建築を読む、時間を感じる。技術と詩の交差点へ
一棟のコンテナハウスの裏には、いつも「人」と「時間」がある
技術、哲学、感性、地域——それぞれの断片を物語としてつなぎ
建築という旅のページをめくるように読める"連載アーカイブ"です
更新日:2025.12.28
01_はじめてのコンテナ
08_用途別ガイド_用途
レイダウンコンテナ美容室開業
第2回−2番外編:敷地選定(いすみにリトリート_静けさ型ビューティーサロンを計画する)
連載:20FEET_レイダウンコンテナ1台でビューティーサロンを開業する(実録)
土地が安いからではなく、「静けさが売上になる土地」を選ぶ

もくじ
この回のゴール
この回のゴールは、いすみエリアで「開業まで詰まない敷地条件」を確定し、候補地を2〜3件まで絞ることです。リトリート型は、立地の勝敗がそのまま単価と口コミに直結します。だから雰囲気ではなく、条件で選びます。
今日の結論
いすみのリトリート型サロンで最優先すべき敷地条件は、次の6つです。
1)静けさが守れる(騒音・視線・近隣クレーム耐性)
2)予約制に向く(入口が分かりやすい、駐車がストレスゼロ)
3)給排水が成立する(下水または浄化槽+放流先が現実的)
4)電気容量が確保できる(美容機器+空調+給湯)
5)搬入据付が通る(20FEET+クレーン作業の障害がない)
6)湿気・水・災害のクセが強すぎない(ぬかるみ・浸水・土砂は避ける)
この6つが揃っていない土地は、安くても捨てる。これが最短です。
いすみの「リトリート静けさ型」は、何を売る商売か
リトリート型は「髪を切る店」ではなく、「整う時間を買ってもらう店」です。
単価を守り、回数を積み上げ、信頼で満席にしていくモデルです。
この型が強い理由は3つ。
2拠点生活の2拠点側は、感性の高い層が多い(体験にお金を払う)
“静けさ”は都市では買いにくい(地域側の強み)
少席・予約制と相性が良い(20FEET_レイダウンの小ささが武器になる)
逆に弱点も明確です。見つけにくい立地でも成立しますが、そのぶん「入口の分かりやすさ」「駐車のしやすさ」「予約導線」が必須になります。ここは第5回でSNSと一緒に詰めます。

リトリート型の敷地は「海沿い」より「海から少し入った静けさ」を狙う
いすみの魅力は海も強いですが、リトリート型で安定を取りに行くなら、海沿いド真ん中より、海から少し距離を置いた田園・里山側が堅いです。
理由は実務で効きます。
風・塩・砂の負担が軽くなり、維持費が落ちる
視線が切れやすく、静けさの設計がしやすい
“隠れ家”としての物語が作れる(単価に直結)
狙う立地の言い方を、あえて型にします。
「幹線から1本入って、さらに曲がり角が少ない場所」
「集落のど真ん中ではなく、集落の端」
「田んぼの真ん中ではなく、田んぼの縁(足元が安定しやすい)」
「林の入口(影が綺麗)だが、落ち葉と湿気が溜まりすぎない距離」
敷地選定の手順(いすみリトリート型の最短ルート)
順番を間違えると、雰囲気に負けます。必ずこの順で進めます。
ステップ1:サービス圏を決める(車前提)
基本は車社会です。
「車15分圏」「車30分圏」をざっくり決め、宿・カフェ・温泉・海・道の駅など滞在動線と重なる場所を優先します。
ステップ2:店の運用を先に決める(席数と回し方)
リトリート型は、運用が敷地条件を決めます。ここを曖昧にすると全部が曖昧になります。
1席中心(推奨):体験価値を最大化、静けさが武器になる
予約制:当日飛び込み依存を捨てる
駐車:最低2台(施術中の出入りストレスをゼロにする)
ステップ3:現地に行く前に“落とす”(一次スクリーニング)
不動産屋に質問し、要件が揃わない候補を現地に行く前に落とします(後述の10質問)。
ステップ4:現地確認(昼と夕方、できれば週末も見る)
静けさは時間帯で変わります。
最低でも「昼」「夕方」は見て、可能なら週末も一度見ます。これはリトリート型の必須手順です。
ステップ5:搬入据付判定(写真・動画で先に判定)
置けない土地はゼロ点。早く潰すほど勝ちです。
ステップ6:保健所(+消防+建築)に事前相談
図面が完成してからではなく、ラフ配置で相談します。時間が最も節約できます。
いすみリトリート型:敷地選定チェックリスト(重要項目に絞った25)
現地でこのまま使ってください。
A. 静けさ・視線(リトリート型の生命線)
1)隣家の窓と距離感(視線が刺さる位置関係か)
2)道路の交通量(昼と夕方で差があるか)
3)夜間の騒音要素(近隣施設・集会所・工場・犬など)
4)外で待つ場所が作れるか(雨でもストレスがないか)
5)入口の位置が“落ち着いて入れる角度”か
B. 駐車と動線(予約制のストレスをゼロにする)
6)駐車2台が確保できるか(切り返し含む)
7)道路からの出入りが怖くないか(見通し)
8)バック必須の出入りになっていないか
9)雨の日の足元(泥・水たまり)が想像できるか
C. 給排水(詰みポイント)
10)上水の引込はあるか/口径は現実的か
11)下水があるか、ないなら浄化槽は置けるか
12)浄化槽の場合、放流先(側溝・水路など)が成立するか
13)雨水が溜まる地形か(ぬかるみが常態化しないか)
D. 電気・通信(営業停止に直結)
14)電気引込はあるか/容量増設が可能か
15)エアコン室外機の置き場が取れるか(騒音と見た目も含む)
16)通信環境(スマホ電波/光回線)が現実的か
E. 搬入据付(コンテナの勝敗を決める)
17)進入路に極端に狭い箇所がないか
18)曲がり角に電柱・壁・ミラーがせり出していないか
19)上空に電線・枝が低くかかっていないか
20)クレーンの作業スペースが取れるか(アウトリガー)
21)当日の車両待機ができるか(近隣迷惑にならないか)
F. 法規・地域ルール(後で揉める種)
22)用途・エリアの制限(店舗利用が可能か)
23)看板・外構に景観ルールがありそうか
24)ゴミ出しルール(事業系ゴミの扱い)
25)近隣がクレーム型か共存型か(雰囲気を観察)

不動産屋に最初に聞く10の質問(いすみ版)
現地に行く前にこれを投げます。回答が曖昧なら、資料をもらってこちらで調べる前提に切り替えます。
1)上水は引込済みですか(口径・メーター位置も)
2)下水は使えますか。なければ浄化槽は可能ですか
3)浄化槽の場合、放流先はどこになりますか(側溝・水路)
4)電気の容量増設は可能ですか(引込状況)
5)店舗利用(サロン営業)は契約上・用途上問題ないですか
6)駐車は敷地内で2台以上取れますか(切り返し含む)
7)接道条件はどうですか(道幅・私道・通行承諾など)
8)大型車(トラック・クレーン)の進入が現実的ですか
9)工事の制限はありますか(外構・看板・給排水工事)
10)過去に近隣トラブルはありましたか(騒音・境界・水)
現地で必ず撮る(搬入判定用の素材)
リトリート型は雰囲気に引っ張られやすいので、証拠を持ち帰るのが鉄則です。
最低限撮るもの
進入路の走行動画(曲がり角とすれ違いポイント)
敷地前面道路の左右動画(停車余地・見通し)
上空写真(電線・樹木)
設置予定位置から空を見上げた写真(クレーン障害)
雨水の流れが分かる写真(地面の低いところ、側溝)
これを据付側に共有し、「置ける/危ない/無理」を早期判定します。
いすみリトリート型:敷地採点表(50点満点)
候補地を感情で選ばないために点数化します。
A. 静けさ(10)
騒音要素(0-5)
視線の刺さり具合(0-5)
B. 駐車・導線(10)
駐車2台のストレス(0-5)
道路出入りの安全性(0-5)
C. 給排水(10)
上水(0-5)
下水/浄化槽+放流の現実性(0-5)
D. 搬入据付(10)
進入路・曲がり角(0-5)
上空障害・作業スペース(0-5)
E. 環境リスク(10)
ぬかるみ・浸水・土砂など(0-5)
湿気・風・維持管理の重さ(0-5)
判定目安
40点以上:優先交渉
30〜39点:成立は可能。追加費用・工夫込みで判断
29点以下:基本捨てる(安さで選ぶと後で負ける)
今日の作業(この回を読んだらやること)
1)いすみで候補エリアを3ブロックに分ける(車15分圏・30分圏の感覚で)
2)候補物件を5件拾う(まだ現地に惚れない)
3)不動産屋に10質問を投げて2〜3件に絞る
4)現地でチェックリスト採点+写真動画を撮る
5)据付判定を先に取る(置けない候補は即終了)
6)残った1〜2件で保健所の事前相談に入る
次回予告(第3回)
第3回は、20FEET_レイダウン約16㎡で成立させる「リトリート1席サロンの勝てるプラン」を出します。
動線(施術・シャンプー・清掃)、収納、設備(給排水・換気・給湯)を、保健所で詰まらない形に固定します。図面は簡易でも、寸法の考え方まで落とします。いすみのリトリート型は、敷地が決まった瞬間に勝ちが見えるタイプです。次は第3回、箱の中の動線を“気持ちいい正解”に固定しに行きます。
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