コンテナハウスコラム
四半世紀以上にわたり現場に立ち
研究し続けてきた私たちだから語れる
リアルな“コンテナハウスの深堀り話”です。
更新日:2025.07.12
コンテナハウスを取り巻く法規制
コンテナハウスを取り巻く法規制をわかりやすく解説!第1章
第1章 そもそもコンテナハウスは“建築物”なのか?
もくじ
「置くだけだから、家じゃないよね?」という幻想
コンテナハウスを考えている人の多くが、最初に口にする言葉があります。「いやいや、これは“建てる”んじゃなくて『“置くだけ”』ですから」
そう言いながら、輸送用の中古コンテナをぽんと土地の上に載せて、「住めるように」DIYしたり、物置や店舗として使おうとしたり。ところが――ここに法の落とし穴が待っています。その落とし穴の名前は、「建築基準法」(爆)です。

建築基準法における「建築物」の定義
では、「建築物」とは、いったい何を指すのでしょうか?これは、建築基準法第2条にきちんと定義があります。建築物とは、「屋根および柱、または壁を有する工作物」であって、土地に定着するものをいう。つまり――屋根があって、柱か壁があって、地面に“据え置かれている”もの。それが「建築物」なのです。
では、あなたが庭先に置こうとしているそのコンテナ――
屋根がある? → はい、あります。
壁がある? → もちろん、鉄板で囲まれています。
地面に固定している? → ブロックの上に置いてますけど……。ということは、十分に「建築物」として扱われる可能性があるのです。

仮設・可動式でもアウト?「建築物扱いされる条件」とは
「仮設だから!」「タイヤ付きだから!」「すぐどかせるから!」という理由で「建築物じゃない」と思われがちですが、実際には以下のようなケースでも建築物扱いになります。
ケース | 建築物扱い? | 理由 |
コンテナを庭に置いて物置にする | ◯ | 使用の継続性がある/屋根・壁あり |
地面に固定せず、基礎ブロックの上に置いた | ◯ | 実質的な定着とみなされる |
タイヤ付きトレーラーを事務所代わりに常設 | △ | 道路を走っておらず、居住性ありは建築物。(すぐさま走り出せる場合は「車両扱い」になることも) |
工事現場の仮設事務所 | ✕(ただし許可は必要) | 使用期間が短期かつ許可取得済 |
つまり、「可動式」「仮設」「移動できる」といった言葉は、法的には何の免罪符にもならないのです。行政が見るのは、「それが実質的に“住める構造物”かどうか」だけ。
今まで、何人もの方から今まで相談を受けました
例えば『ある方から中古のコンテナが安く出ていたので、チャンスと思ってすで購入しました。」そのコンテナを使って「美容室」を開業しようと思ったのですが、役所に尋ねたら「輸送用のコンテナでは確認申請を通せません、そのコンテナは使えません」と言われました。なんとかする方法はありませんか?』
ありがちなパターンです。実はなんとかする方法はなくはない(JIS鋼材による補強)のですが、「建築用新造コンテナ」を改めて購入する方が安くつきます(笑)。
なので、しっかりこの記事を読んで間違いない方向へ進んでください。

建築確認申請が必要になるか、チェックリスト
「建築物」として扱われる場合、建築確認申請が必要になります。以下のような場合は、原則として申請が必要です:
・コンテナに給排水・電気設備をつける
・人が常時出入りする用途(住居・店舗・事務所など)
・地面に固定されている(基礎がある)
・サイズが10㎡以上である
・公道に面した敷地に恒常的に設置される
・都市計画区域内
まさに「建築物」としての用途ですね。
逆に、確認申請が不要なのは以下のようなケースに限られます:
・工事現場の短期仮設(期間限定かつ仮設許可あり)_行政への許可必要
・完全に移動可能で、常時公道を走行する車両(車検登録あり)_行政への相談必要
・展示目的の一時設置(短期間、完全撤去前提)_行政への相談必要
確かに「建築物ではない」か「非常に短期間の利用」の時ですね。
「住宅や店舗に使いたい」と考えている時点で、9割以上のケースで建築確認申請が必要と考えておくべきでしょう。

建築用新造コンテナを使えば、申請は通るのか?
ここで救世主の登場です。それが、「建築用新造コンテナ」と呼ばれるもの。
これは、海上輸送用の中古コンテナではなく、建築基準法に適合することを前提として、JISまたはJASライセンスで製造された専用の建築資材です。
鋼材の品質管理(ミルシート)
構造計算による強度証明が可能
防火性能・断熱性能の担保
建築士による設計・監理が前提
これらが揃っているからこそ、「建築確認申請」がスムーズに通るのです。
いわば、「ルールに則って夢をかなえるための正規ライセンス」のような存在。これは、確かに「建築物」として認められるものを「安心安全のルールの下に作った国民の財産」であれば、何か天災などの災害など起こったときには、国は国民の財産を守る義務があるので、それなりの救済措置などはしますよ。ということでもあるのです。

まとめ:コンテナハウスは“夢”と“法”の交差点にある
コンテナハウスは、確かにワクワクする建築手法です。
でもそのワクワクは、「法律という土台」の上に成り立たなければ、長く続くものではありません。
置くだけだからOK? → ✕
仮設だから関係ない? → ✕
タイヤ付きだからセーフ? → ✕
結論はひとつ。「使い方」と「設置状況」によっては、確実に建築物として扱われるということ。
だからこそ―建築基準法に適合した“建築用新造コンテナ”を使い、きちんとしたプロセスを踏むことが、最大の安心であり、最強の自由への鍵になるのです。

記事の監修者

大屋和彦
九州大学 芸術工学部卒 芸術工学士
早稲田大学芸術学校 建築都市設計科中退。
建築コンサルタント、アートディレクター、アーティスト、デザイナー。
おすすめ関連記事