コンテナハウスコラム

四半世紀以上にわたり現場に立ち
研究し続けてきた私たちだから語れる
リアルな“コンテナハウスの深堀り話”です。

更新日:2025.12.03

02_コンテナハウスと法規制

コンテナハウスって、固定資産税がかかるんですか?

A:この質問、よく聞かれるんですよね。
「コンテナを買って、庭とか敷地にポンと置くだけなら、固定資産税とかかからないんでしょ?」って。

結論から言うと、使い方次第です。どんなふうに使うかによって、「ただの箱」になるのか、「建物」と見なされるのかがガラッと変わってくるんです。

「置くだけ」なら本当に大丈夫?いや、ちょっと待ってください

まず、コンテナを「置くだけ」って言っても、
たとえば中に家具を入れて、照明やエアコンをつけて、人が出入りするような状態──つまり住んだり働いたりする用途で使うとなると、これはもう「立派な建築物」として扱われます。判断の基準は「設備系」のもの(電気設備、給排水設備)が引き込まれているかどうか、が基準になることが多いようです。それらは「人が使うための設備」ですから、そのような判断の基準になリエルということですね。
特に都市計画区域内では、法律上「建築物」と見なされると、建築確認申請が必要です。
これは役所に図面を出して、「この場所に、こういう建物を建てますよ」ってちゃんと許可を取る手続きのことですね。建築物ということになると「建築基準法の適用」を受けますから「建築基準法」を守らねばならなくなり、「建築確認申請」をして建築し、出来上がったら「完了検査」を受けて、正しく作られているかどうかのチェックを受けて「検査済証」をもらうことになります。
だから、ただ地面にポンと置いて、「これは建物じゃないんです」と主張しても、役所の担当者から見れば、「基礎で固定してるし、水道・電気も引いてるし、人も使ってるし、これはもう建物ですよね?」
という判断になります。

建物になるとどうなる? 税務上は「 固定資産税」が発生します!

建築物としてきちんと認められたコンテナハウスは、当然、固定資産税の課税対象になります。
これは木造や鉄骨の家と同じで、「建物の構造・規模・設備」などをもとに評価されて、
毎年、自治体から納税通知書が届くようになります。ちなみに、コンテナだからといって税金が安くなるわけではありません。ちゃんとした建物として使っている限りは、コンテナも立派な“資産”です。

 じゃあ、置いただけなら本当に非課税なの?

はい、建築用途ではなく、「あくまで仮置きです」とか「一時的な物置です」といった使い方で、
・基礎がなくて
・電気・水道などのインフラが接続されておらず
・人の居住や長期利用の意図が明らかでない
・流通上の過程にあることが明らか
など、という条件がそろっていれば、建築物とは見なされず、税金もかからないケースがあります。
ただし、これは「必ず非課税」という意味ではなく、あくまでその地域の自治体の判断によります。
現地調査が入って、「これはもう実質建物でしょう」という判断がされると、固定資産税の対象になる可能性もあります。

現場からのリアルなアドバイス

私たちのようにコンテナ建築を専門にしている立場から言うと、「とりあえず置くだけでいいでしょ」では済まないのです。あとで法的にグレーだったり、税金のことでトラブルになるより、最初から「これは建築物として扱われる」と考えて、しっかり建築確認申請をして、納税も見越した計画を立てた方が、結果的に安心ですし、資産価値としてもちゃんと評価されます。

まとめ:コンテナは“使い方次第”で建物にも、箱にもなる

建築的用途(住居・店舗・事務所など)で使うなら「置くだけ」はNG

 → 建築確認申請が必要で、固定資産税も発生します。
仮置き・一時利用で、インフラ接続なし・基礎なしなら、税金がかからないケースもあり
 → ただし、最終的には自治体の判断が重要。

結論:場合によって「かかる」「かからない」が分かれます

固定資産税がかかるケース(=ほぼ“建物扱い”)

おおむね、こんな状態だと建物とみなされて固定資産税の対象になります。

  • コンクリート基礎などで土地にがっちり固定されている
  • 屋根・壁があって、
    • 住宅
    • 事務所
    • 店舗
    • 倉庫
      などとして継続的に使う前提
  • 給排水・電気などのインフラを常設接続している
  • 建築確認を取って「建物」として登記している/する前提

= いわゆる
「ちゃんとしたコンテナハウス」「店舗コンテナ」「スタートハウス」
は、ほぼ固定資産税がかかる世界だと思ってください。

固定資産税がかからない(ことが多い)ケース

逆に、例えばこんな状態だと**“動産扱い”で固定資産税(建物分)はかからないことが多い**です。

  • トレーラーに載せたままの移動販売車的なもの
  • 基礎に固定されておらず、いつでもクレーンで持ち上げて移動できる置きコンテナ
  • 期間限定イベント用で、短期間だけ置いてすぐ撤去するもの

ただしこれも、

  • 事業用として持っている場合は
    → **償却資産税(事業用設備にかかる税)**の対象になる可能性あり

なので、「税金ゼロ」とは限りません。

実務上どう考えればいいか

1. 建築確認を取るレベル=ほぼ固定資産税の世界

IMCA_現代コンテナ建築研究所のやっている 建築用新造コンテナ+建築確認コンテナハウス は、
基本的にふつうの建物と同じ扱いと思ってOKです。

「建築基準法をちゃんと守れる建物」= 「固定資産税もふつうの建物と同じくかかる」
このセットで考えた方がブレません。

2. グレーな場合は「市役所の資産税課」に聞く一択

コンテナは使い方によっては、まさにグレーゾーンの代表格なので、

  • その設置状況
  • 使い方(住居?倉庫?店?)
  • 基礎の有無
  • 期間(常設か、期間限定か)

によって自治体の判断が微妙に違うことがあります。

最終的には、計画している現場の市役所・区役所の「固定資産税(資産税)担当」に図面・写真・用途を持って相談。これが一番確実です。

まとめ(覚え方)

  • 建築確認を取る “ちゃんとしたコンテナハウス” → 原則、建物として固定資産税あり
  • 置くだけ・動かせる・期間限定 → 条件次第で「建物扱いにならない」場合もある
  • ただし事業用なら、償却資産税の対象になる可能性は残る

前にもお伝えしたとおり、
IMCAのコンテナは「建築物としてちゃんと成立させる世界」なので、
税制も“建物寄り”の世界観で設計しておくのが筋、という整理でいいと思います。

▼最後にひとこと

コンテナハウスは自由度が高く、使い方次第で夢が広がる建築手法です。でも、自由さの裏にはちゃんとした法律や税制のルールがある。そのバランスを理解しておくと、後悔のない選択ができます。「コンテナを置いて終わり」じゃなくて、「暮らしやビジネスの一部として活かす」そんな視点から、ぜひしっかりとした計画を立ててみてください。

▼人が建築的に使っているのに、建築物にならない例外的な状態として「コンテナハウスのトレーラーハウス」があります。これは「建築物」にはなりません。クルマ、「車両」の仲間になります。
コンテナを車検の通る「シャーシー」の上に積載した「コンテナハウスのトレーラーハウス」は建築物ではなく「トレーラーハウス」という車両の概念になりますので、「固定資産税」はかかりませんが、「車両」としての「各種税金」はかかります。
「トレーラーハウス」として認められるにも、いくつかの条件がありますので「トレーラーハウス」としての要件をチェックすることが大事です。

 Q&A_10選

Q1. コンテナハウスって、固定資産税はかかるんですか?

A.
「建物」とみなされるコンテナハウスには、基本的に固定資産税がかかります。
下の条件に当てはまると、ほぼ建物扱いになります。

  • 基礎(コンクリートなど)で土地にしっかり固定されている

  • 屋根・壁・床があり、住宅や店舗として継続的に使う前提

  • 電気・給排水などの設備が常設接続されている

  • 建築確認を取って「建物」として扱う計画になっている

この条件でつくるコンテナハウスは、
通常の木造や鉄骨の家・店舗と同じように固定資産税の対象になります。


Q2. 「置いてあるだけのコンテナ」なら税金はかからないんですか?

A.
“完全に動かせる置きコンテナ”なら、建物としての固定資産税がかからない場合があります。
例えば:

  • 基礎に固定していない(簡易な束石の上に乗っているだけ 等)

  • クレーンやフォークリフトで簡単に移動できる

  • 短期利用の資材置き場・仮設倉庫として使っている

といった場合です。

ただし、事業用として使っている場合は
「償却資産」として別の税(償却資産税)の対象になることがあり、
「税金ゼロ」とは限りません。

どちら扱いになるかは自治体の判断になるので、最終的には市役所で確認が必要です。


Q3. 建築確認を取ったコンテナハウスは、固定資産税がかかる前提と考えるべき?

A.
ほぼそのイメージでOKです。

  • 建築確認

  • 検査済証

  • 不動産としての登記

このラインで進めるコンテナハウスは、
「建物」として公的に認めてください、と自分から名乗っている状態なので、
固定資産税の世界に入るのが前提と考えた方がブレません。

IMCAのように「建築用新造コンテナ」でちゃんと建築物として成立させる場合は、
法的にも税務的にも“普通の建物寄りの扱い”になると思っておくと安心です。


Q4. トレーラーに載せたコンテナハウスなら、固定資産税はかかりませんか?

A.
「車両扱い」にできるケースもありますが、何でもOKとは言えません。

  • 自動車として登録されている

  • 公道を走れる状態のまま使う

  • 土地に恒久的に固定していない

といった条件を満たすと、建物ではなく「車」として扱われ、
固定資産税(建物分)はかからないことがあります。

ただし現実には、

  • 実質的には全く動かしていない

  • 階段・デッキ・インフラが完全に固定されている

などの場合、自治体によっては「実質、建物では?」と見られる可能性もゼロではありません。
ギリギリを攻める設計は、のちのちトラブルのもとなので注意が必要です。


Q5. コンテナハウスを別荘・セカンドハウスにした場合も、固定資産税はかかりますか?

A.
かかります。
使う頻度(住みっぱなしか、年に数回か)は関係なく、

  • 「建物」として認定されるかどうか

で判断されます。

別荘地に建てたコンテナの別荘も、
基礎があり、建築確認を通して建物として使うなら
普通の別荘と同じように固定資産税の対象です。


Q6. 固定資産税はいくらくらいかかるんですか?(コンテナだから安い/高いはある?)

A.
税額は、**「評価額 × 税率」**で決まります。

評価額は、

  • 構造(木造・軽量鉄骨・鉄骨造 等)

  • 延べ床面積

  • 仕様・グレード

  • 経過年数

などから算定されるので、
「コンテナだから特別高い/安い」というより、
中身の仕様次第で評価額が決まる
と考えるのが正確です。

見た目がコンテナでも、

  • 構造が鉄骨造

  • 断熱・内装・設備をしっかり入れている

という場合は、評価のロジックとしては**「鉄骨の小さな家」**に近い扱いになります。


Q7. 土地の固定資産税と、コンテナハウスの固定資産税は別物ですか?

A.
はい、別々に課税されます。

  • 土地の固定資産税

  • 建物(コンテナハウス)の固定資産税

は、それぞれ評価額があり、それぞれに税率がかかります。

土地だけ持っている状態では「土地の税金」だけですが、
そこにコンテナハウスを建てると、
土地+建物の合計として毎年の税負担が増えるイメージです。


Q8. ちいさなコンテナハウス(10㎡未満)なら、固定資産税はかかりませんか?

A.
面積が小さいからと言って、自動的に「税金なし」になるわけではありません。

  • 用途

  • 構造

  • どれくらい恒久的か(基礎・インフラ接続など)

で「建物」と判断されれば、
小さくても固定資産税の対象になる可能性があります。

逆に、10㎡を少し超えていても、
仮設扱い・短期利用で建物と見なされないケースもあります。

面積だけでグレーゾーンを攻めるのは危険なので、
最終判断は必ず自治体に確認を。


Q9. 事業用コンテナハウス(店舗・オフィス)の場合、何か違いはありますか?

A.
税目の考え方が少し増えます。

  • 建物としての固定資産税(器の部分)

  • 事業で使う設備・什器 → 償却資産税の対象

たとえば、

  • コンテナの建物部分 → 固定資産税(建物)

  • 店舗内の厨房機器・ゴルフシミュレーター・看板 → 償却資産税

のように、建物と設備が別々に評価されるイメージです。

IMCAのように「ゴルフ場スタートハウス」「カフェコンテナ」などを計画するなら、
建物+設備トータルでの毎年の税負担も含めて事業計画を組むのが現実的です。


Q10. 最終的には、どこに相談すればハッキリわかりますか?

A.
いちばん確実なのは、**計画地を所管している市区町村の「資産税課」や「固定資産税担当窓口」**です。

  • コンテナの図面・写真

  • 基礎の有無

  • 用途(住宅・店舗・倉庫・別荘など)

  • 設置期間(常設か、一時的か)

を持って相談すると、
「これは建物として評価します」「これは動産扱いです」といった
その自治体なりの判断基準を教えてくれます。

コンテナハウスは、

  • 建築基準法の世界

  • 税法(固定資産税・償却資産税)の世界

ちょうど境目を攻めるプロダクトなので、
最終的な線引きは「現場を見ている自治体の判断」が一番強いです。


IMCA_現代コンテナ建築研究所は
「建築用新造コンテナでちゃんと建物をつくる=基本は“建物扱い”で考えています」

記事の監修者

大屋和彦

大屋和彦

九州大学 芸術工学部卒 芸術工学士
早稲田大学芸術学校 建築都市設計科中退。
建築コンサルタント、アートディレクター、アーティスト、デザイナー。

1995年よりコンテナハウスの研究を開始。以後30年間にわたり、住宅、商業施設、ホテル、福祉施設など300件以上のプロジェクトに携わる。特にホテルをはじめとする宿泊施設型コンテナハウスの設計・施工に圧倒的な実績を誇る。商業施設、住宅分野にも多数の実績があり、コンテナハウス建築業界で幅広く活躍している。