コンテナハウスコラム

四半世紀以上にわたり現場に立ち
研究し続けてきた私たちだから語れる
リアルな“コンテナハウスの深堀り話”です。

更新日:2025.04.29

コンテナハウスの歴史

読み物

第6回:コンテナハウスの歴史(全10回)次世代プロジェクトとビジョン

全10回のうち6回目。
コンテナ建築、未来への挑戦|次世代プロジェクトとビジョン
第2世代の成功とその先に見えたもの

コンテナ建築は、「単なる面白い建物」から、「新たな社会インフラ」へと変貌を遂げた。だが、変化は止まらない。これから求められるのは、「より高度に、より自由に」。未来を見据えた新たなコンテナ建築の挑戦が始まった。

モジュール革命 

コンテナ発、次世代モジュール建築、コンテナ建築の進化は、「コンテナの枠」を超えたモジュール建築の可能性に広がった。コンテナの枠を超えたというか、コンテナに回帰した「輸送システム」を持つ「離島建築用パッケージディール」の開発にもつながった。

新たなシステム化_DUAL CORE HiBrid System 

2つのコンテナでハイブリッドな構造体で自由な寸法体系を手にいれる。既存のISO規格コンテナに依存しない設計、自由な寸法、自由な接続方法 を開発する。工場生産→現地短期施工、という建築生産革命の進化が羽島Tyた。その名は「DUAL CORE HiBrid System」実はこのシステムはわかる方はわかっているが、ものすごく革新的なシステムに仕上がっているのだ。コンテナ躯体を二つ使い、それをその敷地の都合で適切なスパンに配置し、それを繋ぎながら空間を作り出していくという、「コンテナで区切られた空間の室内化システム」的システム建築を開発したのだ。そしてその自らの部材を自らの箱に梱包し運ぶ「パッケージディール方式」へとつながっていく

 パッケージディール方式の登場

エピソード|モジュラーホテル計画
某大手ホテルチェーンと共同で、「モジュールユニットによる都市型ホテル」構想がスタート。コンテナ由来の設計思想を生かしつつ、客室ユニットを自在に積層・展開する未来型ホテルが生まれた。

 災害対応モジュール

コンテナ建築は、災害復興にも大きな力を発揮する。
仮設住宅→恒久利用可能な高耐久型仮設、地域コミュニティ再生拠点としてのカフェ・広場。被災地の産業復興施設(小規模工場・市場)などが代表だが、株式会社デベロップの「R9_レスキューホテル」(災害時には緊急住宅や救護施設として活躍する災害対応モジュールとして活躍する。

東日本大震災後の取り組み 

仮設商店街のためにコンテナモジュールを急速展開。寒冷地仕様にカスタマイズし、断熱性能を強化。「仮設に見えない仮設」で、地域の希望をつないだ。

サステナビリティとコンテナ建築

未来を考える上で、環境負荷軽減は避けて通れないテーマだ。
コンテナ自体をリサイクルできるサーキュラー建築。太陽光発電、雨水利用といったエコデバイスとの統合
エピソード|オフグリッドコンテナハウス
電力も水も自給自足できる「完全オフグリッド型」コンテナハウスが完成。過酷な環境下でも、持続可能な暮らしを支えるモデルとなった。

都市型展開とスマートシティとの融合


今後、コンテナ建築は都市インフラの一部になる。モバイル型オフィス、ポップアップ施設、スマートシティに組み込まれるコンテナハブ。AI・IoT連携型コンテナ建築

5G基地局コンテナ

都市部で5G普及を支えるため、コンパクトな基地局をコンテナ化して設置。保守性・移設性・耐久性を兼ね備えた新インフラとなった。

コンテナ建築×カルチャー|ライフスタイル提案へ

コンテナは単なる建材ではない。カルチャーを運ぶ器でもある。スケーターズハウス、バイカーズカフェ、アーティストレジデンス。著名な現代美術作家とコラボし、コンテナを「動くギャラリー」に改造。都市間を巡るアートキャラバンが大きな話題を呼んだ。

【まとめ】コンテナ建築、次なるステージへ

コンテナ建築は、これからこう進化するだろう。モジュール革命による自由な空間創造、災害復興・地域活性の鍵、環境負荷を抑えた未来型建築、都市機能と連携するスマートコンテナ、新たなライフスタイルの象徴
そして何より、「自由に空間をつくる喜び」を、世界中に届ける存在であり続けるだろう。

記事の監修者

大屋和彦

大屋和彦

九州大学 芸術工学部卒 芸術工学士
早稲田大学芸術学校 建築都市設計科中退。
建築コンサルタント、アートディレクター、アーティスト、デザイナー。

1995年よりコンテナハウスの研究を開始。以後30年間にわたり、住宅、商業施設、ホテル、福祉施設など300件以上のプロジェクトに携わる。特にホテルをはじめとする宿泊施設型コンテナハウスの設計・施工に圧倒的な実績を誇る。商業施設、住宅分野にも多数の実績があり、コンテナハウス建築業界で幅広く活躍している。