コンテナハウス施工事例
更新日:2025.02.02
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プラントコンテナ_東芝(デサリネントプラント)
海水を淡水に変える箱
東芝のプラントコンテナと、コンテナ建築の未来
砂漠のど真ん中でも、水が生まれる。それは一台のコンテナから始まった。東芝が開発したデサリネーション(淡水化)プラント・コンテナは、その中に海水を淡水に変える全工程を収めていた。ろ過、逆浸透、圧力制御、排水処理──。すべてが、12メートルの金属の箱にパッケージされていた。そして何より、この装置はすぐに移動できた。設置したい場所に「建築物の建屋を作る必要がない」
なぜ、コンテナでなければならなかったのか?それは「あらゆる土地に水を届けること」が目的だったからだ。

• 港があれば、そこに着ける。
• トレーラーがあれば、砂漠にも行ける。
• 荷下ろしのためのインフラがなくても、コンテナなら降ろせる。
つまり、コンテナは世界のインフラと同期しているのだ。

建築でも応用できる思想。このプラントコンテナには、コンテナ建築に通じる思想がいくつもある。
1. 機能をまるごと内包する「閉じたパッケージ」
2. スピードと可搬性を兼ね備えた仮設力
3. 現地施工を最小限に抑える「プレファブ化」
4. 「技術」と「暮らし」を近づける装置
これらはすべて、現代の建築、特に離島や被災地、あるいは未開発地での実践的建築に応用可能な理念である。「空間」ではなく「機能」を運ぶ。それは、建築の再定義でもある。もし、この思想を生活空間に応用したら?

東芝のプラントコンテナが淡水を生み出すように、生活用のコンテナもまた、エネルギーをつくり出し、処理し、再利用することができるようになる。
• ソーラーパネルと蓄電池を搭載した電源コンテナ
• 災害時に衛生環境を守る浄化・排水ユニット
• 風力と熱交換を担う気候調整ユニット
『未来の住宅とは、都市の機能を分散して持つ「自己完結型の装置」』であるかもしれない。その原型のひとつが、プラントコンテナなのだ。工場でもなく、建築でもなく、「装置」としての箱。このプラントは工場ではない。けれど、ひとつの産業的営みをまかなえる。このプラントは建築ではない。けれど、ひとつの生命の基盤を提供できる。

それは第三の存在──装置としてのコンテナの可能性を象徴している。水が出ない場所に、水が届く。それはインフラの革命であり、建築の未来でもある。
