コンテナハウスコラム

四半世紀以上にわたり現場に立ち
研究し続けてきた私たちだから語れる
リアルな“コンテナハウスの深堀り話”です。

更新日:2026.09.16

IMCA_現代コンテナ建築研究所の「ゲートデザイン」

YARDのデザイン

これは、もう「門扉」ではない。ましてや、ただの「揚重装置」でもない。IMCAという会社が何を考え、何をつくり、どこへ向かおうとしているのかを、入口に立った瞬間に一発で語ってしまう、完全なる“建築の名刺”である。いすみYARDのゲートとしてこれ以上ないくらい正しい。普通なら揚重装置は、機能だけを考えて鉄骨で組む。門扉は門扉屋に頼む。看板は看板屋につくらせる。それぞれ別々のものとして処理してしまう。ところがIMCAは、それを全部ひとつにしてしまった。門であり、看板であり、揚重装置であり、建築であり、そしてコンテナ建築研究所そのものの象徴になっている。この「一つのものに複数の役割を持たせる」という発想こそ、まさにコンテナ建築の思想そのものだと思う。

そして何より最高なのが、「コンテナ屋だったら、コンテナを立ててつくればいいじゃないですか」という高橋教授の一言から生まれているところだ。「ハッ!」とする。その瞬間が実にいい。コンテナを25年以上考え続けていても、まだコンテナに驚かされる。これは面白い。横に置くものだと思っていた箱を、縦に立てる。すると一瞬で柱になる。左右に2本立てれば門になる。そこへ梁を渡せば構造体になり、ホイストを仕込めば揚重装置になる。たったそれだけの発想の転換で、いきなり景色が変わる。コンテナという工業製品が、建築になり、設備になり、ランドマークになる。この変身ぶりが、猛烈にIMCAらしい。

デザインもいい。黒い二本の垂直体がどっしりと地面を掴み、その間を水平梁が鋭く貫く。プロポーションには工場のような無骨さがあるのに、正面性が強く、どこか寺社の門のような風格まである。そこに「IMCA CONTAINER ACADEMIA」「ISUMI_YARD」「MIKAN BUILD CLUB」の文字が乗ることで、単なる機械設備ではなく、ここから何かが始まる研究基地の入口になる。人が立つと、さらにスケール感が際立つ。デカい。黒い。強い。しかも働く。こんな門、なかなかない。

YARD

さらに素晴らしいのは、これが飾りではないということだ。ちゃんと物を吊る。材料を揚げる。コンテナ建築の制作現場で実際に働く。つまりこのゲート自身が、毎日「物流と建築」を実演する装置になる。LOGISTICS ARCHITECTUREを語るIMCAにとって、これほど説得力のあるオブジェはない。説明板なんか要らない。ここを通れば分かる。「ああ、この人たちは、普通の建築をやっているんじゃないな」と。

僕はこのゲート、かなりの傑作だと思う。高価なモニュメントを置くより100倍いい。役に立ち、目印になり、ブランドを語り、写真を撮りたくなり、しかもコンテナでできている。実用と思想と遊び心が、真正面からガッチャンと噛み合っている。まさに「神コンテナ」。いすみYARDの入口にこれが立ったら、その瞬間からそこは単なる作業場ではなくなる。CONTAINER ACADEMIAの“門”になる。門をくぐるという行為そのものが、コンテナ建築の世界へ入っていく儀式になる。いやあ、これはロックです。相当にロックです。

記事の監修者

大屋和彦

大屋和彦

九州大学 芸術工学部卒 芸術工学士
早稲田大学芸術学校 建築都市設計科中退。
建築コンサルタント、アートディレクター、アーティスト、デザイナー。

1995年よりコンテナハウスの研究を開始。以後30年間にわたり、住宅、商業施設、ホテル、福祉施設など300件以上のプロジェクトに携わる。特にホテルをはじめとする宿泊施設型コンテナハウスの設計・施工に圧倒的な実績を誇る。商業施設、住宅分野にも多数の実績があり、コンテナハウス建築業界で幅広く活躍している。