コンテナハウスコラム

四半世紀以上にわたり現場に立ち
研究し続けてきた私たちだから語れる
リアルな“コンテナハウスの深堀り話”です。

更新日:2025.05.27

コンテナハウスの事業企画

コンテナ建築による宿泊事業計画案_グランピング事業

LAYDOWN型20ft×5室によるグランピング事業スモールスタートモデル

■ 基本コンセプト「小さく始めて、大きく育てる宿泊事業」

コンテナハウスの持つ【強い造形力】【柔軟な拡張性】【投資回収のスピード】を活かし、最小限の資本で宿泊ビジネスをスタート。地元観光資源や地域文化と結びつけることで「体験型宿泊施設」として、差別化された収益モデルを実現します。

■ 1. プロジェクト概要

名称:仮称「CONTAINER STAY BASE」

所在地:観光地または里山・海辺などの郊外型立地(インバウンドや車利用層を想定)•コンセプト:「旅の途中に立ち寄る、ちいさな建築と大きな時間」
用途:宿泊施設(簡易宿所許可取得予定)
運営形態:セルフチェックイン型・無人オペレーションベース
建物構成
LAYDOWN型20ftコンテナ(約16.5㎡)+デッキ(約20㎡)=合計26.5㎡× 5室 合計:約130㎡の宿泊ユニット

■ 2. 施設構成

設備内容
客室数5室(全室ユニット型独立棟)
客室仕様ベッド、洗面、シャワー、トイレ、Wi-Fi完備
共用設備パーキング、ファイヤーピット、軽食カウンター(オプション)
運営方式キーレスロック、タブレット端末での案内、無人チェックイン
スタッフ対応清掃と緊急時サポートのみ常駐なし

■ 3. 建設および初期投資

項目費用(概算)
建設費(5室)1,000万円 × 5室 = 5,000万円
インフラ整備費(給排水・電気)約800万円
敷地造成・外構・駐車場整備約500万円
初期設計・確認申請費約500万円
家具・家電・備品費約300万円
IT設備・予約システム導入約100万円
開業準備・広告宣伝費約100万円
初期投資合計7,300万円(税抜)

■ 4. 運営計画(収益モデル)

•客室単価(1泊):15,000円
•稼働率想定:年間平均50%(182泊)
•年間売上(5室):→ 15,000円 × 182泊 × 5室 = 約1,365万円
•ランニングコスト(年間概算):
– 清掃・リネン委託:約200万円
– 光熱・通信費:約80万円
– 修繕・維持管理費:約50万円
– システム利用料:約20万円
– 保険・雑費等:約20万円
年間経費合計:約370万円
•年間営業利益:
→ 約1,365万円 − 370万円 = 約995万円
■ 5. 投資回収と事業性評価
•初期投資:7,300万円
•年間営業利益:約1,365万円
•回収年数(単純):約5年
※価格調整・稼働向上により回収年数は短縮可能(例:平均稼働65%で約5年)

■ 6. 拡張・スケール戦略
•モジュール型で1室単位での拡張が可能。LAYDOWN型で最高の効率、高収益型
•10室、15室へと段階的な増築に対応
•キャンプサイトやコワーキング機能を複合化し「泊まれる場づくり」へ展開

■ 7. リスクと対応策

リスク対応策
稼働低迷OTA・SNS強化、観光コンテンツとの連携
維持管理定期点検・地元業者との連携体制
法規制事前に用途地域・簡易宿所規定を確認
資金不足補助金活用(例:地域観光資源活用型)、金融機関との連携

■ 8. まとめ

「投資としては小さく、印象としては強く」コンテナ建築による宿泊事業は、初期費用を抑えつつ、
高いデザイン性と柔軟な運用力を兼ね備えたソリューションです。
単なる宿泊の提供ではなく、「記憶に残る宿泊体験」を、そして「事業を通じた場所づくり」を。

記事の監修者

大屋和彦

大屋和彦

九州大学 芸術工学部卒 芸術工学士
早稲田大学芸術学校 建築都市設計科中退。
建築コンサルタント、アートディレクター、アーティスト、デザイナー。

1995年よりコンテナハウスの研究を開始。以後30年間にわたり、住宅、商業施設、ホテル、福祉施設など300件以上のプロジェクトに携わる。特にホテルをはじめとする宿泊施設型コンテナハウスの設計・施工に圧倒的な実績を誇る。商業施設、住宅分野にも多数の実績があり、コンテナハウス建築業界で幅広く活躍している。