コンテナハウスコラム

四半世紀以上にわたり現場に立ち
研究し続けてきた私たちだから語れる
リアルな“コンテナハウスの深堀り話”です。

更新日:2025.05.16

コンテナハウスのデザイン

MIKAN(未完)HOUSE_005_グランピングコンテナモデル新発売

(MIKAN)未完。=完成ではなく、あえて「余白」をもつ構造。自然、風景、使う人の解釈で変化する余白としての空間。“005”=プロトタイプシリーズの5番目。可変性・継続性・ナンバリングによる「建築の物語」を暗示しています。

◆コンセプト

MIKAN(未完)という思想。建築とは、閉じられた完成品ではなく、風景との対話のなかで常に更新されていく存在だと、私たちは考えます。MIKAN HOUSE_005は、黒い鉄のコンテナをベースにした、グランピングのための実験的ヴィラ。完全ではない。だからこそ、そこに余白がある。訪れる人の過ごし方、置かれた家具、風が抜ける音さえも、この空間の「完成」を毎回つくりかえる。

“未完”であることは、未熟ではなく、可能性のかたちなのです。

MIKAN HOUSE_005の空間性と構造

MIKAN HOUSE_005は、コンテナ建築の剛と柔のあいだを歩む空間です。硬質な鉄骨でかたちづくられたその輪郭は、一見して閉じた箱のように見えるかもしれません。けれどもその内部には、開かれた余白と、風と光の通路が用意されています。床から天井までひらかれたガラス面、視線の抜けるデッキスペース、室内と屋外の境界を曖昧にする中間領域。

それらすべてが、「住まう」ことの定義を再構成する装置です。ここでは、設えを決めるのは私たちではなく、使う人自身の感性。家具をどう置くか、音をどう流すか、どの時間に何をするか。そのすべてが、空間と対話し、風景と結ばれる行為となります。この建築は、未完ゆえに、更新され続ける。それは時間に対する肯定でもあり、建築を「完成させない勇気」から始まる思想です。

そして、“005”というナンバリングが示すもの

MIKAN HOUSEは、シリーズ化されたプロトタイプ群のひとつ。その“005”という数字には、試行錯誤と更新の履歴が刻まれています。前のかたちを引き継ぎながら、次のかたちに余白を渡す。それはプロダクトでありながら、建築の物語でもあるのです。

「終わらない」ことを恐れない建築。「正解のない」空間を楽しむための器。MIKAN HOUSE_005は、その風景において初めて完成する、「使われることで成熟する、未完の家」なのです。

記事の監修者

大屋和彦

大屋和彦

九州大学 芸術工学部卒 芸術工学士
早稲田大学芸術学校 建築都市設計科中退。
建築コンサルタント、アートディレクター、アーティスト、デザイナー。

1995年よりコンテナハウスの研究を開始。以後30年間にわたり、住宅、商業施設、ホテル、福祉施設など300件以上のプロジェクトに携わる。特にホテルをはじめとする宿泊施設型コンテナハウスの設計・施工に圧倒的な実績を誇る。商業施設、住宅分野にも多数の実績があり、コンテナハウス建築業界で幅広く活躍している。