コンテナハウスコラム

四半世紀以上にわたり現場に立ち
研究し続けてきた私たちだから語れる
リアルな“コンテナハウスの深堀り話”です。

更新日:2025.08.10

コンテナCAFE開業Coach50連載

CAFE_コンテナ開業のためのコーチからの50の手紙_8/50

コーチング_第1章_基礎編_008

戦略を立て、戦術を駆使していこう_カフェ開業コーチング 008/10

はじめに──「闇雲」という危うさ

何かを始めれば、必ず結果が伴います。経営者となった瞬間から、その結果に責任を負う立場になります。「なんとかなるだろう」という気持ちは、起業家精神の一部かもしれませんが、それだけでは船は目的地に着きません。

ここで一つ、日本語の面白い言葉を紹介しましょう──「闇雲(やみくも)」。
暗闇の中にある雲は見えません。その姿から「前後の思慮もなく突っ走る様子」を指すようになったのです。都会の夜なら街灯やネオンで雲の輪郭が見えるかもしれませんが、田舎の夜空は月明かりがない限り真っ黒。そんな中で走り出すのは、目的地も分からずに迷子になるようなものです。

カフェ開業も同じです。
ただ「おしゃれな店をやりたい」「好きなコーヒーを出したい」という想いだけで始めても、利益を生み続ける仕組みがなければ、数か月で経営は苦しくなります。行動には必ず方向と根拠が必要です。

戦略と戦術──その違いを知る

ここで重要になるのが「戦略」と「戦術」。この二つは似て非なるものであり、どちらも欠かせません。

■ 戦略(Strategy)
長期的な目的地やビジョン。
「どこへ行くのか」「なぜそこを目指すのか」を示すもの。

■ 戦術(Tactics)
戦略を実現するための具体的な行動や手段。
「どうやってそこへ行くのか」を示すもの。

📌 図解:戦略と戦術の関係

もう少しカフェ経営に置き換えると、こうなります。

要素カフェ経営での例
戦略「日本的カフェめしの頂点を目指す」
戦術食材の選定、レシピ開発、内装デザイン、SNSマーケティングなど具体策

事業理念が「旗」になる

例えば、あなたの店が「日本で育ったカフェ文化をさらに進化させ、究極のカフェを作り、食文化の頂点を築く」という理念を掲げたとしましょう。

理念がなければ、気分や流行だけでメニューを変えたり、季節ごとにコンセプトが揺れたりします。でも、一度旗を掲げれば判断基準が明確になります。

「最高のカフェめし」を目指すなら、
生地の配合に妥協しない
季節感のある具材を厳選する
器や盛り付けまで日本的美意識を込める
こういった方針が自然と固まります。

これは単に料理のクオリティ向上だけではなく、仕入れ先の選定、価格設定、プロモーションの方向性にも影響します。すべてが一本の軸でつながり、お客様に「この店はこういう店だ」という印象を与えます。

戦略→戦術→雰囲気の連鎖

戦略が定まれば、戦術はその戦略に沿って立案されます。そして戦術が日々のオペレーションやメニュー構成を形作り、それがやがて「店の雰囲気」として外に滲み出ます。

不思議なことに、お客様は無意識のうちにその統一感を感じ取り、「また来たい」と思うようになります。これは偶然ではなく、戦略と戦術が一体となった結果です。

戦略と戦術を実践に落とし込む

カフェ経営では、例えばこんな流れで落とし込めます。
戦略:地元食材を使った季節限定メニューで地域密着型カフェになる
戦術:
毎月のメニュー開発会議
農家との直接契約
季節イベントの開催
SNSでの旬情報発信

結果:
リピーター増加
地域メディアに取り上げられる
店舗ブランディングの強化

今日のコーチングポイント A-008 

闇雲ではなく、計画的に戦略と戦術を立てること。
その二つがかみ合えば、お店のコンセプトはお客様に自然と伝わり、活気と方向性が生まれます。この「回っている」という感覚は、偶然ではなく、あなたが描いた地図によって初めて生まれるものです。

記事の監修者

大屋和彦

大屋和彦

九州大学 芸術工学部卒 芸術工学士
早稲田大学芸術学校 建築都市設計科中退。
建築コンサルタント、アートディレクター、アーティスト、デザイナー。

1995年よりコンテナハウスの研究を開始。以後30年間にわたり、住宅、商業施設、ホテル、福祉施設など300件以上のプロジェクトに携わる。特にホテルをはじめとする宿泊施設型コンテナハウスの設計・施工に圧倒的な実績を誇る。商業施設、住宅分野にも多数の実績があり、コンテナハウス建築業界で幅広く活躍している。