コンテナハウスコラム
四半世紀以上にわたり現場に立ち
研究し続けてきた私たちだから語れる
リアルな“コンテナハウスの深堀り話”です。
更新日:2025.07.24
コンテナCAFE開業Coach50連載
CAFE_コンテナ開業のためのコーチからの50の手紙_2/50
第1章_基礎編 A-002_技術力がベースであることを忘れるな
──カフェという「夢」に、リアリティというスパイスをひとさじ。
カフェをやりたい。そう思った瞬間から、あなたの頭の中にはきっといくつもの景色が流れ出したことでしょう。木漏れ日がさす窓際席で本を読むお客さん。ラテアートに驚いて笑うカップル。ゆったりとジャズが流れるカウンターで、一人だけど心地よく過ごす人の姿……
うん、素晴らしい。どれもカフェという空間が持つ魅力です。でもね。その美しい夢を「現実」に変えるために、まず、ひとつだけ確認しておきたいことがあります。技術力は、ベースです。いや、これはほんとに。
もくじ
カフェは「商品提供だけ」では成立しない、でも…
まず大前提として、カフェというのは「モノ」だけで完結する世界ではありません。
空間、接客、演出、音楽、香り、時間帯、そしてストーリー性──
それら全体が織りなす“体験のパッケージ”が、お客様の満足を生み出します。
しかし、いくら雰囲気が良くても、
「パンケーキがパサパサだった」とか
「ラテがぬるくて牛乳臭い」とか、
「サンドイッチの具がスカスカ」なんてことになったら……?
一発アウトです。
カフェは飲食業である以上、まず「提供するモノ=商品」に対して、一定以上のクオリティが求められます。
この“当たり前”を、どうか忘れないでください。
どんなに素敵な夢があっても、その土台は「技術力」に支えられているのです。
そのスキル、もう持ってますか? それとも、これからですか?
さて、あなたにはいま、どんなスキルがありますか?
コーヒー豆を焙煎できますか?
美しいラテアート、描けますか?
焼き菓子、パン、軽食──自信を持って提供できますか?
ここで、怖がらないでください。
「ありません!」でも、ぜんぜん大丈夫です。
というのも、今この段階で重要なのは「技術力が足りないこと」ではなく、
「自分に何が足りていないかを正直に把握しているかどうか」なのです。
技術の入り口は、いつでもどこにでもある。
今までの経験は人それぞれ。
専門学校に通った。
人気カフェで長くアルバイトした。
趣味で始めたお菓子作りがプロ顔負けの域に達した。
独学でひたすら本を読み、動画を観て研究した。
どれも立派な「入り口」です。
重要なのは、「いまのあなたが提供したい商品」に対して、どれだけ自信を持てているかです。
なにを看板商品にするつもりなのか?
コーヒー? フード? スイーツ? 空間と音楽?
そして、その提供物に必要なスキルは、今、どれくらいありますか?
冷静に、自分自身を評価してみてください。
オーナーシェフじゃなくても「目」は必要
「いや、自分は調理をやるつもりはないんです。オーナーですから」
はい、それも大正解です。
経営に集中し、技術は人に任せる。それもひとつの立派な選択です。
でも、ここでまた大事なポイントがあります。
技術が無いなら、技術を持つ人を「正しく見抜く目」を持たなければいけません。
つまり、スキルを評価できる最低限のリテラシーは必要なのです。
「すごそうな人だったから…」でスタッフを選んでしまい、
フタを開けたら「ただの自己流」だった、なんて話はよく聞きます。
外注するにせよ、採用するにせよ、オーナーには技術を“判断する眼”が求められます。
責任は、最終的にはあなたに返ってきますからね。
技術の不安があるなら、「磨けばいい」
じゃあ、今スキルが足りないなら、どうするか?
答えはシンプル。**「磨く」**んです。
方法はいくらでもあります。
専門学校の夜間クラスに通う
ワークショップに参加する
現場で働いて盗む
独学で突き詰める(最近はYouTubeも凄い)
新商品の開発トレーニングを受ける
SNSで発信しながら試作を重ねる(インスタは練習場にもなる)
実際、既にカフェを運営している多くの方々も、オープン後もずっと学び続けています。
「一生修業」とは、まさにこのこと。
飲食業の世界に「完成」はありません。
スキルは磨けば磨くほど光り、あなたのブランド価値になります。
スタートラインはみんなバラバラ
現実には、開業時点でのスキルレベルは、本当にバラバラです。
ホテルで10年修行した人
名だたる人気店を渡り歩いた人
憧れの店に入れず、悩んで独学で始めた人
フルタイム仕事をしながら夜間の学校に通った人
いろんな人がいます。いろんな道があります。
でも、共通しているのはたった一つ。
強い想いと、研究心を持っていたこと。
スタート時点のスキルが完璧でなかったとしても、開業後に爆発的に成長していく人は少なくありません。
なぜなら、自分の店を持つということは、毎日が“実践”だから。
毎日がトレーニング。
お客様の反応が、あなたへのフィードバック。
昨日より今日、今日より明日。技術は日々、育ちます。
ただし、リスクもある。
とはいえ、やはり技術が不安なまま開業するのはリスクを伴います。
商品のクオリティが安定しない
クレームが発生する
店の評判が低下する
自分自身が不安定になってしまう
特に、SNSの発信力が強い時代。
クチコミやレビューでの評価は、スタートダッシュに大きな影響を与えます。
「失敗してから磨く」では、ダメージが大きすぎることもあるのです。
結論:「納得できるスキル」を持っているか?
あなた自身が、自分の技術に納得できているか。
これは他人には決められない問いです。
自分だけが、自分のスキルに対してYesと言える瞬間があります。
これなら自信を持って出せる
自分の想いを商品に込められている
失敗しても立て直せる力がある
そう感じたら、次のステージ「独立開業」へ踏み出してもよいタイミングです。
もちろん、どれだけ準備しても不安はあるでしょう。
でも、その不安と付き合いながらでも、「行動」を起こすしかないのです。
今日のコーチング002
技術力がベースにあるのは確か。
そのスキル獲得のためのプログラムを自分で作ろう。
ある時点でそのスキルを信じて「独立開業」というモードに入るのだが、
その判断は誰でもなく、自分自身がやるしかない。
一度行動を起こしたら、自分を信じて突き進もう。
店の看板になるのは、あなた自身の「手」なのです。
記事の監修者

大屋和彦
九州大学 芸術工学部卒 芸術工学士
早稲田大学芸術学校 建築都市設計科中退。
建築コンサルタント、アートディレクター、アーティスト、デザイナー。