コンテナハウス施工事例

更新日:2025.06.01

商業施設

四番町の最高のコンテナハウス「No.4」

四番町の No.4「ちょっと見た目にはわからない」コンテナハウスの正体

静かに時が流れるこの街角に、「No.4」というカフェがある。ぱっと見には、それがコンテナハウスだとは気づかないかもしれない。けれど、それはまぎれもなく“コンテナ建築”である。そして、だからこそ成立した空間でもある。「No.4」は、コンテナハウスであることを、あえて誇示しない。むしろ、ただの“箱”に見せかけながら、その内側に、居心地という名の「答え」を仕込んでいる。
クライアントからの要望も「ここは日テレの発祥地です。江戸時代から所有するこの土地に建てるCAFEには「江戸情緒」を入れてほしい」だった。コンテナハウスに江戸情緒を入れる。
その回答は「大屋根と周りの敷地の江戸紋様」などだった。

街のなかに、ほんの少しの「抜け」と「間」を持ち込む

そして、設計のキーワードは、柔らかさと精度。直線的なコンテナの輪郭に、木材や植栽を添えて、温度のある余白を生み出す。街のなかに、ほんの少しの「抜け」と「間」を持ち込むことで、この場所は、日常の隙間に浮かぶような、ふっと立ち寄りたくなる風景になった。

「隠れたコンテナ性」── 建築が語る新しい匿名性

この建物には、よくある“コンテナ然”とした主張はない。リブ鉄板も、原色の塗装も、あまり目立った状態では見当たらない。

けれど実は、40フィートコンテナ×4本+10フィートコンテナX2台という構成のなかで、冷暖房効率、水回りのコンパクト化、運搬性、そして将来的な移設の可能性までも考慮された“システム”が組まれている。

実はこの地域は遠くない将来に「再開発」が計画されている。それまでの有効利用という意味もある建物だ。その時が来たら「こわす」というのいは時代にそぐわない。「どこかに移転させて次の役割を担う」というのが時代的に要求される。その要求に応えるのが「コンテナ建築」という選択でもあるのだ。つまりこれは、見えない部分に思想がある建築だ。
派手な変身ではなく、さりげない“変容”としての建築。コンテナ建築は、ここでまたひとつ、新しい顔を持った。

四番町_No.4は「問い」である。 

「コンテナハウスって、こうじゃなきゃダメ?」「小さな建築って、主張しなきゃ価値がない?」「カフェの正解って、ほんとうに“デザイン”の話だけ?」そんな問いが、そっと滲むように配置されている空間。それが、四番町の No.4 だ。

ここは、「暮らす」と「働く」と「憩う」が、ほんの少しだけ重なり合う、街の節点。空間のサイズ以上に、関係性の密度が高い。それを可能にしたのが、じつは「コンテナ建築」だったというのは、少し不思議で、でもたしかに納得できることだ。

「No.4」は、コンテナ建築の解答のひとつだが、同時に問いの形をしている

「No.4」は、コンテナ建築の“解答”のひとつだ。けれど、同時にそれは、問いのかたちをしている。私たちはコンテナを使って、ただ建築をつくるのではない。日常のなかに、少しだけ視点が変わる“余白”を差し込む。そこから生まれる時間と関係の、その静かな可能性を信じている。