コンテナハウスコラム

四半世紀以上にわたり現場に立ち
研究し続けてきた私たちだから語れる
リアルな“コンテナハウスの深堀り話”です。

更新日:2025.06.30

コンテナハウスの活用術

コンテナハウスの知識(中級)

コンテナで店舗をつくるという選択肢|導入メリットと注意点を徹底解説

コンテナで店舗を作る時の解説文です。
特に建築用新造コンテナを使用する前提で、ビジュアルの新規性/構造的強度/空間的特徴/法的・実務的な視点から、導入のメリットと注意点を整理しました。

コンテナで店舗を作るという選択肢。それは建築用新造コンテナを活用した、最先端の空間演出と構造的合理性を使うということになります。かつては仮設的・簡易的なイメージが強かった「コンテナ建築」ですが、今日では建築専用の新造コンテナユニットを用いることで、洗練された商業空間としての可能性が広がっています。なかでも店舗建築においては、コンテナという形式が持つ視覚的・機能的な特性が、他にはない強みとして際立ちます。

【メリット1】視線を引く「新規性のあるビジュアル」のコンテナ店舗

コンテナ特有のリブ構造(コルゲートパネルといいます)やモノリス的シルエットは、それ自体が都市の中で異物的な存在感を放ちます。またコルゲートパネルの素材は、当社のものは特別な「コールテン鋼材」という(耐候性鋼板)で作られています。一般の鉄板より錆が出にくい材料で、そんな部分でも「ハイエンド」なコンテナを作っています。

• デザイン次第で「倉庫感」「インダストリアル感」「アート空間」「カフェ的スケール感」など、さまざまな表情をつくれます。それは「コンテナ」の設計から始めるオリジナルの建築用コンテナだからです。

• 色彩・開口部・外装素材の組み合わせで、ブランドコンセプトを明確に伝えることが可能です。色も自由自在です。開口部の位置も形もオリジナルのデザインで特別感を演出可能です。

• 並列配置/縦積み/回転など、構成の仕方で構造そのものが広告性を持つ事ができます。横倒し、縦型など、使い方で構造方式を変えて作る事が出来るのです。縦型も、横倒し型も当社の発明品です。

コンテナの使い方は、縦型もある
斜めに設置したコンテナ
縦型と横型のコンテナを組み合わせたもの

結果として、「映える外観」「人が立ち止まるファサード」が自然と生まれ、店舗の存在が話題化しやすくなります。

【メリット2】高い構造強度と耐候性 のコンテナ店舗

建築用新造コンテナは、あらかじめ建築基準法に対応した設計・強度計算がなされており、従来の中古海上コンテナと異なり、構造的な信頼性が高いのが特徴です。

• 鉄骨構造体として台風や積雪に耐える強度

• サビ対策済みの塗装や断熱処理など、沿岸部・過酷環境下でも安心
(当社ならではの「溶融亜鉛メッキ」による重耐塩仕様や、画期的超耐候性塗料「ポリウレア」仕様などがあります)

• 複数ユニットの連結によって、大空間・多用途展開が可能
複数ユニットによる大建築への応用も可能です。構造を知り尽くしたコンテナ建築で安心安全の大空間も可能なのです

高度なコンテナ構造としての、デュアルコア_ハイブリッド構造体
現代コンテナ建築研究所のオリジナル構造のコンテナハウス

特に離島や沿岸部、山間部など自然条件が厳しい立地においては、軽量かつ堅牢な構造体であることが店舗建築において大きな利点となります。「搬送性」はコンテナにおける最も大きなメリットの一つですね。どこにでも運んでいきます。

【メリット3】短工期・高い施工性のコンテナ店舗

工場で事前製作されたコンテナユニットを、現地では基礎工事+接続のみで設置可能。
(計画、設計次第で「作り上げたコンテナ」を運び現地で接続して完成させるという離れ業も可能です)

これにより通常のRC造・木造と比べて以下のような利点が生まれます。

• 短期開業が可能:小規模店舗なら設置〜内装完了まで約1〜2ヶ月も可能

• 初期コストの明確化:設計・製作・施工の各フェーズが明快

• 将来的な移設/増築にも柔軟対応:イベントや期間限定の商業施設にも有効

移設可能なコンテナハウス

【メリット4】可変性と多様な用途展開 ができるコンテナ店舗

コンテナユニットを複数組み合わせることで、店舗だけでなく、以下のような複合的な展開が可能です:

• 店舗+事務所/ギャラリー/倉庫

• 店舗+宿泊(簡易宿泊施設)

• 移動型店舗やイベントブースなど、短期~中期利用に最適

特に近年増えているマルチテナント型モール/地方再生プロジェクト/道の駅の再編などにおいて、柔軟に対応できる点が評価されています。

組み合わせていくハイブリッド型コンテナハウス。
大型のショップもコンテナ店舗で作れます

【注意点】導入時に考慮すべきポイントはコンテナ店舗も一般建築と同じ

1. 法的確認(建築確認の取得)

建築用新造コンテナを使用しているので、一般の「重量鉄骨」と同じ扱いになります。したがって、淡々と設置場所の法規に沿った設計をし、対応していけば合法な計画を立てていく事ができます。(耐火などの高コストな要求には対応も必要です_コンテナに限りませんが)
→ 建築士・確認機関と連携し、計画初期にクリアにしておきましょう。

2. 断熱・空調計画

鉄の箱であるがゆえに、温熱環境は注意が必要ですが、「断熱」は理論です。きっちりと熱は止めることが出来ます。一般的には「吹き付け発泡ウレタン」による断熱方法を取ります。隙間なく空間を埋められるので、最も厄介な「結露」を防ぐことができ、断熱性能を長く継続できます。→ 適切な断熱材の使用、換気設計、日射遮蔽を意識。

3. 基礎工事・地盤調査

設置が簡単とはいえ、基礎の設計は安心安全な建物を作るという意味ではとても重要なポイントです。コンテナは「基礎がいらない」などという適当な噂は流石になくなってきました。建築物には法規に沿った安心安全な「基礎」が必ず必要になります。→ 特に傾斜地や埋立地では注意。地盤調査を行い適切な対応を建築士に相談いたしましょう。

コンテナ店舗は歴とした建築物です。基礎工事は安心安全のために、きっちり施工いたしましょう。

4. ブランドイメージとの整合性

インダストリアルなデザインが店舗のコンセプトとマッチするか?

→ ロゴや内装との調和を図ることで、唯一無二のブランド空間が実現します。

まとめ|「建築用新造コンテナ店舗」は次世代の店舗モデル

速く・強く・自由に・美しくつくるための「器」として、コンテナ建築は確かな進化を遂げています。

従来の“仮設”というイメージを脱し、「意匠性」「強度」「柔軟性」「輸送性」を備えた現代建築の一形式として定着しました。今後ますます店舗領域での活用が加速していくでしょう。

マッシブなコンテナ店舗は、コンテナハウスの原点

• 業種別(カフェ/美容室/ギャラリーなど)の実例

アカサカサカスで使われた「ガラスのシステムコンテナ店舗」。季節ごとにビジュアルを変えてアカサカサカスの広場を楽しませました。

アカサカサカスで使われたコンテナ店舗。システム設計で季節ごとに姿を変える。

メルセデスベンツの「NEXTDOOR」。ベンツがメーカーとしての広報に六本木でイベント的コンテナ店舗を使いました。

メルセデスベンツの「NEXTDOOR」で使われたコンテナ店舗

個人商店主などに特に人気の「コンテナ単独型キオスク的ショップ」に使われたコンテナ店舗。この使われ方のバージョンはたくさんあります。個性が光るショップにお客様もいらしてくれます。

単体のキオスク的なコンテナ店舗。これも人気アイテム。

四番町で行列の店「No.4」。40FEETコンテナ_4台を使い、大屋根をかけた「江戸趣味」な建物。
クライアントの「TBS」が所有する江戸時代からの発祥地なので「江戸趣味」がコンセプトとなったコンテナ店舗。

コンテナ店舗とは思えない表情も作ることができる

このホームページでは「業態別」にも実績の紹介をしています(施工事例集)のでぜひ関連ページをご覧ください。

記事の監修者

大屋和彦

大屋和彦

九州大学 芸術工学部卒 芸術工学士
早稲田大学芸術学校 建築都市設計科中退。
建築コンサルタント、アートディレクター、アーティスト、デザイナー。

1995年よりコンテナハウスの研究を開始。以後30年間にわたり、住宅、商業施設、ホテル、福祉施設など300件以上のプロジェクトに携わる。特にホテルをはじめとする宿泊施設型コンテナハウスの設計・施工に圧倒的な実績を誇る。商業施設、住宅分野にも多数の実績があり、コンテナハウス建築業界で幅広く活躍している。