コンテナハウスコラム

四半世紀以上にわたり現場に立ち
研究し続けてきた私たちだから語れる
リアルな“コンテナハウスの深堀り話”です。

更新日:2025.11.21

01_はじめてのコンテナ

08_用途別・住宅宿泊店舗等

《保存版》コンテナハウスで飲食店を開業するには?

建築・保健所・厨房・費用・デザインまで“全部わかる”完全ガイド
コンテナハウスで飲食店を開業した実例も一覧で紹介。カフェ、レストラン、テイクアウト、MIKAN(未完)HOUSE活用モデルまで網羅。建築確認・保健所基準・厨房計画・費用・デザインの比較がひと目でわかる総合ガイド。

■ はじめに──“コンテナ飲食店”は時代にフィットする

近年、
コーヒースタンド
テラス型カフェ
ハンバーガーショップ
ゴルフ場内のCAFE
サロン併設の軽食店
など、多様な飲食店が コンテナによって実現 しています。
IMCA(現代コンテナ建築研究所)では、
店舗、宿泊、ゴルフ場、海沿いリゾートなど
年間数多くのコンテナ建築を設計しており、
その中でも 飲食店ジャンルの相談が急増 しています。
理由は明確です。
建築費が抑えられる、工期が早い、デザイン性が高い、小規模で立ち上げやすい
デザイン的独自性が高く差別化がしやすい、土地の自由度が高い
この記事では、
飲食店開業に必要なことを“全部”まとめます。

■ そもそもコンテナは飲食店に使えるのか?

結論:使える。ただし“建築用新造コンテナ”限定。
海上輸送コンテナ(中古)はNG。溶接の根拠がない。鋼材がJIS認定品ではない。ゆえに建築確認が通らない。
サビ・歪みが酷い。
保健所の衛生基準に不利、建築用新造コンテナはOK。
IMCAの採用する“建築用新造コンテナ”は、JIS鋼材、JIS溶接、構造計算対応、建築確認申請クリア。
と、完全に建築物として扱える仕様。

■ 個人店主には「MIKAN(未完)HOUSE」という最強の選択肢もある

飲食店と聞くと、「初期投資が重い…」「内装費が高い…」と感じて一歩踏み出せない個人店主も多いはず。
そこで IMCA がおすすめしているのが、
個人開業向けの“未完の建築”= MIKAN(未完)HOUSE シリーズ。
MIKAN HOUSE は、建築基準法クリア、構造・断熱・防水は完全仕上げ、
内装の仕上げを“あえて未完”にすることでコストを抑えたモデルです。
つまり、「外側はプロが完璧に建築として作る」。
「内側はあなたの世界観で仕上げていく」というハイブリッド方式。
これにより、
✔ 開業コストを大幅に下げられる
✔ 自分の“好き”を内装に反映できる
✔ 小さく始めて大きく育てる“スモールスタート戦略”に最適
✔ 飲食店・カフェ・スイーツ店・コーヒースタンドにぴったり
特に
20FEET_Laydown(床面積16㎡) の MIKAN ベースは
小型カフェ・テイクアウト店との相性が抜群。
これから独立したい店主の“初めの一歩”として、圧倒的に支持されているシリーズです。

■飲食店として必要な法的要件(保健所+建築基準法)

① 建築確認申請(用途:飲食店)
飲食店は「特殊建築物」扱いではないが、
用途変更と防火・避難要件をクリアする必要あり。
必要図面
平面図
立面図
断面図
構造図
電気・給排水設備図
換気計算書
すべてIMCAで整備可能。


② 保健所の飲食店営業許可
飲食店で最も落とし穴になるのがココ。
基本要件
2槽シンク(調理用)
1槽(手洗い)
給湯(60℃必須)
換気扇(容量指定)
壁・床の清掃性
食品保管庫
ゴミ保管庫
冷蔵・冷凍設備
IMCAは「飲食店仕様コンテナ」専門設計のため
許可が取れない設計には絶対にしません。

■厨房計画(飲食店の生死を決める最重要ポイント) 

飲食店は 厨房が9割 です。
● 何を提供するのかで厨房は激変する
コーヒー中心
パスタ
ハンバーガー
スイーツ
カフェレストラン
定食系
これに合わせて
電力容量/排気/冷蔵庫サイズ/シンク数 が変わる。
IMCAは
“メニュー先行型の厨房計画”
を採用しているため、利益が出る厨房を設計できます。

■コンテナ飲食店に適したコンテナサイズ 

● 20ft コンテナ(一般)
→ コーヒースタンド向け
→ 費用・リスクが小さい
● 40ft コンテナ
→ 店舗・厨房を同居させる王道構成
● Laydownコンテナ(横倒しハイキューブ)
→ 20ftなのに“床面積16㎡”
→ 小型飲食店やテイクアウトに最適
● 20ft × 2〜3連結
→ 人気の「コンテナカフェ型」
→ 外観演出がしやすい
→ 客席を広げやすい

■コンテナならではの強み(メリット)

① 工期が短い(最短3ヶ月)
工場制作+現場据え付けのハイブリッド。
② コストを抑えられる
平均:一般店舗の60〜70%
③ デザインが圧倒的に強い
黒、白、木、ガラス、ステンレス、ミラー……
IMCAはこれを得意分野とする。
④ 賃貸土地でもOK
移設・増設に強い。
⑤ 小規模スタートが可能
1台→2台→3台へスケールアウトできる。

■コンテナ飲食店の費用(実務値) 

項目

目安

コンテナ本体

500900万円

内装

150300万円

厨房機器

150350万円

デッキ・外構

50150万円

電気・給排水設備

50150万円

合計

7501,500万円

※ 業態により変動
(ハンバーガー店舗 → 高め/コーヒースタンド → 低め)

● 電力
厨房をやるなら 40A〜75A は必要。
● 断熱
IMCA標準:
ウレタン吹付50mm+二重屋根
● 換気
調理排気
一般換気
給気バランス
これらを同時に満たすことが必須。

■失敗しないための注意点 

  • 中古コンテナを使わない
  • 厨房容量を見誤らない
  • 断熱をケチらない
  • コンテナ専門家と組む
  • 保健所の要件を事前確認
  • 外構予算を確保
  • 電力契約を早めにする
  • 排水ルートを軽視しない

ここを理解すれば、飲食店は成功します。

■コンテナカフェを作る時、|Q&A_10Q&A

Q1|コンテナで飲食店を作るのは違法?
A|建築用新造コンテナなら合法で、建築確認も通ります。しかも「重量鉄骨」のジャンルで地震にもしっかり耐える頑強な躯体です。


Q2|厨房は問題なく作れますか?
A|メニューに応じた厨房計画を組めば問題ありません。プランニングは一般の建物と変わりません。あとは給排水経路をどう取るかは設計士としっかり打ち合わせてください。


Q3|排気や匂いはどうする?
A|業務用フード+排気ダクト+給気バランスで対応で理想的な経路をデザインします。ここも一般建築同様その仕様に問題はありませんので、しっかりと設計士と打ち合わせて理想的な厨房を作ってください。


Q4|保健所は通りますか?
A|シンク数、給湯容量、換気等物理的条件を満たせばOKですので、あとは実際に使いやすい流れをデザインすることです。


Q5|電気容量は?
A|飲食店は40A〜75Aが一般的ですが、実際に使う機器から計算できます。


Q6|工期はどれくらい?
A|準備を淡々と整えれば、2〜3ヶ月でオープン可能。


Q7|雨・暑さは大丈夫?
A|二重屋根+断熱50mmで快適。


Q8|カッコいいデザインにできますか?
A|むしろコンテナはデザイン特化。外観の自由度が高い。


Q9|移設できますか?
A|できます。資産価値が高いのも強み。


Q10|坪単価は?
A|一般店舗より2〜3割安くなることが多い。

■まとめ──コンテナ飲食店は「合理性×デザイン×低リスク」が揃う

コンテナ飲食店は単なる「安い建物」ではなく、
早い・強い・美しい・伸びる
という4つの価値を両立した新世代の飲食モデルです。
IMCAが手がけるコンテナは
構造
法規
厨房
断熱
動線
デザイン
マーケティング
すべてを踏まえた“プロ仕様”。
だからこそ、飲食店開業との相性が抜群。

どんな店にも、生まれたばかりの“鼓動”がある。まだ弱々しく、まだ頼りなく、けれど確かにそこに灯っている、最初の小さな光だ。

コンテナという鉄の箱は、一見無機質に見えて、実のところとても正直だ。人が触れた分だけ温度を持ち、人が時間をかけただけ深みが宿る。

朝の光を受けるとき、午後の風が壁を撫でるとき、夕暮れのオレンジがガラスを染めるとき、この店の物語はゆっくりと進み出す。

お客さまは、ただコーヒーを飲みに来るのではない。この空間に流れる空気を味わいに来る。店主の時間、気配、選んだ音楽、漂う匂い、それら全部がひとつの“体験”になる。

だからこそ、派手でなくていい。完璧でなくていい。急がなくていい。

鉄の箱は、焦らない。風を受け、雨をしのぎ、ただそこに佇みながら、店主の歩幅で育っていく。

どうか、この場所を大切にしてあげてほしい。日々の手入れ、ひとつの決断、そのすべてが店の表情となり、やがて“愛される店”へと変わっていく。

コーヒーの蒸気が立ちのぼり、窓辺の光がいつもの席を照らし、誰かがふと微笑む。

そんな瞬間が、この小さなコンテナに、ゆっくりと“永遠”を残す。

記事の監修者

大屋和彦

大屋和彦

九州大学 芸術工学部卒 芸術工学士
早稲田大学芸術学校 建築都市設計科中退。
建築コンサルタント、アートディレクター、アーティスト、デザイナー。

1995年よりコンテナハウスの研究を開始。以後30年間にわたり、住宅、商業施設、ホテル、福祉施設など300件以上のプロジェクトに携わる。特にホテルをはじめとする宿泊施設型コンテナハウスの設計・施工に圧倒的な実績を誇る。商業施設、住宅分野にも多数の実績があり、コンテナハウス建築業界で幅広く活躍している。