コンテナハウスコラム
四半世紀以上にわたり現場に立ち
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リアルな“コンテナハウスの深堀り話”です。
更新日:2025.06.30
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飲食店×コンテナハウスという新業態・設計・設備のポイントと成功事例
本格執筆版(ご相談があればさらに詳しく相談を受け付けます)
はじめに|なぜ今、「コンテナ飲食店」が注目されているのか?
近年、飲食業界において新たなトレンドとして注目を集めているのが、「コンテナを活用した飲食店」という業態です。特に都市部の再開発エリアや地方の観光地、あるいはロードサイドにおいて、コンテナハウスを店舗として活用する動きが加速しています。
その背景には、
出店スピードの早さ、建築コストの圧縮、拡張性・可動性、デザイン性の高さ
といった「コンテナ建築」ならではのメリットがあります。
この記事では、当社が手がけてきたコンテナ飲食店の成功事例を交えながら、設計・設備の具体的なポイントや導入時の注意点を、『「コンテナ 飲食店」や「コンテナハウス 店舗」』といったキーワードに即して、わかりやすく解説していきます。

第1章:コンテナハウスを使った飲食店の魅力とは?
1-1. 出店スピードの圧倒的な早さ
通常、在来工法による飲食店舗の建築には、設計から引き渡しまで4〜6か月以上かかるのが一般的です。
一方、建築用新造コンテナを用いた飲食店であれば、工場内での製作と同時進行で現地の基礎工事を進められるため、最短で2か月以内の開業も可能です。
開業までの「空白期間」を短縮できるという点で、飲食事業者にとっては投資回収のスピードが圧倒的に早まるという大きな利点となります。


1-2. 可搬性と拡張性:変化に強い飲食店へ
コンテナ飲食店はユニット単位での移設・増設が可能であり、「まずは1台から始めて、繁盛に応じて拡張する」といったスモールスタート型の事業戦略とも相性が抜群です。
また、地域イベントや期間限定出店に対応できる可搬型店舗としての活用も広がっており、移動販売・キッチンカーからの次のステップとして、コンテナハウス店舗を選択する事例も増えています。


1-3. 高いデザイン性とSNS映えする外観
無機質でありながら、どこかインダストリアルな美しさを持つコンテナ建築。
あえて素材感を活かした鉄の肌合いや、サビ塗装、ブラックアイアンとの組み合わせにより、独自の世界観を演出できます。
特に観光地や海辺では「写真映え」「異空間演出」といった点が集客に直結しており、コンテナ飲食店は“目的地型店舗”としての価値を持ち始めています。



第2章:設計・設備で押さえるべき実務ポイント
2-1. 厨房設計は“動線と排熱”が命
限られた空間でプロの調理を実現するためには、「ゾーニング」と「排気設計」が鍵になります。
加熱ゾーン(コンロ・グリドル)
冷蔵ゾーン(冷蔵庫・ショーケース)
洗浄ゾーン(シンク・食洗機)
これらの動線をスムーズに繋ぎ、一筆書きで作業が回る厨房レイアウトが理想です。
また、コンテナは高気密構造のため、厨房機器の熱気を効率的に逃がすためのダクトファンや排気筒の設置が必須。
エアコンだけでは排熱が追いつかず、厨房温度が40℃を超えるケースもあるため、換気対策は最優先で設計します。

2-2. 客席設計:限られた空間でも“心地よさ”を演出する工夫
コンテナハウスを店舗として活用する場合、課題となるのが「内部空間の広さ」です。
たとえば40フィートコンテナでも、幅は2.4m程度。客席を効率的に配置するためには、空間の演出力が求められます。
ポイントは以下の通り:
縦長レイアウトを活かしたカウンター席やベンチ配置
大開口の窓設計で視覚的な“広がり”を確保
内外の連続性を意識したテラス席設計
**高天井化(ハイキューブ仕様)**による圧迫感の軽減
また、壁・天井に木材や左官材を使用した内装を加えることで、無機質なコンテナに“温もり”を持たせることができます。
とくに「コンテナハウス 店舗」としての魅力を高めるには、この内装演出が肝になります。



2-3. 空調・断熱・換気:夏も冬も快適に過ごすために
「コンテナは夏暑くて冬寒いのでは?」というイメージを持たれる方も多いですが、それはあくまで断熱施工を行っていない輸送用中古コンテナの話です。
当社では建築用新造コンテナを使用し、以下の仕様を基本としています:
断熱材(発泡ウレタン/グラスウールなど)の充填
ペアガラスサッシや断熱窓の採用
壁・床・天井すべてを断熱層で包み込む外断熱工法
また、業務用空調の選定も重要です。厨房との熱バランスを取りつつ、客席側が常に快適であることが店舗としての評価を左右します。
特に「コンテナ 飲食店」として運営を検討するなら、断熱等級6〜7レベルの性能は確保しておくのが安心です。


第3章:当社の実績から学ぶ|コンテナハウス店舗・成功事例3選
●事例①:海辺のカフェ「CONTE COAST」|千葉・南房総

●事例②:クラフトビール専門店「HOP BOX」|東京都心部・再開発ゾーン


●事例③:複合フードホール「NOMAD KITCHEN」|関東郊外の野外商業拠点


飲食店×コンテナハウスという新業態|設計・設備のポイントと成功事例(後編)

第4章:導入プロセスと費用感|「コンテナ飲食店」はこうしてつくる
4-1. 計画〜設計段階のステップ
「コンテナハウスを店舗として使いたい」というご相談をいただいた時点から、当社では以下のようなステップでプロジェクトを進行します:
ヒアリング・要件整理
└ 想定メニュー、座席数、厨房機器、提供動線などを確認
プラン設計・ゾーニング
└ 保健所や消防の指導を前提に、厨房・客席を設計
3D・VRによるイメージ共有
└ 開業イメージを視覚化し、施主と合意形成
申請・許可取得
└ 建築確認申請、飲食営業許可、消防申請などを並行進行
製作・工場加工
└ コンテナ本体の製作と内装・設備の取り付け
搬入・据え付け・外構工事
└ 現地設置は通常3日〜1週間程度で完了
「コンテナ 飲食店」という新しい業態でも、当社では一貫体制で対応可能です。


4-2. 費用感と内訳|どれくらいかかる?
「コンテナハウス 店舗の価格は?」という問いに、明快にお答えすると:
【概算費用目安(税別)】
構成 | 概要 | 費用帯 |
20ft厨房ユニット単体 | テイクアウト専門/1人運営想定 | 1000万円~ |
40ft+客席+テラス付 | イートインカフェ型/15席前後 | 2,000万~2,500万円 |
複数連結/複合飲食施設40X4 | フードホール/5~6事業者対応 | 5,000万~8,000万円 |
【費用の主な内訳項目】
建築用新造コンテナ費(塗装含む)
内装工事(断熱・壁材・床・天井)
厨房機器(什器/排気設備)
給排水・空調設備
電気・照明・コンセント類
テラス/デッキ/サイン関係
設置運搬費/基礎/諸申請費用
※「中古コンテナ」ではなく「建築用の新造コンテナ」を使用するため、品質・断熱・耐震性は住宅レベルに準拠します。これは長期運用を見据えた重要なポイントです。

第5章:成功と失敗を分ける“3つの分かれ道”
【1】保健所・消防対応を“最初”に考える
厨房のレイアウトや煙の排出経路、換気量、火器使用範囲など、コンテナ店舗ならではの制約を、事前に保健所・消防署と共有しておくことが成功の鍵です。

【2】内外装の素材選びで「冷たい印象」を回避
鉄の質感が強いコンテナハウスは、そのままだと無機質な印象になりがちです。
木・タイル・左官・照明といった「温度感のある素材」を外観や内装に積極的に使うことで、長く愛される店舗空間になります。


【3】「映えるだけ」で終わらせない“動線設計”
SNSで拡散される外観を狙うのは重要ですが、それ以上に「提供までのストレスがない」「店員の動きがスムーズ」といった実用的な設計が、リピーターを生む本質です。

第6章:まとめ|“小さな建築”から始める飲食店の新しいかたち
コンテナハウスを活用した飲食店舗は、単なる建物ではありません。
それはオーナーの想いや地域の風景と結びつく、「物語の器」です。
短期間・低コストで開業できる
自由な設計と個性を表現できる
拡張性・移設性に優れる
というメリットは、これからの飲食業の在り方──「機動力」と「感性」が求められる時代にこそ、ふさわしい選択肢だと言えます。

おわりに|コンテナで叶える“自分だけの飲食空間”を
当社では、**完全オーダーメイドの「コンテナ 飲食店」**から、
設計済みのパッケージ型「コンテナハウス 店舗」モデルまで、さまざまな形でお客様の夢を形にしています。
「まずは相談してみたい」
「土地に合うサイズが知りたい」
「実際の施工事例を見てみたい」
そんなご要望にも、経験豊富なスタッフが丁寧に対応いたします。
“想いを載せる、移動する建築”──それが、コンテナハウスという選択です。
記事の監修者

大屋和彦
九州大学 芸術工学部卒 芸術工学士
早稲田大学芸術学校 建築都市設計科中退。
建築コンサルタント、アートディレクター、アーティスト、デザイナー。