コンテナハウスコラム

四半世紀以上にわたり現場に立ち
研究し続けてきた私たちだから語れる
リアルな“コンテナハウスの深堀り話”です。

更新日:2025.10.06

12_MIKAN(未完)HOUSE

【保存版】未完はもう“マニアの遊び”ではない。2LDKで暮らしの本丸へ。

プロローグ:未完の家が投げかけた問い 

「家は、完成していなければならないのか?」
そんな逆説的な問いかけから始まったのが、MIKAN(未完)HOUSEである。
コンテナハウスをベースに、「最後の仕上げは住む人自身が行う」というコンセプトは、当初「一部のマニア向け」「DIY好きの遊び」と評された。
しかし時代は変わった。
2025年、ついに発売された 2LDKモデルのMIKAN HOUSE が、そのイメージを一変させた。
それは「未完」がいよいよ“暮らしの本丸”に乗り込んだ瞬間だった。

コンテナハウスの現在地

日本におけるコンテナハウスは、まだ新しい建築ジャンルだ。
「プレハブと何が違うの?」「建築基準法に適合するの?」といった不安が先行してきた。
だが、建築用に新造されたJIS規格鋼材のコンテナは、法規・強度ともに確かな土台を持つ。
耐震・耐風性能は鉄骨造のモノコック構造で担保(正確には「ラーメン構造」だが、壁量が多い時はモノコックにもなる。」
建築確認申請に対応(普通に対応できます)
離島輸送にも適したモジュール性(これは大きな特徴で、すでに多くの実績を持っています)
これらが認知されるにつれ、コンテナハウスは「怪しいもの」から「新しい選択肢」へと変わり、
新たな建築工法の選択肢の一つになりました。

「未完」という哲学 

MIKAN(未完)HOUSEは、この流れの中で「完成しない住宅」を提示した。
なぜ未完なのか。
住まいを「ユーザー参加型」にするため
ライフスタイルに応じて育てられるため
コストを下げ、セルフビルドの余地を残すため
それは「家は買うものではなく、育てるもの」という思想だった。
当初、この哲学は理解者を選んだ。
「面白いけど大変そう」「一部のマニアが楽しむものだろう」
しかし、それが 2LDKモデルの登場で一気に反転する。

2LDKがもたらす転換点 

2LDK=暮らしの本丸。
1LDKやワンルームでは「別荘」「週末の遊び場」感が強かった。
だが2LDKは違う。
ファミリー層が「住める」サイズ感
移住・定住に耐えうる間取り
ワーケーションや2拠点生活にも最適
つまり、「マニアの遊び」から「本格的な住まい」へと市場を広げたのだ。
**2LDKのMIKAN HOUSEは、住宅市場に対する未完の“逆襲”**だった。

実需としてのMIKAN HOUSE 

✅ 定住建築として
建築確認済みのコンテナモジュールだから、法的にも安心。
断熱・換気・耐久性能を確保しつつ、仕上げや内装をセルフビルドで楽しめる。
✅ 離島移住に
輸送が容易な20fttコンテナをベースにしているため、宮古島や石垣島といった離島プロジェクトでも実績多数。
2LDKモデルは「家族ごと移住」を現実的にする。
✅ サブスク住宅・観光活用に
2LDKなら短期滞在だけでなく、長期滞在・地域おこし協力隊住宅にも転用可能。
ここに「実需」が加わったことで、MIKAN HOUSEは単なるコンセプト住宅から「住宅市場に食い込む存在」へと変わったのです。

「未完」だから広がる自由度

完成住宅と異なり、MIKAN HOUSEは 「余白」 を持っている。
内装をDIYすることで費用削減(材料費+指導)
デッキやガレージを後付け可能
店舗併用やSOHO用途に拡張
例えば、あるオーナーは40ft+デッキの1LDKを「カフェ併用住宅」に、また別のオーナーは「アーティストのアトリエ付き別荘」に仕上げた。
「未完」だから、暮らしの未来に合わせて進化できる。

コーポラティブ・セルフビルドとの融合 

さらに注目すべきは、コーポラティブ・セルフビルドという仕組みとの親和性だ。
森のコンテナ研究所に集まり、仲間同士で施工を手伝い合う
自分の家は仲間に助けられ、他人の家を手伝うことで学びを得る
プロ施工士の指導が入るから安心
2LDKモデルは「施工の学び」にも最適なサイズ感。
仲間との共同体験が、住宅そのものに「物語」を刻み込む。

未完が自治体に与える可能性

自治体にとっても、MIKAN HOUSE 2LDKモデルは大きな意味を持つ。
移住促進:定住可能な間取りで、若年層や家族層に響く
空き家対策:安価に新築供給できるため、空き家改修に代わる選択肢
災害対応:モジュール型で応急住宅→定住住宅への転用も可能
「未完の住宅」が、地域政策の実効性を高める武器になるのだ。

海外の文脈と比較 

北欧の「コーポラティブ住宅」やヨーロッパの「セルフビルド運動」は、すでに社会的に認知されている。
それらは「共同の力で住宅を得る」仕組みだった。
日本のMIKAN HOUSEは、そこに「未完」という哲学を重ねる。
完成を拒むことで、未来に開かれた住まいを提案する。
これは世界でも稀有な挑戦だ。

逆襲の正体

「未完はマニアの遊び」だったはずが、2LDKという現実サイズを得た瞬間、
それは「完成品に飽きた時代の切り札」になった。
完成品の住宅に縛られることなく
暮らしを自分でデザインし
コストを調整し
仲間と物語を分かち合う
これこそが、MIKAN HOUSEの逆襲の正体である。

エピローグ:あなたも未完の住人に

もしあなたが、
「家をただ買うのではなく、育てたい」
「暮らしをもっと自分らしくデザインしたい」
そう思うなら、2LDKのMIKAN HOUSEは格好の舞台になるだろう。
MIKAN(未完)HOUSEはもう、マニアの遊びではない。
MIKAN(未完)HOUSEは、あなたの暮らしを広げる「未来の住宅」だ。
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記事の監修者

大屋和彦

大屋和彦

九州大学 芸術工学部卒 芸術工学士
早稲田大学芸術学校 建築都市設計科中退。
建築コンサルタント、アートディレクター、アーティスト、デザイナー。

1995年よりコンテナハウスの研究を開始。以後30年間にわたり、住宅、商業施設、ホテル、福祉施設など300件以上のプロジェクトに携わる。特にホテルをはじめとする宿泊施設型コンテナハウスの設計・施工に圧倒的な実績を誇る。商業施設、住宅分野にも多数の実績があり、コンテナハウス建築業界で幅広く活躍している。