コンテナハウスコラム
四半世紀以上にわたり現場に立ち
研究し続けてきた私たちだから語れる
リアルな“コンテナハウスの深堀り話”です。
A:この質問、よく聞かれるんですよね。
「コンテナを買って、庭とか敷地にポンと置くだけなら、固定資産税とかかからないんでしょ?」って。
結論から言うと、使い方次第です。どんなふうに使うかによって、「ただの箱」になるのか、「建物」と見なされるのかがガラッと変わってくるんです。
もくじ
「置くだけ」なら本当に大丈夫?いや、ちょっと待ってください
まず、コンテナを「置くだけ」って言っても、
たとえば中に家具を入れて、照明やエアコンをつけて、人が出入りするような状態──つまり住んだり働いたりする用途で使うとなると、これはもう「立派な建築物」として扱われます。判断の基準は「設備系」のもの(電気設備、給排水設備)が引き込まれているかどうか、が基準になることが多いようです。それらは「人が使うための設備」ですから、そのような判断の基準になリエルということですね。
特に都市計画区域内では、法律上「建築物」と見なされると、建築確認申請が必要です。
これは役所に図面を出して、「この場所に、こういう建物を建てますよ」ってちゃんと許可を取る手続きのことですね。建築物ということになると「建築基準法の適用」を受けますから「建築基準法」を守らねばならなくなり、「建築確認申請」をして建築し、出来上がったら「完了検査」を受けて、正しく作られているかどうかのチェックを受けて「検査済証」をもらうことになります。
だから、ただ地面にポンと置いて、「これは建物じゃないんです」と主張しても、役所の担当者から見れば、「基礎で固定してるし、水道・電気も引いてるし、人も使ってるし、これはもう建物ですよね?」
という判断になります。

建物になるとどうなる? 税務上は「 固定資産税」が発生します!
建築物としてきちんと認められたコンテナハウスは、当然、固定資産税の課税対象になります。
これは木造や鉄骨の家と同じで、「建物の構造・規模・設備」などをもとに評価されて、
毎年、自治体から納税通知書が届くようになります。ちなみに、コンテナだからといって税金が安くなるわけではありません。ちゃんとした建物として使っている限りは、コンテナも立派な“資産”です。

じゃあ、置いただけなら本当に非課税なの?
はい、建築用途ではなく、「あくまで仮置きです」とか「一時的な物置です」といった使い方で、
・基礎がなくて
・電気・水道などのインフラが接続されておらず
・人の居住や長期利用の意図が明らかでない
・流通上の過程にあることが明らか
など、という条件がそろっていれば、建築物とは見なされず、税金もかからないケースがあります。
ただし、これは「必ず非課税」という意味ではなく、あくまでその地域の自治体の判断によります。
現地調査が入って、「これはもう実質建物でしょう」という判断がされると、固定資産税の対象になる可能性もあります。

現場からのリアルなアドバイス
私たちのようにコンテナ建築を専門にしている立場から言うと、「とりあえず置くだけでいいでしょ」では済まないのです。あとで法的にグレーだったり、税金のことでトラブルになるより、最初から「これは建築物として扱われる」と考えて、しっかり建築確認申請をして、納税も見越した計画を立てた方が、結果的に安心ですし、資産価値としてもちゃんと評価されます。

まとめ:コンテナは“使い方次第”で建物にも、箱にもなる
建築的用途(住居・店舗・事務所など)で使うなら「置くだけ」はNG
→ 建築確認申請が必要で、固定資産税も発生します。
仮置き・一時利用で、インフラ接続なし・基礎なしなら、税金がかからないケースもあり
→ ただし、最終的には自治体の判断が重要。

結論:場合によって「かかる」「かからない」が分かれます
固定資産税がかかるケース(=ほぼ“建物扱い”)
おおむね、こんな状態だと建物とみなされて固定資産税の対象になります。
- コンクリート基礎などで土地にがっちり固定されている
- 屋根・壁があって、
- 住宅
- 事務所
- 店舗
- 倉庫
などとして継続的に使う前提
- 給排水・電気などのインフラを常設接続している
- 建築確認を取って「建物」として登記している/する前提
= いわゆる
「ちゃんとしたコンテナハウス」「店舗コンテナ」「スタートハウス」
は、ほぼ固定資産税がかかる世界だと思ってください。
固定資産税がかからない(ことが多い)ケース
逆に、例えばこんな状態だと**“動産扱い”で固定資産税(建物分)はかからないことが多い**です。
- トレーラーに載せたままの移動販売車的なもの
- 基礎に固定されておらず、いつでもクレーンで持ち上げて移動できる置きコンテナ
- 期間限定イベント用で、短期間だけ置いてすぐ撤去するもの
ただしこれも、
- 事業用として持っている場合は
→ **償却資産税(事業用設備にかかる税)**の対象になる可能性あり
なので、「税金ゼロ」とは限りません。
実務上どう考えればいいか
1. 建築確認を取るレベル=ほぼ固定資産税の世界
IMCA_現代コンテナ建築研究所のやっている 建築用新造コンテナ+建築確認コンテナハウス は、
基本的にふつうの建物と同じ扱いと思ってOKです。
「建築基準法をちゃんと守れる建物」= 「固定資産税もふつうの建物と同じくかかる」
このセットで考えた方がブレません。
2. グレーな場合は「市役所の資産税課」に聞く一択
コンテナは使い方によっては、まさにグレーゾーンの代表格なので、
- その設置状況
- 使い方(住居?倉庫?店?)
- 基礎の有無
- 期間(常設か、期間限定か)
によって自治体の判断が微妙に違うことがあります。
最終的には、計画している現場の市役所・区役所の「固定資産税(資産税)担当」に図面・写真・用途を持って相談。これが一番確実です。
まとめ(覚え方)
- 建築確認を取る “ちゃんとしたコンテナハウス” → 原則、建物として固定資産税あり
- 置くだけ・動かせる・期間限定 → 条件次第で「建物扱いにならない」場合もある
- ただし事業用なら、償却資産税の対象になる可能性は残る
前にもお伝えしたとおり、
IMCAのコンテナは「建築物としてちゃんと成立させる世界」なので、
税制も“建物寄り”の世界観で設計しておくのが筋、という整理でいいと思います。
▼最後にひとこと
コンテナハウスは自由度が高く、使い方次第で夢が広がる建築手法です。でも、自由さの裏にはちゃんとした法律や税制のルールがある。そのバランスを理解しておくと、後悔のない選択ができます。「コンテナを置いて終わり」じゃなくて、「暮らしやビジネスの一部として活かす」そんな視点から、ぜひしっかりとした計画を立ててみてください。
▼人が建築的に使っているのに、建築物にならない例外的な状態として「コンテナハウスのトレーラーハウス」があります。これは「建築物」にはなりません。クルマ、「車両」の仲間になります。
コンテナを車検の通る「シャーシー」の上に積載した「コンテナハウスのトレーラーハウス」は建築物ではなく「トレーラーハウス」という車両の概念になりますので、「固定資産税」はかかりませんが、「車両」としての「各種税金」はかかります。
「トレーラーハウス」として認められるにも、いくつかの条件がありますので「トレーラーハウス」としての要件をチェックすることが大事です。
Q&A_10選
Q1. コンテナハウスって、固定資産税はかかるんですか?
A.
「建物」とみなされるコンテナハウスには、基本的に固定資産税がかかります。
下の条件に当てはまると、ほぼ建物扱いになります。
-
基礎(コンクリートなど)で土地にしっかり固定されている
-
屋根・壁・床があり、住宅や店舗として継続的に使う前提
-
電気・給排水などの設備が常設接続されている
-
建築確認を取って「建物」として扱う計画になっている
この条件でつくるコンテナハウスは、
通常の木造や鉄骨の家・店舗と同じように固定資産税の対象になります。
Q2. 「置いてあるだけのコンテナ」なら税金はかからないんですか?
A.
“完全に動かせる置きコンテナ”なら、建物としての固定資産税がかからない場合があります。
例えば:
-
基礎に固定していない(簡易な束石の上に乗っているだけ 等)
-
クレーンやフォークリフトで簡単に移動できる
-
短期利用の資材置き場・仮設倉庫として使っている
といった場合です。
ただし、事業用として使っている場合は
「償却資産」として別の税(償却資産税)の対象になることがあり、
「税金ゼロ」とは限りません。
どちら扱いになるかは自治体の判断になるので、最終的には市役所で確認が必要です。
Q3. 建築確認を取ったコンテナハウスは、固定資産税がかかる前提と考えるべき?
A.
ほぼそのイメージでOKです。
-
建築確認
-
検査済証
-
不動産としての登記
このラインで進めるコンテナハウスは、
「建物」として公的に認めてください、と自分から名乗っている状態なので、
固定資産税の世界に入るのが前提と考えた方がブレません。
IMCAのように「建築用新造コンテナ」でちゃんと建築物として成立させる場合は、
法的にも税務的にも“普通の建物寄りの扱い”になると思っておくと安心です。
Q4. トレーラーに載せたコンテナハウスなら、固定資産税はかかりませんか?
A.
「車両扱い」にできるケースもありますが、何でもOKとは言えません。
-
自動車として登録されている
-
公道を走れる状態のまま使う
-
土地に恒久的に固定していない
といった条件を満たすと、建物ではなく「車」として扱われ、
固定資産税(建物分)はかからないことがあります。
ただし現実には、
-
実質的には全く動かしていない
-
階段・デッキ・インフラが完全に固定されている
などの場合、自治体によっては「実質、建物では?」と見られる可能性もゼロではありません。
ギリギリを攻める設計は、のちのちトラブルのもとなので注意が必要です。
Q5. コンテナハウスを別荘・セカンドハウスにした場合も、固定資産税はかかりますか?
A.
かかります。
使う頻度(住みっぱなしか、年に数回か)は関係なく、
-
「建物」として認定されるかどうか
で判断されます。
別荘地に建てたコンテナの別荘も、
基礎があり、建築確認を通して建物として使うなら
普通の別荘と同じように固定資産税の対象です。
Q6. 固定資産税はいくらくらいかかるんですか?(コンテナだから安い/高いはある?)
A.
税額は、**「評価額 × 税率」**で決まります。
評価額は、
-
構造(木造・軽量鉄骨・鉄骨造 等)
-
延べ床面積
-
仕様・グレード
-
経過年数
などから算定されるので、
「コンテナだから特別高い/安い」というより、
中身の仕様次第で評価額が決まると考えるのが正確です。
見た目がコンテナでも、
-
構造が鉄骨造
-
断熱・内装・設備をしっかり入れている
という場合は、評価のロジックとしては**「鉄骨の小さな家」**に近い扱いになります。
Q7. 土地の固定資産税と、コンテナハウスの固定資産税は別物ですか?
A.
はい、別々に課税されます。
-
土地の固定資産税
-
建物(コンテナハウス)の固定資産税
は、それぞれ評価額があり、それぞれに税率がかかります。
土地だけ持っている状態では「土地の税金」だけですが、
そこにコンテナハウスを建てると、
土地+建物の合計として毎年の税負担が増えるイメージです。
Q8. ちいさなコンテナハウス(10㎡未満)なら、固定資産税はかかりませんか?
A.
面積が小さいからと言って、自動的に「税金なし」になるわけではありません。
-
用途
-
構造
-
どれくらい恒久的か(基礎・インフラ接続など)
で「建物」と判断されれば、
小さくても固定資産税の対象になる可能性があります。
逆に、10㎡を少し超えていても、
仮設扱い・短期利用で建物と見なされないケースもあります。
面積だけでグレーゾーンを攻めるのは危険なので、
最終判断は必ず自治体に確認を。
Q9. 事業用コンテナハウス(店舗・オフィス)の場合、何か違いはありますか?
A.
税目の考え方が少し増えます。
-
建物としての固定資産税(器の部分)
-
事業で使う設備・什器 → 償却資産税の対象
たとえば、
-
コンテナの建物部分 → 固定資産税(建物)
-
店舗内の厨房機器・ゴルフシミュレーター・看板 → 償却資産税
のように、建物と設備が別々に評価されるイメージです。
IMCAのように「ゴルフ場スタートハウス」「カフェコンテナ」などを計画するなら、
建物+設備トータルでの毎年の税負担も含めて事業計画を組むのが現実的です。
Q10. 最終的には、どこに相談すればハッキリわかりますか?
A.
いちばん確実なのは、**計画地を所管している市区町村の「資産税課」や「固定資産税担当窓口」**です。
-
コンテナの図面・写真
-
基礎の有無
-
用途(住宅・店舗・倉庫・別荘など)
-
設置期間(常設か、一時的か)
を持って相談すると、
「これは建物として評価します」「これは動産扱いです」といった
その自治体なりの判断基準を教えてくれます。
コンテナハウスは、
-
建築基準法の世界
-
税法(固定資産税・償却資産税)の世界
のちょうど境目を攻めるプロダクトなので、
最終的な線引きは「現場を見ている自治体の判断」が一番強いです。
IMCA_現代コンテナ建築研究所は
「建築用新造コンテナでちゃんと建物をつくる=基本は“建物扱い”で考えています」

記事の監修者
大屋和彦
九州大学 芸術工学部卒 芸術工学士
早稲田大学芸術学校 建築都市設計科中退。
建築コンサルタント、アートディレクター、アーティスト、デザイナー。
