コンテナハウスコラム

四半世紀以上にわたり現場に立ち
研究し続けてきた私たちだから語れる
リアルな“コンテナハウスの深堀り話”です。

更新日:2025.08.03

コンテナハウスのデザイン

コンテナハウスの知識(初級)

コンテナハウスの豆知識

コンテナハウスとは?最高のコンテナハウスを作るための完全ガイド


【はじめに】なぜ今、「コンテナハウス」なのか?
「コンテナハウス」という言葉を聞いて、あなたはどんなイメージを抱くだろうか?
無骨で、工業的で、ちょっと未来的──あるいは、仮設住宅のようなもの? それとも、ミニマルで洗練された“箱の中の暮らし”?
今、コンテナハウスは新しい建築の選択肢として、注目を集めています。
単なる仮設や趣味のDIYを超え、「建築物」としての完成度を備えた本格的な住宅・店舗・別荘・ガレージなど、用途の多様性と圧倒的な個性が魅力です。
本記事では、「コンテナハウスとは何か?」という基本から、
「最高のコンテナハウスをつくるには何が必要か?」という実践まで、
わかりやすく丁寧に解説します。

「コンテナハウス」とは何か?

■ コンテナ=ただの箱じゃない!
「コンテナハウス」とは、建築用のコンテナユニットを用いて構成される建築物です。
よく混同されがちですが、「輸送用の中古コンテナ(ISOコンテナ)」を使った簡易なDIY住宅とは異なり、ここで扱うのは建築用に新造されたコンテナ。建築基準法を満たし、構造計算もクリアできる設計になっています。
■ コンテナハウスの魅力とは?
モジュール構造による高い拡張性・可変性
工場製造による高品質&短納期
スタイリッシュなデザイン性(※現代建築との相性が◎)
狭小地にも対応可能な自由な設計
将来的な移設・再利用も可能な持続可能性
■ コンテナハウスの用途は?
注文住宅(都市部・郊外)
タイニーハウス(20〜40㎡の省スペース住宅)
別荘・セカンドハウス(海辺・山間部など)
店舗・カフェ・スイーツショップ
コンテナオフィス・シェアスペース
ガレージハウス・趣味空間(愛車やバイクとの暮らし)

コンテナハウスを選ぶ前に知っておくべき基礎知識

■ 建築用コンテナと輸送用中古コンテナの違い

比較項目建築用コンテナ(新造)輸送用コンテナ(中古)
法規制対応建築基準法対応(確認申請可)原則不可
構造強度構造計算対応不明・再利用時に劣化あり
内装仕様建築仕上げに最適化錆・汚損・改修要
耐震性・断熱性専用設計後施工対応が必要
寿命住宅並み(30年以上)状態により不明瞭

→結論:住宅や店舗には「建築用新造コンテナ」がマスト。
■ 建築確認・法的手続きについて
建築用コンテナを使うことで、「建築物」として正式に申請・登記が可能です。
都市計画法・建築基準法に準拠
確認申請をクリアしたプランなら、住宅ローン対象にもなります
仮設ではなく本物の新築建築物として認められる

「最高のコンテナハウス」を作るための5つのポイント

① 構造安全性のある設計を
耐震性・耐風性などの安全性能は、設計・構造計算が命です。
信頼できる構造設計者(例:サイエンス構造のような専門機関)と連携し、強固で安全なコンテナ建築を実現しましょう。
② デザイン性と機能性の両立
無骨で直線的な外観を活かしつつ、
採光
断熱性能
空間のつながり
収納・動線設計
など、「住まいとしての快適性」をしっかり考えましょう。
③ 土地と用途に合ったレイアウト計画
コンテナの特性上、土地の形状を逆手にとった設計が可能です。
細長い土地・狭小地でも対応可能で、都市型住宅にも適します。
また、複数のコンテナを組み合わせることで、自由なレイアウト(L字・コの字・デッキ付きなど)も実現できます。
④ 断熱・空調・遮音の工夫
コンテナは鉄製のため、夏の暑さ・冬の寒さへの対策が不可欠。
ウレタンフォーム断熱
二重天井・二重床
ペアガラス・遮熱塗料
全館空調/換気設計の工夫
など、住宅グレードの快適性を実現する工夫を盛り込みましょう。
⑤ 信頼できる施工会社の選定
コンテナ建築は、まだまだ一般的な工務店では経験が少ない分野。
建築用コンテナを専門に扱う実績ある施工会社を選ぶことが、最も重要なポイントです。

注文住宅としての「コンテナハウス」

■ コンテナハウスは“ローコスト住宅”なのか?
一部では「安く家を建てられる」というイメージもありますが、正確にはこうです:
✅ 高品質な注文住宅を、適正価格で実現できる建築手法
❌ なんでも安く済むわけではない
工場製作により現場工程を短縮できる(=工期コストを下げられる)
シンプルな設計であれば、坪単価80万円台〜も可能
ハイグレードな仕様にすれば、一般住宅と同等またはそれ以上の価格帯も
■ タイニーハウス/平屋との相性
20フィート1本=約15㎡ → ワンルームやオフィスに最適
40フィート=約30㎡ → ワンベッド+LDKなども可能だが、運び込める場所が限られることが多い
複数本連結すれば、2LDK・3LDKのファミリー住宅も普通に設計可能

コンテナハウスで叶える、新しい暮らしのかたち

■ セカンドハウス・2拠点生活に最適
移設可能・増築可能 → 柔軟なライフスタイルに対応
離島・山間部などへの設置も◎
将来的に「売る」「移す」ことも視野に入れられる
■ ガレージハウスや趣味空間にも
車と暮らす「リビングガレージ」
サウナ/アトリエ/音楽室など趣味空間の設計にも最適
コンパクトながら「自分だけの城」をつくる楽しさ

【まとめ】コンテナハウスは“建築の未来”である


コンテナハウスは、単なる建築スタイルではありません。
それは、時代に合った「住まい方」「働き方」「遊び方」のシフトを象徴する存在です。
ミニマルで機能的
持続可能でモジュール的
デザインと自由の象徴
「最高のコンテナハウス」とは、単に高級であるという意味ではありません。
それはあなたの人生にピタリとフィットし、思わず誇りたくなるような“箱”のこと。

【Q&A:よくある質問】


Q1. コンテナハウスは本当に住めるの?
A. もちろんです。建築基準法に適合した設計なら、住宅としての認可もローン利用も可能。断熱・空調も工夫すれば、一般住宅と同等以上の快適性を実現できます。
Q2. 地震や台風に弱くないですか?
A. むしろ頑丈です。鉄骨構造のため耐震性は高く、構造計算もクリアした設計が可能です。強風対策も基礎工事で対応できます。
Q3. おしゃれにできるの?
A. はい!無機質な素材感を活かした「インダストリアルデザイン」から、木材や塗装で仕上げたナチュラルな外観まで、デザインの幅は非常に広いです。
Q4. 価格はどのくらい?
A. 最小構成(1本)なら700万〜900万円程度から。2LDK以上のファミリータイプなら1500万円〜3000万円の事例もあります。住宅性能とデザインにより変動します。

記事の監修者

大屋和彦

大屋和彦

九州大学 芸術工学部卒 芸術工学士
早稲田大学芸術学校 建築都市設計科中退。
建築コンサルタント、アートディレクター、アーティスト、デザイナー。

1995年よりコンテナハウスの研究を開始。以後30年間にわたり、住宅、商業施設、ホテル、福祉施設など300件以上のプロジェクトに携わる。特にホテルをはじめとする宿泊施設型コンテナハウスの設計・施工に圧倒的な実績を誇る。商業施設、住宅分野にも多数の実績があり、コンテナハウス建築業界で幅広く活躍している。