コンテナハウスコラム

四半世紀以上にわたり現場に立ち
研究し続けてきた私たちだから語れる
リアルな“コンテナハウスの深堀り話”です。

更新日:2025.12.07

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LAYDOWN_container_20FEETでつくる「5坪ハウス」– 10畳でちゃんと暮らせる“最小限住宅コンテナ”という選択 –

「5坪ハウス」という“ちょうどいい最小単位”

小さな家、タイニーハウスの世界で、ひとつの目安になっている面積があります。それが「5坪」。畳でいえば10畳前後、約16〜17㎡。ワンルームマンションよりはコンパクトだけれど、小屋というにはちゃんと暮らしが成立する、絶妙なラインです。ここにベッドスペースと小さなリビング、ミニキッチンと水回りをギュッと凝縮すると、「最小限だけど、ちゃんと住める」住宅が成立してきます。この5坪をコンテナで実現しようとするときに登場するのが、今回の主役「LAYDOWN_container_20FEET」です。

なぜ“横倒し”にするのか – 3㎡の差が生む居住性 

普通の20FEETコンテナ(縦置き)だと、外寸で約13.5㎡、4.1坪クラス。これはこれで面白いスケールなのですが、居住性をしっかり意識した「最小限住宅」を目指すとき、あと一歩だけ床面積が欲しくなる場面が多々あります。その差がだいたい3㎡前後。ユニットバス1台分、もしくは小さなソファとテーブルを置けるくらいの違いです。LAYDOWN_container_20FEETは、その20フィートを「横倒し」にしたプロポーションと構造設計によって、いわゆる20ftノーマルよりワイドを稼ぎつつ、5坪クラス=16.5㎡の床面積を確保した“画期的コンテナ”。数字で見ればたった3㎡の差ですが、このスケール帯では体感がガラッと変わります。「寝られる箱」から「暮らせる箱」に一段ギアが上がる感覚です。

LAYDOWN_container_20FEETという“5坪の器”のイメージ

LAYDOWN_container_20FEETを5坪ハウスとしてイメージするとき、まず感じてもらいたいのは「横方向のゆとり」です。普通のコンテナ幅では窮屈になりやすいベッド+通路+収納の並びが、LAYDOWNでは自然な寸法で収まってくる。ワイドが取れることで、ソファとベッドを同じ空間に無理なく共存させたり、窓の取り方にも余裕が生まれます。10畳クラスのワンルームとして捉えれば、居室+水回りをしっかり押さえた“ちゃんとした最小住宅”にもできるし、水回りを外部棟に振ってしまえば、「5坪全部を思いきり居室に振る贅沢な小屋」にもできます。用途とライフスタイルにあわせて、5坪の使い方を編集していける器、それがLAYDOWN_container_20FEETです。

「小屋」ではなく「最小限住宅」として成り立つ面積

世の中には「3坪の小屋」「4坪の小屋」といったプロダクトもたくさんありますが、“住む”という視点で見ると、やはり5坪には明確な分水嶺があります。寝るだけの小屋ならもっと小さくても成立しますが、そこに座る場所、荷物の置き場所、雨の日にこもる時間、簡単な調理やデスクワークのスペースまで含めて考えると、5坪は「小屋から住宅に昇格するギリギリのライン」と言っていいサイズ感です。LAYDOWN_container_20FEETは、その5坪を建築用新造コンテナの安心感で実現するユニットですから、離れ、週末住宅、二拠点生活の拠点、半分仕事・半分住まいのベースなど、「遊びと暮らしのあいだ」にしっかりはまるポジションを狙えます。
5 5坪LAYDOWNハウスで出来ること – 使い方のイメージ集


5坪ハウスとしてのLAYDOWN_containerでどんなことができるかざっとイメージを並べてみましょう。

一人暮らし用のミニマルハウスとして、ベッド+ソファ+デスク+ミニキッチン+シャワーまでコンパクトにまとめるプラン。
郊外や海辺に置く「二拠点生活ベース」として、寝床+ワークスペース+収納を詰め込んだ“もう一つの部屋”。
親世代や独立した子どものための「庭先の離れ」としてお茶を飲み、本を読み、時々泊まれる小さなスタジオ。
タイニーカフェやワインバー、トリミングサロンなど、半分は事業用途で使いながら、裏側に自分の居場所を忍ばせるハーフ住居的な使い方も現実的です。
5坪というコンパクトさはそのままに、「小屋以上・家未満」の可能性がたくさん浮かんできます。

建築用新造コンテナ+ラーメン構造だからできる“開き方”


LAYDOWN_container_20FEETも、ベースは現代コンテナ建築研究所の建築用新造コンテナ。ラーメン構造(剛構造)のフレームで強度を確保しているため、一般的な海上コンテナのように「壁を抜いたら一気に弱くなる」という心配がありません。これにより、5坪ハウスであっても、長手方向に大胆な開口をとったり、ワイド方向に大きな窓を設けたりしながら、「10畳なのに外に向かって気持ちよく開いた空間」をつくることができます。狭さを感じさせない5坪ハウスのコツは、床面積を増やすことよりも、視線と光と風の“抜け”をどう設計するか。LAYDOWN_container_20FEETは、構造的にそのチャレンジを受け止められる箱です。

MIKAN(未完)HOUSEと相性の良い「5坪セルフビルド」

2025年リリースのセルフビルド支援商品「MIKAN(未完)HOUSE」との相性を考えたとき、この5坪LAYDOWNハウスはかなり“おいしいサイズ”です。基礎と構造躯体、開口、断熱、建具までをプロがきちんと仕上げた状態でお渡しし、内装の仕上げ、造作家具、照明計画、デッキや外構などを、自分たちの手で育てていく。5坪という面積は、セルフビルドの最初の一棟としても現実的で、休日の作業と楽しさのバランスもちょうどいい。MIKAN HOUSEの思想とLAYDOWN_container_20FEETの器が合流したとき、「コンテナで最小限住宅を自分で育てていく」という、かなりロマンのある遊び方が見えてきます。

LAYDOWN_container_20FEET 5坪ハウスに向いている人

最後に、この5坪LAYDOWNハウスが向いている人のイメージも少しだけ描いておきましょう。物をあまり持たないミニマル志向の人。暮らしより「過ごし方」に重心を置きたい人。海辺や山の近くで、週末だけ“退避場所”を持ちたい人。仕事と趣味の境界を曖昧にして、小さなベースから挑戦してみたい人。逆に、大きな収納と大型家具に囲まれて暮らしたい人、家の中に常に4〜5人が集まるような生活スタイルの人には、5坪ハウスはかなりストイックな選択になるかもしれません。5坪だからこそ見えてくる自由さと制約、そのどちらも楽しめる人にとって、LAYDOWN_container_20FEETは強力な相棒になってくれるはずです。

Q&A 厳選10選_(LAYDOWN_container_20FEET × 5坪ハウス 編)


Q1 LAYDOWN_container_20FEETと普通の20フィートコンテナの一番の違いは何ですか?
A.一番の違いは「プロポーションと有効面積」です。通常の20フィートノーマルコンテナが約13.5㎡(4.1坪)なのに対し、LAYDOWN_container_20FEETは約5坪クラスの床面積を確保でき、ワイド方向のゆとりが増えます。その3㎡の差が、ベッド+ソファ+水回りをまとめる「最小限住宅」としての成り立ちを大きく変えます。


Q2 5坪ハウスで本当に住めますか、それとも“趣味の小屋”レベルですか?
A.使い方次第でどちらにもなり得ます。水回りと収納、ベッドと小さなリビングをギュッとまとめれば、一人暮らし用の最小限住宅として十分成り立ちますし、水回りを別棟に振れば、5坪全部を“趣味のための小屋”として贅沢に使うこともできます。常時居住か週末用か、家族構成はどうかによって位置づけが変わるイメージです。


Q3 5坪ハウスでトイレやシャワーも入れられますか?
A.入れられますが、レイアウトの工夫は必須です。ユニットバス一台分の面積がだいたい2〜3㎡程度なので、5坪の中にフル設備を入れると居室部分はコンパクトになります。離れや週末住宅なら、シャワーとトイレを一体化したコンパクトユニットを採用したり、デッキを作って水回りはデッキに作るなどもいい考えです。敷地側に別棟の水回り棟を設けるなど、用途に応じた線引きを検討するのが現実的です。


Q4 LAYDOWN_container_20FEETの断熱や快適性は大丈夫ですか?
A.建築用新造コンテナを前提に、断熱・気密・防露をきちんと設計すれば、一般的な小さな木造住宅と同等レベルの快適性を目指すことは十分に可能です。むしろコンパクトなぶん、冷暖房効率は良くなりやすいです。重要なのは、仕様を「ただのコンテナ小屋」ではなく「最小限住宅」として考え、断熱と窓・換気計画をきちんと組むことです。


Q5 5坪LAYDOWNハウスは二拠点生活に向いていますか?
A.かなり向いています。メイン拠点は別に持ちつつ、週末や長期休暇に使う「もう一つの箱」として、5坪は絶妙なサイズです。寝る・くつろぐ・少し仕事をする、くらいの機能に絞れば、維持費も建築コストも抑えながら、濃い時間を過ごせる拠点になります。海沿い・山間部・郊外など、非日常のロケーションと組み合わせると真価を発揮します。


Q6 5坪ハウスは固定資産税や建築確認の面で有利ですか?
A.「5坪だから特別に有利」というより、「一般的な小さな建築物として扱われる」と考えるのが正確です。固定資産税や建築確認の要否、用途地域との関係などは、面積だけでなく構造や用途、地域によって変わります。LAYDOWN_container_20FEETを住宅や店舗として使う場合は、通常の建築物と同じく、事前に建築士や専門家と法規チェックをしたうえで計画する必要があります。


Q7 セルフビルドで5坪LAYDOWNハウスを仕上げることは可能ですか?
A.可能です。ただし、構造・防水・断熱・電気・給排水といった部分はプロに任せ、内装仕上げや造作家具、ペイント、デッキや外構などをセルフビルド範囲とするのがおすすめです。MIKAN(未完)HOUSEのような「セルフビルド前提の商品」と組み合わせると、プロとDIYの役割分担が明確になり、楽しくて安全なセルフビルドがしやすくなります。


Q8 5坪LAYDOWNハウスにロフトを足して実質面積を増やせますか?
A.天井高さや構造計画次第で、ロフトやスリープスペースを追加することも検討可能です。ただし、ロフトは法規上の扱いや安全性、熱環境などをきちんと理解して設計する必要があります。ロフトを「居室扱いにするか・しないか」で要件も変わるため、5坪ハウスにロフトを足したい場合は、初期のプラン段階から設計者と相談するのがベストです。


Q9 5坪ハウスは家族で使うには狭すぎませんか?
A.常時4人家族で暮らすメイン住宅としてはかなりチャレンジングですが、「一人+時々もう一人」くらいの想定なら現実的です。家族で使う場合は、メインの家とは別の「離れ」「こもり部屋」「趣味のベース」「テレワーク用の箱」として役割を定義すると、5坪というサイズが生きてきます。メイン住宅とセットで考えると、家族全体の暮らしが立体的に組み上がっていくイメージです。


Q10 LAYDOWN_container_20FEETの5坪ハウスに興味を持ったら、何から始めればいいですか?
A.最初のステップとしては、次の三つを紙に書き出してみるのがおすすめです。
1)5坪ハウスを「誰が」「どのくらいの頻度で」「どこで」使うのか。
2)5坪の中に絶対に入れたい機能(ベッド・デスク・水回りなど)と、外に出してもいい機能。
3)この5坪で過ごす理想の一日の流れ。ここまで書いてみると、「自分にとっての5坪ハウス」がかなり具体的に見えてきます。そのイメージを持ったうえで、LAYDOWN_container_20FEETのような建築用コンテナを扱うプロに相談すると、話が一気に前に進みやすくなります。

記事の監修者

大屋和彦

大屋和彦

九州大学 芸術工学部卒 芸術工学士
早稲田大学芸術学校 建築都市設計科中退。
建築コンサルタント、アートディレクター、アーティスト、デザイナー。

1995年よりコンテナハウスの研究を開始。以後30年間にわたり、住宅、商業施設、ホテル、福祉施設など300件以上のプロジェクトに携わる。特にホテルをはじめとする宿泊施設型コンテナハウスの設計・施工に圧倒的な実績を誇る。商業施設、住宅分野にも多数の実績があり、コンテナハウス建築業界で幅広く活躍している。