コンテナハウスコラム
四半世紀以上にわたり現場に立ち
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リアルな“コンテナハウスの深堀り話”です。
更新日:2025.10.04
コンテナハウスの断熱設計
【保存版】コンテナハウスの結露対策 完全ガイド
もくじ
― 快適で長持ちする住まいのために ― コンテナハウスと結露問題
「コンテナハウスは結露がひどい」と耳にしたことはありませんか?
確かに、鉄でできた箱=コンテナは、外気温と内気温の差を受けやすく、表面温度が急激に変化します。そこに湿った空気が触れると、水滴が発生しやすいのです。
特に冬場、暖房で室内が暖かいのに外気温は低い。その差が結露の最大の原因になります。つまり「断熱」をしていないコンテナには「結露問題」が確かにあるのです。
結露を放置するとどうなる?
カビ・ダニの発生 → 毛っっか敵には、健康被害(アレルギー・喘息など)に結びつきます。
断熱材や木材の劣化 → 腐朽・シロアリ被害のリスク
鉄部の錆 → コンテナ構造体の耐久性を損なう
つまり、結露対策は「快適な暮らし」だけでなく「家そのものを長持ちさせる」ために必須なのです。

コンテナハウスの結露対策 5つの基本
1. 断熱材の適切な施工
発泡ウレタン吹付け(気密性・断熱性が高い)断熱のない部分、スキマが出来ないので非常に安定した結露対策、断熱対策になる。
グラスウール+防湿シート(施工精度に注意)、スキマにまだ「結露」ができることがあるので、上記ウレタン吹き付けを推奨する。
外張り断熱(熱橋を減らせるため有効)。最も有効とされる手段の一つだが、コンテナのアイコンであるコルゲートパネルが見えなくなるのでビジュアルの特徴は失われる。
断熱は「厚み」よりも「隙間を作らない施工精度」が命です。
2. 防湿層・気密シートの活用
室内の湿気を断熱層に侵入させないことが重要です。
内側に防湿フィルムを設置
電気配線・コンセント周りの気密処理を徹底(隙間から湿気が侵入する)
3. 換気計画
24時間換気システムの設置
換気扇や窓開けによる自然換気
サーキュレーターで空気を循環
「湿気を溜めない」=最強の結露対策です。きちんと空気の流れを計画することが、空気を滞留させず湿気がたまらない計画になります。
4. 暖房と湿度管理
室温を15〜20℃以上に保ちつつ、**湿度40〜60%**を維持
加湿器の使いすぎ、湿気の滞留に注意
除湿機やエアコンの除湿モードを活用
5. 内装材の工夫
調湿性能のある素材(珪藻土、漆喰、無垢材)を使用
壁や天井に結露が出にくい仕上げを選択
実際の施工事例から
例えば「宮古島のMIKAN HOUSE」では、吹付け断熱+換気扇+デッキ空間を組み合わせ、湿気の多い島気候でも快適に過ごせるよう工夫されています。
また「千葉・君津の森」の研究棟では、内外の温湿度をセンサー管理して最適な換気量を自動調整する試みも行われています。

まとめ
コンテナハウスの結露は、「鉄の箱だから仕方ない」ものではありません。
断熱・防湿・換気・温度湿度管理を組み合わせれば、むしろ気密性の高い快適住宅として長期利用できます。
機密性の高い空間は「空気の流れをコントロール出来る空間」ということになり、湿度対策も取りやすくなります。
不安を解消し、安心して「コンテナ暮らし」を楽しみましょう。
Q&A:コンテナハウスの結露対策に関するよくある質問
Q1. コンテナハウスは本当に結露が多いの?
A. 鉄は温度差を受けやすいため、未処理のコンテナでは結露しやすいです。
しかし、断熱・換気を正しく設計すれば一般住宅と同等、もしくはそれ以上に快適です。
Q2. DIYで結露対策できますか?
A. 簡易的には「除湿機・換気扇設置」「調湿材の利用」などは可能です。
ただし、断熱や気密処理はプロによる施工が望ましいです。
Q3. 夏でも結露は起きますか?
A. はい。冷房で冷えた室内と高温多湿の外気の差で「外壁側」に結露が発生することがあります。
特に沖縄や南西諸島では夏の結露対策も重要です。
Q4. 一番効果の高い結露対策は?
A. 「断熱+防湿+換気」の3点セットです。
どれか一つ欠けると効果は半減します。
Q5. 結露対策にかかる費用は?
A. 吹付け断熱の場合、20ftコンテナ1台で20~40万円程度が目安。この工事は必須です。
高性能換気システムを導入する場合は追加で数十万円必要ですが、空気の流れを考えれば一般の換気システムでも十分対応できます。
ただし、長期的には換気対策を十分に行うことは、建物の劣化防止で大きなコスト削減につながります。
記事の監修者

大屋和彦
九州大学 芸術工学部卒 芸術工学士
早稲田大学芸術学校 建築都市設計科中退。
建築コンサルタント、アートディレクター、アーティスト、デザイナー。