コンテナハウスコラム

四半世紀以上にわたり現場に立ち
研究し続けてきた私たちだから語れる
リアルな“コンテナハウスの深堀り話”です。

更新日:2025.08.13

コンテナ宿泊施設考(連載5)

新造コンテナ未来空間_5連載

建築用新造コンテナでつくる未来の住まいと空間・ 価格・デザイン・用途別徹底ガイド_連載1/5

副題:価格・デザイン・用途別メリットを網羅し、住宅・店舗・ガレージ・宿泊施設まで完全解説

コンテナ建築が台頭する時代背景 

ここ数年、日本だけでなく世界各地で「コンテナハウス」という言葉が急速に浸透してきました。
かつては海上輸送や倉庫用途のためだけに作られていた鉄の箱が、今や住宅・店舗・宿泊施設・医療拠点・災害時の仮設施設など、多様な姿へと変貌しています。背景には大きく分けて社会的要因と技術的要因があります。

社会的要因
都市再開発の加速
 東京・大阪・福岡などの大都市圏で再開発プロジェクトが進み、仮設的かつ機動的な建築物の需要が増加。

観光需要の変化
 観光庁の統計によれば、国内外の旅行者は「個性的な宿泊体験」を求める傾向が年々強まり、グランピング施設やコンセプト宿が増加。

災害対応の必要性
 地震や豪雨などの自然災害の多い日本では、復旧・復興のスピードが命を左右する。コンテナハウスの短工期は有力な解決策。

技術的要因
 コンテナの「建築用途向け躯体の開発」を株式会社「デベロップ」と当社「現代コンテナ建築研究所」が開発し普及させたのが日本での引き金となった。

モジュール設計の進化
 かつては画一的だったコンテナ建築が、断熱・防音・開口部加工などのカスタマイズ性、デザイン性を圧倒的に向上させた「現代コンテナ建築研究所」の作品が登場し、かつての「コンテナ改造建築」とは別の世界を作り出した。

耐震・耐風性能の証明
 JIS規格鋼材と構造計算により、木造や軽量鉄骨をはるかに凌ぐ安全性を確保。

デザインの多様化
 塗装、外装パネル、木材との組み合わせにより、従来の「無骨」な印象を払拭、むしろ「おしゃれ」な世界へと変貌。

📊 図表配置案1:「コンテナハウス市場規模推移(2010〜2024年)」
📸 写真配置案1:都市部設置事例(モダン外観)+地方リゾート設置事例(木材+ガラス)

国内市場データと成長分野 

国交省統計および民間調査会社のデータによると、日本のコンテナ建築市場はこの10年で約3倍に成長。特に2019年以降、観光・宿泊分野での需要が急増しています。
用途別市場シェア(2023年)
1.住宅用途 … 35%
2.商業用途(カフェ・店舗・オフィス) … 28%
3.観光・宿泊用途 … 22%
4.その他(医療・教育・仮設施設など) … 15%
観光分野では、訪日外国人客数の回復と「体験型宿泊」ニーズの拡大が牽引要因。
商業分野では、低初期費用・短工期による新規出店のハードル低減が大きな魅力になっています。

📊 図表配置案2:「用途別市場シェア円グラフ」
📸 写真配置案2:住宅事例/商業事例/グランピング事例を並列表示

建築用新造コンテナの定義と優位性

建築用新造コンテナとは
・日本の建築基準法に適合
・JIS規格鋼材使用
・構造計算による耐震・耐風性能証明
・防火区画や断熱施工にも対応可能

中古輸送コンテナとの比較(要約)

項目建築用新造中古輸送
耐用年数30年以上5~15年(劣化状況次第)
建築確認通る原則通らない
構造劣化なし錆・歪み・疲労あり
安全性高い不安定

プロの視点
長期利用や住宅用途では「建築用新造コンテナ」一択。中古は建築としては考えづらい。
📊 図表配置案3:「新造と中古の比較表」
📸 写真配置案3:断面図比較/骨組み溶接工程

 思想的背景:モジュール+物流の哲学

コンテナ建築は単なる「箱の家」ではなく、モジュール思想の具現化でもあります。
当社の考えの中では、1950年代の米国「ケーススタディハウス」運動と同様、標準化された部材を組み合わせて最短工期・最小コストで理想の空間を作るという発想が同じ根底にあります。
さらに、コンテナの原型は物流の世界で生まれました。世界中どこにでも輸送できるという利点は、移設や再利用の可能性を大きく広げていますし、そのロジスティクス網が事実すでに整っているという状態にあります。

📸 写真配置案4:ケーススタディハウス代表作+現代コンテナハウス比較

ピエールコーニッグのケース・スタディ・ハウスNo.22 スタール邸。1959年竣工

コンテナハウス_20FEET_LAYDOWNによるグランピングモデル

コンテナハウス_20FEET_DUAL_CORE_HiBRID工法よるグランピングモデル

海外動向と国内展望

規制緩和により都市部での常設利用が進む国(オーストラリア・ニュージーランド)
アフリカ・中東では医療施設として常設化
日本では観光・災害対応で先行優位が取れる分野が多い

📊 図表配置案4:「世界の主要事例マップ」
📸 写真配置案6:海外都市事例・地方観光事例

まとめ:時代を超える価値

コンテナハウスは「必要なときに必要なだけ作る」「不要になれば移動・再利用できる」という、今の時代が求める柔軟性を体現しています。
御社が持つ豊富な施工実績と国内での第一人者としてのポジションは、この市場における絶対的な強みです。

記事の監修者

大屋和彦

大屋和彦

九州大学 芸術工学部卒 芸術工学士
早稲田大学芸術学校 建築都市設計科中退。
建築コンサルタント、アートディレクター、アーティスト、デザイナー。

1995年よりコンテナハウスの研究を開始。以後30年間にわたり、住宅、商業施設、ホテル、福祉施設など300件以上のプロジェクトに携わる。特にホテルをはじめとする宿泊施設型コンテナハウスの設計・施工に圧倒的な実績を誇る。商業施設、住宅分野にも多数の実績があり、コンテナハウス建築業界で幅広く活躍している。