コンテナハウスコラム
四半世紀以上にわたり現場に立ち
研究し続けてきた私たちだから語れる
リアルな“コンテナハウスの深堀り話”です。
更新日:2025.08.01
コンテナのおしゃれなオフィスの具体的なデザイン方法
「コンテナ × オフィス × おしゃれ」この三位一体が織りなす世界観は、単なる仕事場を超えて、思想としてのオフィスを立ち上げる挑戦でもあります。以下に、建築用新造コンテナを用いた「おしゃれなコンテナオフィス」を実現するための具体的なデザイン方法を、実務的な視点と文化的な美意識の両面から提案します。

もくじ
まずは“おしゃれ”の定義を明確にしよう
「おしゃれ」とは単なる装飾ではなく、“センスのある機能性”です。
具体的には、以下のようなキーワードが軸になります:
ミニマルかつ上質
素材の真実性(マテリアルの誠実さ)
過剰を避けた遊び心
内外の関係性(抜け感、つながり)
空間に対するストーリー性

基本構成の考え方──オフィスの機能を「場面」で分解
コンテナオフィスは基本的に 20ft〜40ftのモジュールを組み合わせて構成されますが、以下のような「シーン分け」が重要です:
シーン
必要面積
空間の特徴
エントランス+打合せ
10~15㎡
明るさと開放感を重視。外部と接続。
ワークスペース(集中作業)
10~20㎡
遮音性と快適性。照明と空調の最適化。
カフェ/休憩スペース
5~10㎡
素材感重視。グリーン導入で癒しを。
ストレージ/倉庫
5㎡前後
見せない工夫。

おしゃれに魅せるディテール・デザイン術
▶ 外観デザイン
黒+木目 or 白+ガルバ のように、コントラストで魅せる
「アイキャッチ」になる開口部(大窓やスチールフレームのドア)
ルーバーやバルコニーの立体感で“建築的”に見せる
▶ インテリア
OSB合板、モルタル調壁、鉄骨現しなど、素材の正直さを活かす
天井を高く見せる工夫(ハイサイド窓、梁見せ天井)
ペンダントライト+スポット照明で“陰影”を演出
収納や家具をビルトイン化して空間のノイズを削る

コンテナならではの設計ポイント
「外とつながる開口部」を大胆に設ける
→ 横全開のスライドドア、ウッドデッキと一体化
**「断熱・遮音」**はプロ仕様で対応
→ コンテナは鉄の箱。断熱等級4相当を狙うなら高性能なウレタン吹付が基本
構造計算での信頼性担保(IMCA方式など)
→ 法規対応もふまえた設計必須(建築確認取得前提)

【5】「おしゃれ」を深める5つのディテールテクニック
テクニック
内容
① カラースキームを3色以内に絞る
白・木・黒など、素材との調和で構成
② グリーンやアートを積極的に導入
小さな植栽でも“生の気配”が空間を活性化
③ 「抜け」と「篭り」を共存させる
窓際は開放的に、奥は籠れる設計
④ 昼と夜の印象を変える
昼:自然光、夜:間接照明で別世界に
⑤ デジタル&アナログの融合
スマート制御と手触り感の共存(例:手動開閉の窓+IoT照明)

おしゃれオフィスのデザイン実例パターン
🌿 Case A:ナチュラルモダン系
白のコンテナ+木製ルーバー+観葉植物
天然木の家具とOSB壁の組み合わせ
エシカルな雑貨・文具を配備
🖤 Case B:インダストリアル系
黒×グレー×鉄素材
天井に配管むき出し+コンクリ壁
レザーのチェアと古材家具
💡 Case C:未来系クリエイティブ
ミラーガラスの開口部+LED演出
フロアに浮遊するような家具配置
グラフィック・アートが壁一面に

“おしゃれなコンテナオフィス”が生む文化的価値とは?
これは単なるデザイン話ではありません。
「自分の仕事場を、どう“表現”するか?」という問いに対する答えです。
「小さな空間だからこそ、思想が詰まる」
「箱でありながら、宇宙である」
「仕事をする場所は、人生を語る場所だ」
こういう思想を持った人たちが、コンテナオフィスを選び、未来を切り拓いていきます。

☕ 最後に:小さなオフィスに、大きな夢を。
おしゃれなコンテナオフィスとは、
「自己表現」と「機能性」を掛け合わせた、まさに“生きた建築”です。
それは単なる「事務所」ではなく、
働く人の人生そのものを映し出す、ミニマルで自由な舞台です。

記事の監修者

大屋和彦
九州大学 芸術工学部卒 芸術工学士
早稲田大学芸術学校 建築都市設計科中退。
建築コンサルタント、アートディレクター、アーティスト、デザイナー。