コンテナハウスコラム
四半世紀以上にわたり現場に立ち
研究し続けてきた私たちだから語れる
リアルな“コンテナハウスの深堀り話”です。
更新日:2025.11.26
12_MIKAN(未完)HOUSE
13_旅するコンテナハウス_読物
14_タイニーハウス
15_セルフビルドコンテナ
コンテナ・タイニーハウスで「ちょうどいい人生」
田舎でMIKAN(未完)HOUSEを作り、自給自足しながら仕事をする
コンテナ・タイニーハウスで「ちょうどいい人生」を組み立てる方法
もくじ
建設費の手の届かない高騰
ここ5年で、建設費はざっくり1.5倍。
2000万円で建っていた家が3000万円。
3000万円で建っていた家が4500万円。
都内ではマンションは平均価格が1億円。
数字だけ見れば「まあ、そういう時代なんだろうね」で済む話かもしれません。
でも、その差額をローンで背負うのは「数字」ではなく「人間の人生」です。
毎月の返済に追われて、やりたいことをあきらめて、休みの日もどこか心が重い。
気がつけば、家は手に入ったけど、「自由」と「遊び心」がどこかに消えている。
そんな暮らしを、「幸せ」と呼べるのかどうか——正直、微妙ですよね。
時代の変化、生活環境の変化、仕事の取り組み方変化
一方で、仕事のやり方は静かに、でも確実に変わりました。
テレワーク、リモート会議、クラウドワークスペース。
オフィスに毎日通うことが当たり前じゃなくなり、
「住む場所」と「働く場所」が、必ずしもニアリーイコールではなくなりました。
だったら、こう考えてもいいはずです。
「高い土地に、高い家を建てて、職場に縛られる生き方」しかないのか?
答えは、もう“NO”なんだと思います。
ローカルエリアでも仕事はできる、人間を取り戻せる。ちょうどいいサイズ。
田舎に移っても成り立つ仕事がある。
郊外や地方都市でも、オンラインで全国のクライアントとつながれる。
逆に、都会では見つからない「ローカルなビジネスのタネ」も、地方にはごろごろ転がっています。
社会のルールは、じわじわとだけど、「みんなで同じ方向に並んで歩く」時代から
「それぞれが自分のリズムで生きる」時代に、確実にズレ始めています。
そこで登場してくるのが、コンテナ・タイニーハウスです。
田舎に行けば、都市部では考えられないような値段で土地が手に入る。広さはそこそこでいい。
そこで、“キラッとおしゃれな小さめの箱”に、ちゃんとした設計で手を入れる。
建築用に新造されたコンテナを使えば、
「小さいけれど、本気の建築物」としてのタイニーハウスがつくれます。
プレハブでもなく、キャンプでもなく、
ちゃんと“家”としての性能と安心感がある、鉄の小さな器。
大きな家をあきらめるんじゃない。「背伸びしすぎた家」から降りて、
自分の体格に合った「ちょうどいいサイズの暮らし」に着替えるだけです。

発想を変えて生きていく。自分のペースで生きていく。
コンテナ・タイニーハウスのいいところは、
“箱そのもの”が、暮らし方の発想を変えてくれるところです。
たとえば——朝。
デッキに出て、マグカップ片手に、
まだ少しひんやりした空気を吸い込みながら、ノートPCを開く。
視界の端には、畑か、森か、海。
聞こえてくるのは車のクラクションじゃなくて、風と鳥の声。
午前中はオンライン打ち合わせ。
昼休みには近所の直売所に寄って、野菜を手に入れる。
午後は、コンテナの隣で小さなアトリエを動かす。
週末だけは、デッキをミニマルなマルシェスペースにして、
コーヒーを淹れたり、ハンドメイドの何かを並べてみたり。
「そんな夢みたいな」と笑う人は、
単に“ローンありきの住宅モデル”しか見えていないだけかもしれません。
家を小さくすると、失うものももちろんあります。
でも、代わりに手に入るものも、なかなか強烈です。
月々の返済プレッシャーが下がる
そのぶん、仕事や収入を“攻めて”選べる
敷地に少し余白があるから、なにかを始められる
固定費が下がることで、「挑戦できる回数」が増える
ローンを返すためだけに働く人生から、「どう生きたいか」を中心に仕事と住まいを組み立てる人生へ。
コンテナ・タイニーハウスは、その“スイッチ”になりうる器です。

選択肢さえ失われていたのかもしれない
田舎や地方都市で暮らすことは、決して「都会に敗れて逃げる」という話ではありません。
むしろ、こう言い換えてもいい。
「自分の創造性が、一番よく育つ場所に移動する」人によって、それは山かもしれないし、海かもしれない。
古い商店街の一角かもしれないし、ゴルフ場脇の丘の上かもしれない。
コンテナ・タイニーハウスは、そういう“ちょっと余った場所”にスッと入り込み、
その土地の空気を借りながら、「新しい暮らしの物語」を始められるツールです。

一世一代の大きな買い物からの脱却
きっとこれからの住宅は、「一生に一度の巨大な買い物」から、
「ライフステージや仕事の変化に合わせて、組み替えられる住まい」へと変わっていきます。
コンテナ・タイニーハウスで生きるというのは、単に“小さい家を持つ”という話ではなく、
自分のサイズで、自分のテンポで、ちゃんと呼吸できる人生を選ぶ
という宣言に近いのかもしれません。
大きなローンを背負って、「何のために生きているのかわからない」とつぶやくより、
小さなコンテナの窓から見える景色を、自分で選び、
そこで湧いてくるアイデアと、出会いと、日々の手触りを楽しむ。
そんな「ちょうどいい生き方」を、
コンテナ・タイニーハウスから始めてみるのも悪くない。
むしろ、今の時代だからこそ——
それくらい“ラフに賢い”選択をしてもいいんじゃないでしょうか。
IMCA_現代コンテナ建築研究所には「MIKAN(未完)HOUSE」もある。

記事の監修者
大屋和彦
九州大学 芸術工学部卒 芸術工学士
早稲田大学芸術学校 建築都市設計科中退。
建築コンサルタント、アートディレクター、アーティスト、デザイナー。
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