コンテナハウスコラム
四半世紀以上にわたり現場に立ち
研究し続けてきた私たちだから語れる
リアルな“コンテナハウスの深堀り話”です。
更新日:2025.07.20
コンテナ2LDK革命(8連載)
コンテナハウスで暮らす2LDKという革命_4/8
もくじ
第3章:コンテナハウス2LDKの間取りバリエーションとプラン例
「2LDK」と聞くと、どこか“定型の間取り”を想像しがちです。賃貸住宅によくある“縦長のボックス型”や、“左右に2部屋分かれたシンメトリータイプ”など。でも、コンテナハウスにおいての「2LDK」は──もっと奔放で、もっと自由です。それは、コンテナという“建築用ユニット”が、『パズルのように組み合わせることのできる「構造的言語」』だからです。

「間取りを決める」のではなく、「組み合わせて生む」
コンテナは、20フィートや40フィートといったモジュールサイズで設計されます。それらを縦・横・L型・T字・コの字・ズラし配置など、自在に配置できることで、建物の形そのものが、間取りの発想を変えていきます。これは、通常の木造住宅のように「間取り図から空間を作る」のではなく、“空間の塊”を組み合わせて構成していくという、レゴ的な発想。また、さらに特別な組み合わせの方法として「間をあけて繋いで、その「あいだ」も空間にする」というアクロバットもあります。結果として生まれる2LDKは、既存の住宅とは全く異なる表情を持ちます。
📐 プラン例①:L型2LDK(敷地になじむ「つながり」の家)
20ftコンテナ × 2本(L型配置)
延床面積:約27㎡
LDK+寝室+子供部屋+水まわり
L字に配置することで、リビングから中庭が覗けるようなレイアウトも可能になります。
外部空間と連携した設計は、まさに**「タイニーハウス思想の発展系」**。
平屋でありながら、閉じすぎず開きすぎない──絶妙な“こもり感”が魅力です。
📐 プラン例②:ズラし配置型(「回遊する暮らし」を演出)
20ftコンテナ × 3本(オフセット配置)
延床面積:約42㎡
ゆったりLDK+寝室+個室+独立水まわり+ウォークイン収納
同じサイズのコンテナを“ずらして配置”することで、
部屋同士の視線をずらしながら、つながりと分離を両立。
“狭いけれど、広がりを感じる”──
これは建築用新造コンテナならではの、自由度の高い間取り設計です。
📐 プラン例③:コの字型(中庭を抱き込む“平屋の別荘”)
20ft × 3本(コの字型配置)
延床面積:約70㎡前後
全室南向き+中庭+開放型LDK
中庭をぐるりと囲むように配置すれば、完全にプライベートな空間が生まれます。
採光・通風も抜群で、「見せたい家」ではなく「自分たちだけの空気をつくる家」。
とくに地方や別荘地でのセカンドハウスにおすすめのスタイルです。


コンテナだからできる「後付け」「増設」「変形」
この2LDKの真骨頂は、将来の可変性にあります。
将来的に3LDKにしたい。子どもが独立したら1LDKに戻したい。書斎ユニットだけ増やしたい。離れのように独立した水回りを設けたい。
こういった“変化への備え”が、建築用新造コンテナなら構造的に可能です。溶接ではなくボルト接合、基礎もポイント支持などにより、増減改築が前提で設計される──それは、まさに「可変建築」という思想の体現です。

MIKAN(未完)HOUSEが提案する「未完成2LDK」
私たちのブランドMIKAN(未完)HOUSEでは、
あえて“完成させない家”として2LDKを提案しています。
たとえば──
はじめは40ft×2本のL型でスタート。2年後にユニット1本を増設して仕事部屋を追加、0年後にはユニット1本を独立棟として移設して母屋と分離。このように、人生に合わせて住まいも変化していく。それが、「可変建築としての2LDK」というコンセプトの根幹です。

コンテナ間取り設計における注意点も忘れずに
もちろん、いいことばかりではありません。
設計上の注意点もきちんと押さえておきましょう。結露対策(断熱材の種類と位置が重要)。 配管や電気配線の取り回し(最初から設計に組み込む)。音の響き(スチールの音響特性を知っておく)。
これらをクリアするためには、木造やRCではない“コンテナ専門の設計ノウハウ”が必要です。ここを誤ると、「ただの狭くて使いにくいハコ」になってしまう。だからこそ、思想と技術の両輪で設計できる工務店が重要なのです。

次章では、その「設計の自由度と可変性」をどう現場で実現しているのか?MIKAN(未完)HOUSEが得意とする“工務店型建築プロセス”に迫っていきます。
記事の監修者

大屋和彦
九州大学 芸術工学部卒 芸術工学士
早稲田大学芸術学校 建築都市設計科中退。
建築コンサルタント、アートディレクター、アーティスト、デザイナー。