コンテナハウスコラム

更新日:2025.01.10

コンテナハウスの歴史

コンテナハウスの歴史(黎明期)

日本のコンテナハウスの歴史を振り返りながら進化を確認してみます

コンテナハウスはかねてより「ISOコンテナ改造の世界」というのがありました。
だって、そこにとても頑丈な鉄の箱が「モノを運べる大きさ」で存在しました。海洋輸送用ISOコンテナの存在です。

ちょっと想像力のある人間なら「これ使って事務所作れるなあ」「ちょっとしたオトコの隠れ家作れるなあ」と自然に思います。農業やってる方なら、ちょっと休憩小屋や頑丈な道具置きの倉庫に出来るなあ。と考えます。

コンテナハウスの歴史のほかに「コンテナの歴史」そのものというものもありますが、こちらはまた皆さんが深い興味をお餅になった時に書きましょう。ここではダイレクトに「建築物として使うコンテナ」=「コンテナハウス」の事を振り返ってみます。

かつて、「コンテナハウスという世界」が始まったのは、日本の歴史的時間の流れの中では昭和以降の時代に「海洋輸送用コンテナの改造」から始まりました。一定程度使った輸送用コンテナは安全上の理由がメインで使えなくなります。そんな中古コンテナがまだまだ「箱」としては使えるのに「もったいない!何かに使えるよね」から始まったリユースです。

「強そうな鉄の箱」ですから。「これは利用出来そうだ」と考えるのは当然でしょう。リユースは持続可能な世界を構築するためには重要な思想です。しかしながら今まで解説してきました日本における建築基準法上の理由(材料上の問題、構造上の問題)で「海洋輸送用コンテナ」を建築に使う事は日本の建築基準法の元ではなかなか難しいと考えられるのです。

「中古コンテナ利用の歴史」は、一方で「セルフビルド」や「ちょっとした改造止まり」の結果しか生みませんでした。「建築業者」などが一つのオープン部品として、建築に本格的な利用をするといったレベルに繋がるものではありませんでした。中古としてしか出回らなかったらそれはそうですね。結果的に、日本では「なんちゃって建築」以上のものになる事はなく、「デザイン性」や「使い勝手のいいもの」になる、などの本格的成長へはつながらなかったのです。

ISOコンテナでそれなりのものはできる様になったが、建築基準法の問題がわかってきた。

日本ではその後、大きな変化が訪れます。

「コンテナストレージという事業」の中で「株式会社デベロップ」がコンテナの利用を始めました。21世紀に入ろうとしていた頃です。時代的にもコンプライアンスが声高に叫ばれるようになり、遵法性という事が社会活動の中で大きな意味を占める様になってきましたね。

海洋輸送用コンテナを使ってコンテナのストレージを作るのではなく、この事業のようにコンテナという箱が新たな事業形態を生むのであれば、ストレージは建築物になるので、建築基準法をクリアするコンテナを開発したらいいのではないかと、建築基準法をクリアするコンテナを最初に開発したのが「株式会社デベロップ」でした。

つまり「固定的で、継続的、かつ電気設備などを含み、人が出入りするものは建築物である。という認識に立ち、建築物であるなら「建築基準法が適用される」という見解が国土交通省の見解として正式に決まってからは輸送用のコンテナを固定的に使うと建築物と判断されることが標準になってしまったのです。

つまり日本のコンテナ建築の本格的採用は「株式会社デベロップ」が開発した「JIS鋼材を使った、ラーメン構造型」から始まったのです。これによって「建築向けJIS鋼材ラーメン構造型コンテナ」が誕生したのです。当社も利用の方向性は違いましたが、株式会社デベロップと共に、「建築用途型コンテナ」が何か新たな世界を作りそうだと考えた建築が用途型コンテナを作り始めた会社の一つでした。

建築基準法をきっちりとクリアさせて出来た最初のコンテナ建築

ラーメン構造型コンテナは時代とともに次第にその内容を高め現在に至っていますが、この開発発展の中で本格的な建築的利用が始まりました。ニーズが高まると、展開される世界も広がって行きます。その動きの中で次第に「コンテナハウスのデザイン性・機能性」も高まって行きました。

さて、一度立ち止まってみてください。コンテナハウスの魅力は今はなんなのでしょう。中古のコンテナを利用して居住用のユニットを作るのはどうやら「建築基準法」にそぐわないとしたら、輸送用コンテナは建築には使えないということになります。それでも「新造」でも「新たな方式の構造体」でも、やはり「コンテナ」として認められる建築的構造体の「モジュラー構造体」にはどんな魅力があるのでしょうか。

1.コンテナの世界はすでに地球上に張り巡らされた「ロジスティクス網」があるので概ねどこにでも運べる

2.コンテナの世界はその「寸法体系」を守ることによって上記のロジスティクス網を使う事が理論上出来る。

3.コンテナ形状のラーメン構造体(ブレース構造体でもいいが)をオープン部品として考えると、世界のロジスティクス網に乗せられる巨大な建築構造体のオープン部品が成立する

4.上記のオープン部品の世界ロジスティクス網があれば、世界中で住居などに困っている方々の支援が出来る。

5.この事は「世界の人々をあらゆる危機から救うある種のことが出来る可能性に満ちている」という事を示しています。

最初は、世の中に実は一定数が存在する「コンテナファン」によって「コンテナで家を作りたい」「コンテナでショップを作りたい」というニーズがあり、「コンテナでこんな建物が出来ました!」といった驚きや、一般建築に負けないデザインに仕立てられる事によって、人々の目が新たな「素材」として「コンテナ」に向かったという事なのですが、建築家がその中に入ると、世界的規模で人類に寄与できるシステムが構築可能だということがわかって来たのです。