コンテナハウスコラム

四半世紀以上にわたり現場に立ち
研究し続けてきた私たちだから語れる
リアルな“コンテナハウスの深堀り話”です。

更新日:2025.07.26

コンテナCAFE開業Coach50連載

CAFE_コンテナ開業のためのコーチからの50の手紙_4/50

カフェを開くことが夢なんです

多くの方がそう語ります。それはとても素晴らしいこと。ですが──
開業はゴールではありません。むしろ、スタートライン。
ここを勘違いしたまま突っ走ると、「夢のカフェ」は意外と早く現実に飲み込まれてしまいます。
今回は、あなたがこれから経営者として生きていくうえで、とても重要なキーワード、「成長」について深く考えていきましょう。

開業は「夢のゴール」ではない

店づくりのワクワク、内装の打ち合わせ、メニュー開発にSNS発信…。
それらすべての準備を経て、いよいよオープン!
「やった、ついに店ができた!」と達成感に包まれるでしょう。
でも、ちょっと待ってください。
あなたがこれから経営者として生きるなら、その瞬間が“スタート地点”です。
例えるなら、今までの準備期間は“助走”。オープンは“スタートラインに立った瞬間”。
本当の勝負はそこから始まります。
そして勝負に勝ち続けるために、絶対に必要なことがあるんです。
それが──「成長」です。

Two young cafe workers indoors. Conception of business and service.

成長とは、“生き延びる力”である

成長というと、何か特別なプロモーションを打ったり、派手に事業拡大することをイメージするかもしれません。でも、実際の成長はもっと地味で、継続的なものです。
売上を少しずつ伸ばす
商品の質を高める
接客力を上げる
コストを見直す
スタッフがスキルアップしていく
こういった「日々の積み重ね」が成長であり、最大の攻撃力なのです。
なぜ攻撃力か?
成長は、他の誰にも奪えない「前進のエネルギー」だからです。
たとえライバル店が増えても、時代が変わっても、自分たちが進化し続けていれば、必ずお客様は見てくれます。逆に、変わらない店はあっという間に忘れられます。

成長が止まった瞬間、下り坂が始まる

「別に売上が減らなきゃいいんじゃないの?現状維持でもOKじゃない?」
はい、その気持ちもわかります。でも、ここにひとつの“罠”があります。
現状維持というのは、幻想です。
現代のビジネス環境では、「止まる=後退」なんです。
なぜなら、周囲は確実に進化しているから。
あなたがじっとしていても、ライバル店は新商品を出してくるし、SNSでは常に新しいカフェが話題になります。仕入れ先も価格も、市場の動きも、止まってなどいません。
つまり、「下りのエスカレーターを上ろうとしている」ような状態です。
一生懸命登り続ければ、なんとか現状維持
ペースを上げれば、成長できる
立ち止まった瞬間、ズルズルと下っていく
この構造を理解していないと、いつの間にかお店はお客様にとって「古くて退屈な店」になってしまいます。

Two young cafe workers indoors. Conception of business and service.

成長の種類と、そのエンジンたち

成長にはいろいろな“入口”があります。以下はその代表例です:
スキルの成長
 ・調理の効率化
 ・新商品の開発
 ・ラテアートや焙煎技術の向上
接客力の成長
 ・常連客への気配り
 ・ミスの減少
 ・クレーム対応スキルの成熟
コスト管理の成長
 ・原価の見直し
 ・仕入れ単価の交渉
 ・無駄な発注の削減
マーケティングの成長
 ・SNSでの認知拡大
 ・メニュー改訂による客単価向上
 ・イベントによる新規顧客の獲得
ハード面の成長
 ・店内レイアウトの改良
 ・什器や内装のブラッシュアップ
 ・テラス席の導入など
これらすべてが、“変化”によって生まれる「成長」です。

Tasty coffee and croissant on cafe table


成長こそが、スタッフのモチベーションをつくる
もうひとつ大切な視点があります。
それは、スタッフのモチベーションも「成長」によって生まれるということ。
毎年少しずつでも昇給がある
自分のスキルが評価される
新しい仕事を任せてもらえる
こういった変化の中に、人はやりがいを見つけます。
変わらない職場には“退屈”しか残りません。
あなた自身も同じ。毎年同じ売上、同じ収支、同じ日常──
気づかぬうちに疲れていき、「なんのためにカフェをやっているのか」が見えなくなってしまいます。

成長し続ける者だけが、生き残る

つまり──
成長し続ける人だけが、この世界で生き残っていける。
「今日はまあいいや」が続けば、やがて「店の魅力がない」と言われるようになります。
「このままでいい」と思った瞬間に、後ろから追い越されるのがこの業界です。
だからこそ、日々変化を恐れず、成長の種を見つけて、水をやっていくこと。
それが、経営者として最大の“武器”になります。

本日のコーチング004

成長は最大の攻撃力。
努力を止めた瞬間から、あなたの店は下り坂を歩き始めます。
けれど、ひとたび成長の流れに乗れば、あらゆるものが好転していきます。
成長し続ける人に、敵はいません。
開業はゴールではない。
「成長」というエンジンを積んで、今日から走り出しましょう。

記事の監修者

大屋和彦

大屋和彦

九州大学 芸術工学部卒 芸術工学士
早稲田大学芸術学校 建築都市設計科中退。
建築コンサルタント、アートディレクター、アーティスト、デザイナー。

1995年よりコンテナハウスの研究を開始。以後30年間にわたり、住宅、商業施設、ホテル、福祉施設など300件以上のプロジェクトに携わる。特にホテルをはじめとする宿泊施設型コンテナハウスの設計・施工に圧倒的な実績を誇る。商業施設、住宅分野にも多数の実績があり、コンテナハウス建築業界で幅広く活躍している。