コンテナハウスコラム
四半世紀以上にわたり現場に立ち
研究し続けてきた私たちだから語れる
リアルな“コンテナハウスの深堀り話”です。
更新日:2026.02.15
2拠点生活
地域とコンテナハウス
房総・外房で始める2拠点生活|サーフ動線で設計するコンテナハウス
「外房でサーフィンしながら週末住む家が欲しい。できればコンパクトで管理がラク。砂と濡れ物が地獄にならない家がいい」
・柱記事:房総で始める2拠点生活(総合)
外房での2拠点生活は、言ってしまえば「波の時間に人生を合わせる暮らし」だ。東京の時計より、潮と風の機嫌が予定表になる。だからこそ家は、広さよりも“動線の賢さ”がすべてを決める。
特にサーフィンが絡むと、家づくりは一気に現実になる。砂、濡れ、塩。こいつらはロマンを一瞬で現場に引き戻す三兄弟だ。
この外房編では、サーファーの1日を分解して「サーフ動線」という設計言語に落とし込み、コンテナハウス(小さな家ほど有利)で最短・最適の答えを作る。

もくじ
外房の2拠点生活は「サーフ動線」で勝てる
サーフ動線とは何か。超かんたんに言うとこうだ。
行く(乾)→ 濡れる(海)→ 砂まみれ(浜)→ 戻る(家)→ 洗う→ 干す→ 回復する→ また行く
このループを、家の中で破綻させないための導線設計がサーフ動線。
失敗例はだいたい同じで、「玄関からリビングが近すぎる」「濡れ物の居場所がない」「砂の終着駅が家の中心になっている」。週末移住のはずが、週末掃除に変わる。泣ける。
コンテナハウスは、この戦いに強い。理由は3つ。
・面積が限られるぶん、動線を“意志”として設計できる
・構造が明快で、外部に設備・収納を出しやすい
・増設(デッキ、物置、外シャワー、サーフラック)で暮らしを育てやすい
外房は海が近い。近いということは、塩と風も近い。だから最初から「外で受けて、外で処理して、家の中心を守る」発想が要る。

外房のエリア感は「通い方」と「混み方」で決まる
外房と一言で言っても、波の顔も町のテンションも違う。ここで大事なのは“正確な地名のウンチク”より、あなたがどう通うかだ。
・金曜夜に入るのか
・土曜朝イチで行くのか
・日曜夕方に撤収するのか
・平日もリモートで居られるのか
これで、必要な設備も変わる。例えば、夜に到着する人は「照明・鍵・荷下ろし・雨の日の動線」が命。朝イチ派は「駐車→着替え→出発の速さ」が命。
外房サーフ2拠点の家は、別荘というより“基地”に近い。
基地に必要なのは、眺望よりも復旧能力。つまり、濡れと砂から即座に復帰できること。

サーフ動線の基本設計:「濡れゾーン」を家の外周に置け
外房の家は、家の中心に“乾いた聖域”を作る。
そのためにゾーニングは二層に分けると強い。
外周:濡れゾーン(Wet)
中心:乾きゾーン(Dry)
濡れゾーンに入れるべき要素は、ほぼ決まっている。
・外シャワー(足・ボード・ウェットの一次洗い)
・濡れ物置き場(ウェット、タオル、リーシュ)
・砂を落とす床(すのこ、グレーチング、土間)
・着替えの前室(風除室的スペース)
・ボードラック(屋外でも屋根あり推奨)
乾きゾーンに入れるべき要素。
・寝る(とにかく回復)
・くつろぐ(塩の気配がないこと)
・仕事する(リモートならなおさら)
・料理する(砂が混じると全部が台無し)
コンテナハウスの間取りでやりやすいのは、玄関を“ただの玄関”にしないこと。
玄関=サーフ動線の処理装置。ここが主役。

具体プラン:最小で強い「サーフ基地」3タイプ
タイプA:20ft単体「潔い週末基地」
向いている人:とにかく軽く始めたい/滞在は1〜2人中心
構成イメージ:
・室内はワンルーム+最小キッチン+シャワー/トイレ
・外部に“濡れ処理デッキ”を追加(屋根付き)
・室内に砂を入れないルールが成立する
ポイントは、外部デッキを中途半端にしないこと。小さくてもいいが、機能を全部載せる。
外シャワー→すのこ→収納→干し、が一筆書きで繋がると勝ち。
タイプB:20ft+外部コア「サーフ動線特化」
向いている人:濡れ物が多い/洗濯乾燥を重視/道具が増えるタイプ
構成イメージ:
・室内は回復に特化(寝る・くつろぐ)
・外部に収納+洗濯+干し場+作業台をまとめる
・砂・塩の処理を屋外で完結
これは体感、暮らしのストレスが激減する。サーフィン後の部屋が“さっぱりしてる”のは、だいたいこのタイプ。
タイプC:40ft「家族も受け止める2拠点」
向いている人:家族滞在/子ども/友人が来る/長期滞在
構成イメージ:
・寝室ゾーンを確保しつつ、玄関前室を大きく取る
・浴室乾燥、ランドリー、収納を動線上に置く
・外部は塩害対策を前提に、設備露出を減らす
40ftでも油断すると砂は勝手に侵攻する。広いほど「どこで止めるか」が重要になる。

設備の勝ち筋:外シャワー、床、乾燥、換気で決まる
外房サーフ基地の装備は、見た目より“復旧速度”だ。
外シャワー
・足だけでも洗える位置に必ず置く
・排水は砂が詰まる前提で、点検できる構成にする
・冬は冷水が修行になるので、給湯の考え方を最初に決める
床(砂対策)
・玄関〜前室は土間や耐水床が強い
・室内は「砂が見える色」と「掃除しやすい素材」が正義
・ラグは気持ちいいが、外房では敵になりやすい(使うなら戦略的に)
乾燥(ウェットと洗濯)
・干す場所は“風が通って雨を避ける”が基本
・物干しは強風で暴れる前提で、固定と耐風を考える
・室内干しの除湿・換気も用意しておくと、冬に勝てる
換気(塩と湿気)
・外房は湿気+塩で金物が痛む。換気はケチらない
・収納内部も空気が動くように計画する(密閉すると匂いが増える)

塩害対策は「材料」より「ディテール」と「点検性」
外房は塩害がある。これは怖がるより、設計に織り込むのが正解。
ポイントは3つ。
・水が溜まらない
ちょっとした水平面、段差、隙間に水と塩が溜まる。溜まると傷む。だから“溜めない形”にする。
・異素材接触を丁寧に
金属同士、金属と別素材の接触部は傷みやすい。ディテールで寿命が変わる。
・点検できる
塩害は「気づいたら終わってる」ではなく、「気づける設計」にする。外部配管や金物は、触れて見られる位置が強い。
コンテナハウスは工業製品の顔をしているが、海辺では“メンテ前提の建築”になる。
つまり、上手に付き合えば長持ちするし、放置すると容赦なく劣化する。ここはロケンロールに正直でいこう。甘えが出たら錆が笑う。

外構こそ本体:サーフ基地は「デッキと足元」で完成する
外房の2拠点は、家の中だけ作っても半分。
残り半分は外構で決まる。
必須級の外構要素
・濡れ処理デッキ(屋根つき)
・足洗い場(シャワーと兼用でもOK)
・サーフボードラック(盗難と日射を考える)
・砂の一次置き場(バケツ、ブラシ、収納)
・照明(夜到着のストレスを消す)
・駐車→玄関までの動線(雨の日に地獄を作らない)
砂利は便利だが、砂+砂利で足裏が痛い日もある。芝やマット、すのこを組み合わせて“歩ける基地”にしておくと、体験の質が上がる。

2拠点運用のリアル:週末の「到着10分」を設計せよ
2拠点生活は、到着から10分で勝敗が決まる。
金曜夜に着いたとする。暗い。寒い。荷物が多い。
ここでストレスが積み上がると、「次の週末、行くのめんどいな…」が発生する。
到着10分の設計チェック
・駐車位置は雨でも泥にならないか
・鍵の操作は簡単か(手が塞がっている前提)
・玄関灯は自動で点くか
・荷下ろしの仮置きスペースがあるか
・室内に入る前に靴と砂を処理できるか
・濡れ物を“とりあえず置ける”場所があるか
この6つが揃うだけで、2拠点は続く。逆に欠けると、だいたい続かない。家は気合で使うものじゃなく、習慣で回るものだ。

よくある質問(FAQ)
Q1. 外房でコンテナハウスは塩害で早く傷みませんか?
A. 傷む条件はあります。ただし、溜水を作らないディテール、点検できる納まり、適切な防錆仕様と運用(洗い・換気)を前提にすれば“管理可能な劣化”にできます。重要なのは材より形と点検性です。
Q2. サーフィン後、室内が砂だらけになるのが怖いです。
A. 砂は「止め場所」を作ると止まります。外シャワー+すのこ+前室+収納の順で、乾きゾーンに入る前に処理を完結させるのが王道です。
Q3. 外シャワーは絶対必要?
A. かなり高確率で必要になります。最低でも足洗いができる設備があると、家の寿命と掃除の時間が変わります。
Q4. ウェットスーツはどこで乾かすのが正解?
A. 屋根があり風が通る外部が基本です。強風の日に暴れない固定、雨の日の逃げ(室内除湿)まで用意すると最強です。
Q5. 20ftで2拠点生活は狭くない?
A. 狭いです。でも“基地”としては強いです。回復(寝る)と最低限の水回りに割り切り、外部デッキに機能を逃すと満足度が上がります。
Q6. 駐車場はどれくらい重要?
A. 重要です。サーフ動線は「車→家→海」の往復が頻繁なので、駐車位置が悪いと暮らしが全部重くなります。
Q7. 盗難が心配です。
A. 施錠、照明、防犯カメラよりも「置き方(見え方)」が効く場合があります。ラックを道路から丸見えにしない、夜間に暗がりを作らない、隠せる収納を用意するのが第一歩です。
Q8. リモートワークもできますか?
A. できます。外房は環境が気持ちいい反面、湿気・塩・風の影響があるので、PC周りは乾きゾーンに置き、換気と除湿の設計が鍵です。
Q9. 将来、賃貸や貸別荘運用に転用できますか?
A. 動線が整っている家ほど転用しやすいです。濡れ処理が完結していると、清掃と運用コストが下がります。
Q10. 結局、外房サーフ2拠点の最重要ポイントは?
A. 「濡れ・砂・塩を家の中心に入れない」この一点です。ここが成立すると、外房は天国になります。

外房の2拠点生活は、家を飾る遊びじゃない。
波に向かうための基地を作る遊びだ。だから設計は、見栄より機能が先。濡れ、砂、塩を処理できる家は、週末を延命する。延命した週末は、人生の密度を上げる。
コンテナハウスは、その密度に強い。小さく、強く、増やせる。
外房の風の中で、暮らしが研ぎ澄まされていくのは、ちょっとしたロケンロールだと思う。
外房サーフ動線で「失敗しない間取り」を具体化したい方は、敷地条件(海までの距離、風向き、駐車、隣地)を前提に、動線から逆算してプランを作ります。敷地と運用(週末/平日/貸出)をお聞きすれば最適化したプランを提案します。
記事の監修者
大屋和彦
九州大学 芸術工学部卒 芸術工学士
早稲田大学芸術学校 建築都市設計科中退。
建築コンサルタント、アートディレクター、アーティスト、デザイナー。
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