コンテナハウスコラム
四半世紀以上にわたり現場に立ち
研究し続けてきた私たちだから語れる
リアルな“コンテナハウスの深堀り話”です。
更新日:2025.07.18
コンテナ2LDK革命(8連載)
コンテナハウスで暮らす2LDKという革命_2/8
──ちょうどいい家族のための“コンテナの建築”完全ガイド
もくじ
◾️第1章:2LDKという間取りがもたらす「自由な暮らし」
「2LDKで足りるの?」と、よく聞かれます。でも、問いをひっくり返してみましょう。「それ以上、必要?」
日本の住宅は“過剰”の時代を長く生きてきました。広すぎる玄関、使わない和室、物で埋まった納戸。多くの人が「とりあえず大きめ」を選び、ローン返済に30年もかけることが当たり前になってしまった。今はどうです?大きなローンを30年も足枷にとは思わないでしょ。暮らしのカタチは変わり始めています。
家族は小さくなっている。住む期間も短くなっている(生活のパターンの変化が大きいし多いからです)。自宅=職場という概念(テレワークが仕事によっては常識になったからです)も出てきた。「借りる・貸す・移す」ことが前提になってきた。
そんな中で、2LDKという間取りが再評価されているのです。

2LDK=「最小で最大」の暮らし方
2LDKとは、2つの独立した個室と、ひとつのLDK(リビング・ダイニング・キッチン)を持つ間取り。
日本の家族構成や生活習慣において、最も“融通が効く”ユニットです。
・シングル+書斎/趣味部屋
・夫婦+在宅ワーク空間
・親子3人のフラットな同居
・兄弟姉妹や友人とのシェア暮らし
特に「LDK」の部分に十分な広さがあれば、2つの個室をどう使うかは住み手次第。可変性と自由度こそ、2LDK最大の価値なのです。

「タイニーハウスの思想」を拡張する
タイニーハウスは、限られたスペースの中に“最大限の意味”を込める建築です。ただし、その多くが10〜20㎡という極小スケールのため、家族暮らしには不安が残るのも事実です。
そこで注目したいのが、2LDK×コンテナハウスというアプローチ。
20フィートコンテナ2〜4本を組み合わせることで(HiBrid工法を含めれば)、
『延床面積50㎡〜70㎡』という、タイニーハウス思想を維持しつつ、家族でも無理なく暮らせる現実的サイズが実現できます。これはいわば、「拡張されたタイニーハウス」。思想はミニマル。でもサイズは実用的。そんな矛盾(リアルタイニーハウス)を飲み込んだ、新しい建築的回答がここにあります。

2LDKの家は「未来につながる構造」になる
さらに、2LDKは“可変の最小単位”としても優れています。子どもが生まれたら、個室の用途を変える。家族構成が変わったら、1部屋を賃貸化する。ユニットごとに増築・移動も可能(コンテナ建築ならでは)つまり、『2LDKは人生に寄り添う構造的な“余白”』でもあるのです。「いまちょうどよく、未来にも対応できる」。
それが、このサイズの魅力です。

次の章の予告
次章からは、そんな2LDKを支える“器”としての、建築用新造コンテナについて詳しくご紹介していきます。
なぜ中古コンテナではなく新造コンテナなのか?住宅性能としての条件をどこまで満たせるのか?その裏には、想像以上にロックで真面目な建築の物語が眠っています。このあと第2章「建築用新造コンテナとは何か──輸送コンテナとは違う“住宅のための箱”」へ続きます。
記事の監修者

大屋和彦
九州大学 芸術工学部卒 芸術工学士
早稲田大学芸術学校 建築都市設計科中退。
建築コンサルタント、アートディレクター、アーティスト、デザイナー。