コンテナ建築研究所の新造コンテナ建築はエネルギー効率と断熱性能などサステナブル建築の視点を取り入れます。
4. 現代的デザイン思想の採用
• ケーススタディハウスは当時のモダニズム建築を採用し、コンテナ建築はシンプルで洗練されたデザインが求められています。ここは目指すものは同じと言えるでしょう。
5. 住宅の再定義
• 両者とも従来の住宅建築の概念を再構築し、新しい暮らしのあり方を提案する点で共通します。時代とともに「住宅」の概念も変わったり、多様化したりします。結節点での「再定義」は必要なのだと感じます。
相違点
• 素材と建築方法: ケーススタディハウスはガラスや鉄骨、コンクリートを主体とする伝統的な建築素材を用いるのに対し、コンテナ建築は金属製のモジュールが主役に見えますが、構造的には「ラーメン構造」や「ブレース構造」という構造形式をとる以上「面」からの自由度は高いので、「コンクリート」からの解放は目指しても、「ガラス」との親和性は同じレベルだとかんがえられます。
• サステナビリティのアプローチ: ケーススタディハウスは時代的に環境負荷よりも機能とデザインが重視されましたが、現代のコンテナ建築はエコ建築やカーボンフットプリント低減が重要視されてい流環境での活動になります。
興味深い視点として、コンテナ建築は「未来のケーススタディ」とも言えます。両者は時代の技術や社会的要請に応じた住宅の実験的な探求という共通の理念を持っていると言えるでしょう。
以下_ケーススタディハウスの実例


ケーススタディハウス #22 (スタール邸)1960年」(Case Study House, Stahl House)

Case Study House 21, Wonderland Avenue, Hollywood Hill, Los Angeles. Living room from patio., Architect:Pierre Koenig


イームズハウス ケーススタディハウス #8